タブラスクリーク
パソ・ロブレスの老舗ワイナリー「タブラス・クリーク(Tablas Creek)」が95ドルの箱ワインを発表しました(Tablas Creek Vineyard Blog: Why we believe the time is right for a $95 box of wine)。容量は3リットルで、ワインは2021 Patelin de Tablas Rosé。1本28ドルのロゼワインです。中身は4本分に相当しますからガラス瓶だと112ドル、箱ワインの方が17ドル分安いことになります。

箱ワインを投入する最大の理由はカーボンフットプリント。二酸化炭素の排出量を減らすためです。California Sustainable Winegrowing Alliance(CSWA)の調査によると、ワインのカーボンフットプリントの約半分はパッケージングによるものです。
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ガラス瓶は製造時に高温を必要とし、輸送にも大きなエネルギーがかかります。軽量なボトルを使うことで1割くらいの削減が可能ですが、3リットルの箱ワインを使えば4割削減できるのです。

箱ワインは高級化が進んでいますが、それでも4リットルで30ドル程度がこれまでの上限。タブラスクリークのワインは安いものでも1本25ドルですから、だいぶ価格帯が違います。

一方で箱ワインは中にビニールの袋が入っていて、開封後もワインは空気に触れないので、冷蔵庫に入れれば数週間から数カ月保存できます。収納スペースでも有利ですし、トータルの重さも軽くなります。そういったメリットも考えて、今回テスト的に販売(トタル100ケース)を決めたそうです。

逆に箱ワインは長期熟成には向きませんから、熟成して飲むタイプではないロゼワインを最初に投入することになりました。

先日もガラス瓶の問題を取り上げましたが、ワイン業界でも二酸化炭素排出量を減らすことは今後大きな課題になることが予想され、そのときにガラス瓶問題はより重要になってくるでしょう。熟成させるワイン以外ではある程度箱ワインなどが増える可能性は高いのではと思っています。