ナパのシュレーダーなどのカベルネ・ソーヴィニヨンで知られるワインメーカーのトーマス・リヴァース・ブラウン。20回を超える「パーカー満点」を取っているトーマス・ブラウンですが、ソノマ・コーストのピノ・ノワールでもトップクラスのワインメーカーです。自身のリヴァース・マリー(Rivers-Marie)ではVinousでカリフォルニア・ピノ・ノワールとしては初めての100点を取っています。

ナパでは二桁のワイナリーのコンサルティングをするトーマス・ブラウンですが、ソノマでは非常に限定したワイナリーでしか作っておらず、私の知る限りでは4つにとどまります。リヴァース・マリー、センシーズ(Senses)、ボアズ・ビュー(Boar's View)、そして今日の主題のアストン(Aston)です。この中でセンシーズはリヴァース・マリーでも扱うシエリオットの畑のオーナーの息子が始めたワイナリーで、トーマス・ブラウン自らワインメーカーを申し出たそうです。

残りの2つはシュレーダーの創設者であるフレッド・シュレーダーと始めたワイナリー。ボアズ・ビューはシュレーダーがオーナーで、マーカッシンとの対抗意識を打ち出したワイナリー。ラベルにイノシシのデザインをあしらい、畑はマーカッシンの畑を見下ろすところにあることからボアズ・ビューと名付けたと言われています。非常にパワフルでマッチョなピノ・ノワール。

一方、アストンはソノマ・コーストの北端の街アナポリス近くのワイナリー。シュレーダーとトーマス・ブラウンとあと一人の3人が共同オーナーとして開発しました。太平洋からも近い非常に冷涼なところに畑があります。ソノマの畑開発の第一人者と言われた故ユリシス・ヴァルデスに開発を依頼した畑(ボアズ・ビューもそうですが)。こちらはソノマ・コーストの冷涼感とパワーを併せ持った「細マッチョ」なワイン。個人的にはトーマス・ブラウンのピノ・ノワールの中でも一番魅力を感じているワインです。

ただ、セールス的には期待したほど伸びていないとの話もあり、今年4月にはトーマス・ブラウンが単独オーナーになっています。

それが関係しているのかどうかわかりませんが、国内の希望小売価格が2017ヴィンテージで1万3000円から1万円と3000円も下がりました。ショップによっては税込みでも1万円を切っています。

ソノマ・コーストの中でも「トゥルー・ソノマ・コースト」と呼ばれる北部の丘陵地帯にはマーカッシンをはじめ、ウェイフェアラーなどソノマのトップクラスのピノ・ノワールのワイナリーがひしめき合っていますが、実力的にはこれらと十分に張り合えるものがあるアストン。ソノマのピノ・ノワール好きなら飲んでおくべきワインです。

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