カルト・ワインがブームになってから早10年。今さらカルトなんていうと笑われそうな気もするのですが,それでも毎年のように「次のカルト」といった記事が出てくるのはそれだけこの言葉に分かりやすい魅力があったからなのでしょうね。というわけで,今回はGary Vaynerchukが運営するCork'dのシニア・エディタが書いた記事です(3 wineries with the potential for cult status)。

取り上げられているのはBedrock WineContinuumEvening Land Vineyards

おそらくこの中で知名度が一番高いのはContinuumでしょう。故Robert Mondaviの次男のTim Mondaviのワイナリで,未亡人のMargritやTimの姉も参加しています。2007年に買い取ったプリチャードヒルの畑はRobertも見に行ったことがあるとのことで,Mondavi直系のワイナリと言えます。作っているのはボルドー系のブレンド一つだけ。評論家の評価も高く,日本でも現在はOpus Oneよりもやや高い価格ながら,すぐに売り切れるワインの一つとなっているようで,カルトという言葉が適切かどうかは別として,現在のところ順調に進んでいる感じがします。



後の二つのうちBedrockはRavenswoodのJoel Petersonの息子であるMorgan Twain-Petersonのワイナリ。この人はすごい人で5歳のときには既に香りだけでピノとメルローを区別することができ,さらにはピノ・ノワールのワインを作り始めたそうです。

It Takes a Village to raise a Winemakerというブログの記事によると,この年,彼はGevrey-Chambertinのワインの香りに魅せられ,父親にピノを作りたいと頼んだのだそうです。父Joelは,ピノは努力に見合わないからと,それを拒否。そこで彼はSangiacomo VineyardのAngelo Sangiacomoのところに,母親がイタリア旅行で集めた数千リラを持っていき,結局タダで500kgのピノをもらったそうです。しかもそれは1986年から2001年まで続き,「Vino Bambino」という名前でいくつかのレストランに入っているそうです。

既にMaster of Wineの試験にも受かり,論文を執筆中だという彼のワイナリBedrockはピノも作るもののメインはシラー。これは確かに気になりますね。

三つめのワイナリEvening Landはブルゴーニュの「コント・ラフォン」のDominique Lafonが出資しているオレゴンのワイナリでピノとシャルドネを作っています。Wine & Spirits誌は2009年のWinery of the Yearに選んでいるとのこと。

ここも全然知らなかったのでへーと思って読んでいたのですが,実は既にエノテカが輸入しているようです。



ちなみにオレゴンは2008が素晴らしいと聞いているので,それが出るときは狙い目かもしれません。