米国のTTB(酒類・タバコ税貿易管理局)が出しているワインの生産量のレポート「Wine Reports | TTB: Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau」を少し調べてみました。

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まず、2024年のワイン生産量の州別トップ11です。気になるところは2つ。5位にケンタッキーという、ワインでは耳慣れない州が入っていること。それから2位がニューヨークになっていることです。なお、単位は米ガロン(1ガロンは約3.8リットル)です。

TTBのデータには2012年からのものが入っているので、2024年の生産量2位から9位の州について、2012年からの推移のグラフを作ってみました。1位のカリフォルニアを除いたのは、それだけかけ離れて多いので、他の州の推移が分からなくなってしまうからです。
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ニューヨーク州と、3位になったワシントン州を比べると、元々それほど大きな差があったわけではなく、過去にも2014年にニューヨーク州が2位になったことがありましたし、2021年や2023年もかなり小さな差でした。これからも年によって、順位の変動はありそうです。
一方、ケンタッキー州については2022年までは統計の数字がなく、2023年から急に5位に入ってきています。ケンタッキー州にもワイナリーはありますから、これまで単に統計から漏れていたのかもしれませんが、それにしても5位に入るほどの生産量があるとはちょっと思えない感じもします。大手ワイナリーの工場ができたなどの理由もあるのかもしれないと思いましたが、調べて範囲ではわかりませんでした。ちなみにソムリエ教本にも載っているバージニア州は9位です。

TTBのデータにはProduction(生産量)のほかにTaxable Withdrawals(課税対象の引き出し)、Tax Free Withdrawals(非課税の引き出し)、Stocks on Hand End-of-Period(期末在庫)の項目も入っています。課税対象の引き出しとは主に国内市場への出荷、非課税の引き出しとは主に輸出や加工用の出荷です。
そこで、生産量と課税対象の引き出しの推移をグラフにしてみました。
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米国のワイン消費が2020年で頭打ちになったと言われていますが、赤い線の方を見るとそれがよく分かります。2024年は2020年と比べると22ポイントも減っています。生産量の方は2023年までは横ばいでしたが、2024年は大きく減っています。2024年から本格的な生産調整に入ってきているのだと思います。

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Tax Free Withdrawals(非課税の引き出し)のグラフです。おそらく輸出が大部分だと思います。右肩上がりで増えてはいます。ただ、国内消費の減少分を補うほどまでにはなっていません。輸出比率(赤線)は上がってきてはいます。