ナパの最後のディナーで、オーパス・ワンのワインメーカーであるマイク・シラッチさんから聞いた話のメモを載せておきます。といいつつ、すでにうろ覚えですが(汗)。

マイク・シラッチさんがオーパス・ワンに入ったのは2001年。2004年にロバート・モンダヴィが経営破綻し、コンステレーション・ブランズに売却されます。それ以降、ワイン造りの指揮を取っています。2000年前後はワインの評価もあまり芳しくないときがありましたが、マイク・シラッチさんになってからは品質も安定し、評価もよくなっています。

このディナーのときに飲んだオーパス・ワンは2007年だったのですが、この年は初めて無灌漑に挑戦した年でした。その結果は収穫量は相当減ってしまい「災害一歩手前だった」とのことですが、ワインのでき自体は素晴らしいものでした。現在はどうかというと、「完全無灌漑ではやっていない」。畑のブロックによって状況に応じて灌漑はしているとのことです。

マイク・シラッチさんになって品質が上がったのはどうしてか、という不躾な質問をしてみました。ちょっと苦笑いをしながら答えてくれたのは畑のクルーが安定したのが理由ではないかとのこと。オーパス・ワンには畑のクルーが16人ほど常勤でいます。人手が必要なときには臨時のワーカーも入るそうですが、基本的には常勤のワーカーが畑を管理しています。剪定方法としては長梢剪定を採用していまう。理由は自由度が高いこと、カビ害などを防ぎやすいこと、ワーカーが樹を1本1本ケアできることを挙げていました。

オーパス・ワンの畑はワイナリーの周囲のほか、ハイウェイ29を渡ったト・カロン・ヴィンヤードの中に「ト・カロン・ノース」と「ト・カロン・サウス」の2つのブロックがあります。ノースの方はカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、サウスの方はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、プティ・ヴェルドが植わっています。ワイナリーの周囲は6つのブロックに分かれており、ナパ・リヴァーに近い東の方はメルローが多いようでした。メルローは粘土質を好み、やや水はけで劣る東のブロックに向いているようです。逆にカベルネ・フランは石が多い土壌を好むとのことでした。

温暖化への対応をどう考えているか聞きました。それでシラッチさんが描いてくれたのが下の絵です。

ブドウを植える列の向きをこれまで南北方向だったのを34°傾けるとのこと(先日の配信では15°とか適当なことを言ってました、すみません)。これによって西日の当たり方を弱くするそうです。
また、列と列の間隔をこれまで1mだったのを1.8mと広くします。これは水不足に対応して樹のストレスを和らげるためです。

これらは今の樹を抜いて植え替えないと行けないので、一気に行うことはもちろんできず、少しずつやっていくのでしょうけど、普通のワイナリーではなかなかリスクが取れないのではないかとも思います。オーパス・ワンだからできることでもあるし、オーパス・ワンが常に挑戦を続けていることの証でもあるように思いました。

このほか、オーガニック栽培(オーパス・ワンはビオディナミを採用しています)の話なども質問しましたが、メモが読み取れないので、報告は以上です。