The Press Democratの記事によると,2008年の米国におけるワインの消費量は3億1700万ケースで過去最高。カリフォルニアの出荷も2%上昇して1億9630万ケースに達したそうです。

不況の影響は一見ないようですが,量が伸びているのは3ドル~6ドルのカテゴリーなど安ワインの領域がほとんど。例えばOak Leafというブランドの2ドルワインを売るWalmartの売上は34%伸びたということですが,レストランにおけるワインの売上は10%程度低下したと,ワイン専門の調査会社Gomberg, Fredrikson & AssociatesのFredrikson社長は分析しています。金融危機の影響でディストリビューターなどは在庫を抱えることを恐れて,在庫整理に走り,結果としてワイナリからの出荷は19%も下がったとのこと。

Mark WestやRock Rabbitなどのブランドを擁するPurple Wine CompanyのDerek Benham CEOは,これらの動きに動揺してワイナリが在庫処分に走ることに「今は賢明に思えるだろうが,後から振り返ったら軽はずみな行為に見えるかもしれない」と警鐘を鳴らしています。逆に金利が低くなっているのでワイナリによっては拡張の機会かもしれないとも言っています。

個人的には,在庫整理などで日本にもこれまで入ってこなかったワインが入荷したり値段が安くなったりする可能性があることは歓迎したい気持ちがあります。特に,高くなりすぎたナパのカベルネなどはこれを機会に価格の見直しをしてくれるのではないかと期待するところがあります。ただ,業界全体の健全な成長も必要なので,そのあたりは生暖かく見守りたいと思います。