ナパのクームズヴィルにあるワイナリー「パルマッツ(Palmaz)」。以前ワインを提供いただいたときに、調べて紹介しましたが、先日セミナーで改めて話を聞いたので、パルマッツの「すごいところ5つ」を紹介したいと思います。

以前の記事:ナパの古豪、医学界のレジェンドと注目新興産地で花開く

パルマッツのここがすごい
①歴史がすごい
②創設者がすごい
③畑がすごい
④重力移動の徹底ぶりがすごい
⑤ワイナリーの技術がすごい

①歴史がすごい
クームズヴィルは2011年に策定されたナパでは新しいAVAですが、実は古い歴史を持っています。パルマッツのワイナリーは1877年にHenry Hagenという人がオープンしたところにあります。実はナパでもとても古いワイナリーの歴史を背負っているのです。
null

ワイナリーは禁酒法時代になくなってしまいましたが、1997年にパルマッツ夫妻が屋敷を購入したことで、現在のパルマッツが始まります。屋敷の中には実はワインセラーがあり、古いワインが保管されていました。
null

パルマッツのワインのラベルには赤い染みが付いていますが、これはセラーで見つけたワインのラベルに敬意を表してのもので、一つのワインについて6パターンの染みがあるそうです。

②創設者がすごい
null
創設者のジュリオ・パルマッツ(写真の右から3人目)は心臓外科医としてとても有名な方です。彼が発明したバルーン拡張型ステントは「前世紀に世界を変えた10の特許」に選ばれているほどで、彼の成果物はワシントンD.C.のスミソニアン博物館にも収録されています。

写真はパルマッツの家族で、現在率いるのは右端のクリスチャン・パルマッツです。

③畑がすごい
null
パルマッツの畑は三つあります。左が最下部の畑で標高400フィート、右の下の方が標高1200フィート、右上が標高1400フィートです。上の畑はクームズヴィルの中で最も標高が高い畑です。実はそこから少し東に行くとKenzo Estateがあります。ほかのクームズヴィルのワイナリーとも一線を画す畑の構成はかなりすごいです。

面白いのはカベルネ・ソーヴィニョンは下の畑と一番上の畑には植えられていますが、標高1200フィートの畑にはないことです。実はそこにもカベルネが植えられていたのですが、冷涼でうまく育たなかったのでシャルドネなどに植え替えられました。

ただ標高1400フィートの畑にもカベルネ・ソーヴィニョンはあります。標高は60メートルくらいしか変わらないのになぜでしょうか。実は、1200フィートの畑は霧に隠れることが多く、冷涼なのですが、1400フィートのところには霧がかからず、暖かくなるのです。

④重力移動の徹底ぶりがすごい
null
null
高級ワインのワイナリーに行くと「うちは重力を使っています」などと言われることがあります。タンクから樽に移したり、樽から樽に移すなど、液体を移動させるときに、ポンプを使うのではなく、重力の力を使って(要は上から下に落とす形で)ワインを移動させます。パルマッツはこれを徹底しており、ボトル詰めまで最初から最後まで重力だけを使ってワインを移動させます。彼らは「重力で完成させた」と称していますが、部分的に重力を使っても、これほど徹底的に行うところはないと思います。

重力を使うことで、ワインを優しく扱っているのですが、ポンプを使うのとの違いはタンニンに現れてきます。ポンプを使うと、タンニンの分子が壊れてしまい、とげとげしさが出てきます。重力で優しく扱うことで、シルキーな舌触りが生まれます。

⑤ワイナリーの技術がすごい
null
パルマッツのワイナリー(醸造設備)は斜面に沿って地下に作られています。発酵用のタンクが並ぶところのドーム型の天井には様々なデータが一面に映し出されています。例えば、タンクの中の温度を取ってみても、1、2カ所でなく何カ所も温度を測ってムラが出ないようにしています。

これらのシステムは現社長のクリスチャンが中心になって手掛けているということで、他のワイナリーの追随を許さないレベルになっています。

さて、番号は振っていませんが、最後にもちろんワインもすごいです。カベルネ・ソーヴィニョンの造りはどちらかというとクラシック。今回のセミナーでは2013年のカベルネ・ソーヴィニョンを試飲しましたが、絶品でした。

どうでしょうか、パルマッツの魅力は伝わったでしょうか。
ナパの中でもユニークさではかなり上に行くワイナリーだと思います。