Ridge Monte Bello

リッジのオーナーである大塚製薬についての記事が健康・医療系の情報サイト「STAT」に出ていました(The strange story of a pharma company's Silicon Valley winery)。ワイナリーを保有する会社は数あれど、製薬会社が持つケースというのは珍しく、その不思議さを追った記事となっています。

大塚製薬がリッジを買収したのは1986年。日本はバブル景気が始まったころで、海外への出資も盛んだったのは確かです。例えばサントリーは1984年にソノマのシャトー・セント・ジーンに出資、キリンは1989年にナパのレイモンドに出資、サッポロビールは1987年にナパのサン・クレメントを買収するなど、ビール会社が相次いでナパ、ソノマに進出していました。しかし、サントリーは1996年、キリンは2009年、サッポロは1999年に手放しており、大塚だけが残ったような格好です。

大塚はリッジにとっては理想的なオーナーと言えるでしょう。「よいワインを作りなさい、赤字にはならないように」という2ポイントだけで後は基本任せきり。ときどき接待で、さまざまな人をつれてくるくらいだといいます。ただ、毎年1月にはサンフランシスコでヘルスケアの会議が開かれるため、その期間だけはひっきりなしに客を招いているとのこと。

このあたりが、事業として進出して、後に手放してしまったビール会社との違いなのでしょうか。

2000年以降は、新たに日本の会社がカリゴルニアに出資する話はほとんど聞きません。その代わり、マボロシ・ワインの私市さんや、フリーマンのアキコさんのように、個人でワイナリーを始めるケースは増えてきました。また、ナパではカプコムの辻本憲三氏がケンゾーを始めました。これは会社とは関係なく、ほとんど個人の趣味のようなワイナリーです。

細く長く持ち続けている大塚製薬、オーナーとしてはめだたないけど、立派な態度ですね。