マスター・オブ・ワイン(MW)と並ぶワイン業界最高の称号がマスター・ソムリエ(MS)。ドキュメンタリー映画「SOMM」で一般にも知られるようになりましたが、米国で155人しか受かっていないという極めて狭き門です。この米国のマスター・ソムリエ協会でセクハラが横行しているという記事をNYタイムズ紙が公開して業界を震撼させています(The Court of Master Sommeliers Has a Sexual Harassment Problem - The New York Times)。
NYタイムズ
マスター・ソムリエになるにはその試験を突破しないといけないわけですが、そのための教室や視察旅行などにおいてセクハラが起こっていたと、21人の女性が実名も込みで詳しく証言しています。「性的な攻撃は当たり前過ぎて、避けることなどできず、それとやっていくことを学ぶしかない」と語った人もいます。
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記事で特にフィーチャーしているのはジェフ・クルース(Geoff Kruth)。著名なエデュケーターであり、教育機関ギルドソム(GuildSomm)の創設者であり社長でした(前の週にギルドソム社長を辞任しています)。

彼に関しては複数の女性が具体的に受けた被害を語っています。中にはやり取りを残したスマホの画面を公開した人もいます。

このほかに、実名で告発されたマスター・ソムリエには旧リナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)の教授でもあるRobert Bath氏、2005年から2017年にマスター・ソムリエ協会のボードメンバーだったMatthew Citriglia氏、協会の共同創設者で名誉会長のFred Dame氏、米国最大のディストリビューターRepublicのディレクターだったDrew Hendricks氏が含まれています。

また、2018年にマスター・ソムリエの試験問題が漏れた事件のとき、協会の副会長だったMatt Stampが二人の女性候補者と性的関係を結んでいたことも明るみに出ました。

Metooの運動によって、女性たちもようやく重い口を開くようになってきましたが、まだまだ問題は隠れているように感じられます。