先週はアカデミー・デュ・ヴァンの「カリフォルニアワイン、ベーシックマスター」の4回目でセントラル・コーストの南部を取り上げました。パソ・ロブレスとSLO沿岸部のエドナ・ヴァレー、アロヨ・グランデ・ヴァレー、そしてサンタ・バーバラです。

この講座で苦心しているのは、地形や気候、その地域のワインの品種やスタイルといった一般論の話をしながら、その地域の代表的なワイナリー個別の話も織り交ぜていくこと。「ベーシック」の内容としては一般論だけでも成り立つと思いますが、一般論だけだとどうしても記憶も定着しませんし、そこのファンにもならない。アカデミー・デュ・ヴァンで講座を持つ最大の目的は「カリフォルニアワインファンを増やすこと」なので、そのためには個別のワイナリーのことを知って好きになってほしい。そのために二兎を追っています。

ただ、こうすると講座の準備もすごく時間がかかるし、2時間の講座時間では短すぎるくらい。今回も結局用意したGoogle Earthを使った産地ツアーは出番がありませんでした。先々週から先週にかけてブログの更新が減ってしまったのもそのためです。

ところで、サンタバーバラのサンタ・リタ・ヒルズはピノ・ノワールの産地として有名ですが、2月にはブドウが芽吹き、収穫は10月ころという生育シーズンの極端な長さが特徴です。それを実現するのがここの気候。
Lompoc
このように、夏と冬の最高気温がわずか4℃くらいしか違わないのです。8月の最高気温でも20℃をちょっと超えるくらい。むしろ10月の方が温かいくらいですが、それでも22℃です。加えて、太平洋から吹き付ける冷たい強風が、世界の中でも冷涼な産地を作っているのです。

試飲のワインはパソ・ロブレスとサンタ・バーバラが半々。今から思えばエドナ・ヴァレーかアロヨ・グランデ・ヴァレーも入れてあげたらよかったです。今回はブラインドで、どれがどのワインか当ててもらいました。

ワインの好みは結構ばらけましたが、オー・ボン・クリマのノックスとダオのソウル・オブ・ア・ライオン(カベルネ・ソーヴィニヨン)がトップ。ダオは、昨年初めて飲んでそのレベルの高さに驚き、今回どうしても試飲に入れたかったワイン。ソウル・オブ・ア・ライオンは中でもシルキーなテクスチャが素晴らしい逸品です。オー・ボン・クリマのノックスはかなりストラクチャーのしっかりとした味わいが特徴ですが、今回は意外なほどエレガントでした。タブラス・クリークのエレガントさにも驚いた人が多かったもよう。

試飲のワインとは別ですが。レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンは非常にコスパ高いです。これもいいワイン。