これまで21本もの「パーカー100点」を輩出しているワイナリーがシネ・クア・ノン(シン・クア・ノンなどとも、Sine Qua Non)。10年ほど前から日本への正式輸入が始まり、以降毎年輸入が続いています。非常に希少で、ほとんどがメーリング・リストで売られるワインですから、普通に小売で買える日本はかなり貴重な環境だと思います。また、100点のついたワインなどは価格が高騰しますから、日本で買う方が安いといった逆転も起こります。特に、ここのワインは最初の評価から数年後に上がることも多いので、今100点じゃなくてもその可能性を考えておいた方がいいです。
今回入ってきているのが2016年のシラーとグルナッシュ。EBA(Extended Barrel Aging)と呼ばれるリザーブ版(2014年)のシラーとグルナッシュ。そして白となります。以前は購入したブドウを使っていましたが、徐々に自社畑への移行を進め、今回からはシャルドネを除くすべてのワインがサンタ・バーバラを中心とする4つの自社畑のブドウを使ったワインになっています。
毎年オリジナルな名前を付けるのもここの特徴ですが、2016年のシラーは「レーツェル・ゼヒ・ツェーン」グルナッシュが「ダート・ヴァナキュラー」。リザーブ版はシラーが「カポ・デイ・プッティ」、グルナッシュが「テスタ・デイ・ケルビーニ」。白はプティ・マンサンという品種を使った「ドゥー・グルヌイユ」です。
ワイン・アドヴォケイトとヴィナスの評価で見ると、2016シラーがそれぞれ96+、95-97、グルナッシュが96、95-98。2014のリザーブ・シラーが96+、98、同グルナッシュが98+、98。白が94、94となっています。
サンタ・クルーズ・マウンテンズで、ピュアな味わいのシャルドネとピノ・ノワールを作り、非常に高い評価とリーズナブルな価格で人気を博したのがヴァーナー(ワインによってはニーリーという名前を使っています)。
もともとはたけのもち主がニーリー(Neely)で、実際に畑を管理してワインを作っていたのが双子のヴァーナー(Varner)兄弟だったのですが、ニーリー家から契約を打ち切られてしまい、2014ヴィンテージを最後にここのワインを作れなくなってしまいました(サンタ・バーバラの畑などでワイン作りは継続しています)。
その衝撃のニュースから2年。ついに日本の輸入元の在庫が最終段階になってしまったそうです。
ワイン・アドヴォケイトやヴィナスでの評価は95点前後とどれも高く、それでいて価格は1万円を大きく下回る、今後はそんなワインはなかなか出てこないだろうと思います。また、その味わいは冷涼感のあるピュアな果実味が素晴らしいもの。いろいろな意味で貴重なワインです。
ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーといえば、代表的なピノ・ノワールやシャルドネの産地ですが、1980年代まではほとんど知られていない地域でした。
ここを切り拓いた生産者としてはロキオリやジョセフ・スワンなどが挙げられますが、ダットン・ランチもその一つ。このは特にキスラーにシャルドネのブドウを供給して有名になりました。
ダットン・ランチというのは実は一つの畑ではなく、様々な畑の集合体なのですが、いまでも個々の畑の名前より、総称としてのダットン・ランチの方が名前が通っている感じがします。また品種もいろいろ作っているのですが、どうしてもここはシャルドネのイメージが強くあると思います。
面白いところでは熟成したワインしか出荷しないカリン・セラータか、現在「キュベD」としてダットンランチのシャルドネが入荷してきています。先日試飲したものは、酸化のニュアンスもなくとてもきれいに熟成していました(ボトル差はあります)。
また、キスラーのダットンランチは2万円くらいしますが、パッツ・アンド・ホールなら6000円台。ちょうど今、安く出ていてかなりお買い得です。パッツ・アンド・ホールのダットンランチ、昔相当飲みましたが、ここのシャルドネの中でも好きなワインの一つでした。
ダットン家がやっているワイナリーも2つあるのですが、日本にはダットン・ゴールドフィールドだけが入っているようです。
先日、ワイン・イン・スタイルの試飲会で、お薦めのシャルドネとして紹介したクルーズ・ワインのローリック(ロリック)。柳屋でも当日のベスト・シャルドネとして紹介されていました。
やっぱり自分がいいと思ったものを、他の人も認めているというのは少し嬉しいものです。ニューカリフォルニアな作り手とされるクルーズ・ワインですが、ニューカリフォルニアに興味がない人でも、認める価値があるワインです(ちなみに柳屋ではニューカリフォルニア系はめったに取り上げられません)。
残り本数が少ないので、他のショップも上げておきます。
ワイン・アドヴォケイトの最新241号で、コンティニュアム(Continuum)の垂直試飲の評価が出ています。
コンティニュアムはロバート・モンダヴィの次男ティム・モンダヴィと娘のマーシャがオーナーのワイナリー。ロバート・モンダヴィが自身の名前のついたワイナリーを売却した後、最後に手がけていたプロジェクトでもあります。当初はモンダヴィのトカロンのブドウを使っていましたが、プリチャード・ヒルの畑を購入後、そちらにシフトしていき、2012年以降は100%プリチャード・ヒルの自社畑のワインになっています。
ワイン・アドヴォケイトにおける2012年以降の評価を見ると97、98、97、97+、99。ヴィナスでは94、97、97、98+、94-97。
ちなみにオーパス・ワンの同時期の評価は96、97+、96、97+、97+。ヴィナスでは95、97、96、97、96+。どちらも非常にハイレベルで甲乙つけがたいところではありますが、現時点ではコンティニュアムの方が頂上に近づいている感じがあります。
また、2015年と2016年はどちらもカベルネ・ソーヴィニヨンの比率は46%と低く、カベルネ・フランが31%となっています。これも何度も書いていると思いますが、プリチャード・ヒル、特にその南側はカベルネ・フランが非常に素晴らしい場所。オーヴィッド(Ovid)やコルギン(Colgin)、また土壌に連続性があると言われているダラ・ヴァレ(Dalla Valle)でもカベルネ・フランが素晴らしいワインを生み出しており、コンティニュアムもその系譜に並びます。
国内の価格で見ると3万円台、税抜きでは2万円台のところもあるなどオーパス・ワンより1万~2万円程度安くなっています。知名度ではオーパス・ワンに負けるものの、実力的には勝るとも劣らないワイン、お買い得度ではかなり上回っています。
こちらは3月4日20時から1週間限定の価格。
こちらはレアな2011年から2015年の木箱入りセットです。