ナパ・ヴァレー・レジスターにラジャ・パーの4つ目のワイナリーの記事が出ていました。数年前からやっているプロジェクトですが、全然知らなかったので紹介します。
写真は2014年に来日したときのもの
ラジャ・パーは有名なソムリエ/ワイン・ディレクターで、サンフランシスコの著名レストラン「ルビコン」のソムリエに始まり、マイケル・ミーナという著名レストラン・グループでのワイン・ディレクターなどを勤めました。また、2011年に始めたIPOB(In Pursuit of Balance)は、カリフォルニアワインに低アルコール化の流れを作る機運を作り、自身のワイナリーであるサンディ(Sandhi)とドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Côte)では、エレガントなシャルドネとピノ・ノワールを作って注目を集めました。さらに、オレゴンで有名ソムリエのラリー・ストーンと、ブルゴーニュのコント・ラフォンが始めたイヴニング・ランドを買収し、オレゴンでもトップクラスのワイナリーに仕立てました。
ブルゴーニュ・ワインのファンであることを公言しており、これまでのワイナリーでも基本的にはシャルドネとピノ・ノワールだけを作ってきたラジャ・パーの4番目のプロジェクトがフェラン・ファーム(Phelan Farm)です。他のプロジェクトがサシ・ムーアマンと共同で手掛けているのに対し、フェラン・ファームはラジャ・パーだけのプロジェクトになっています。
フェラン・ファームは、今年AVAとして認定されたSLO(スロー、San Luis Obispoの略)コーストにあります。カリフォルニアで一番冷涼なAVAと言われていたエドナ・ヴァレーと、その隣のアロヨ・グランデ・ヴァレーを含む非常に冷涼なエリアです。フェラン・ファームも太平洋からわずか5kmしか離れていないところにあるというので、ブドウがちゃんと育つのかどうかも心配になるくらい冷涼なエリアになります。
フェラン・ファームは1851年にフェラン家が作った農場で1100エーカーの農場の中でわずか11.5エーカーだけがブドウ畑になっています。グレッグ・フェランが2007年に自根で植えたシャルドネとピノ・ノワールがあります。
このブドウ畑をリースしたラジャ・パーの当初の計画は、土地の耕起をしない再生型農業でなるべく自然のままでブドウを育てようというものでした。ラジャ・パーを含めたわずか3人のチームで畑仕事を全部賄い、収穫時も3人だけピッカーを雇うという最小の人員でのオペレーションを志しています。
ブドウ畑の健康を強化するためにイラクサ、ヤナギの樹皮、ルーピンなど、自生する植物から作った発酵スプレーを散布しています。さらに、「ターメリックやニームオイルのプレップ(調合剤)は、海の水を使って作っています」とアーユルヴェーダ的なタッチを加えます。
2017年から2018年にかけては、接ぎ木によってフランスのジュラとかサヴォワ地区原産の15種類のブドウを植えました。植えた品種はモンデュース(Mondeuse)、サヴァニャン・ヴェール(Savagnin Vert)、サヴァニャン・ジョーヌ(Savganin Jaune)、プルサール(Poulsard)、アルテス(Altesse)、トゥルソー(Trousseau)、ガメイ・ノワール(Gamay Noir)など。また、サイダー用にハーフエーカーだけりんごも植えました。
ワインはすべて除梗なしで天然酵母を使って発酵、ニュートラルな樽で熟成します。SO2は添加しません。ピノ・ノワールにガメイ・ノワールとモンデュースのブレンドなど、ユニークなワインも様々作っています。
1500ケースの生産量ですが、これまでのところ販売は順調のようです。
写真は2014年に来日したときのもの
ラジャ・パーは有名なソムリエ/ワイン・ディレクターで、サンフランシスコの著名レストラン「ルビコン」のソムリエに始まり、マイケル・ミーナという著名レストラン・グループでのワイン・ディレクターなどを勤めました。また、2011年に始めたIPOB(In Pursuit of Balance)は、カリフォルニアワインに低アルコール化の流れを作る機運を作り、自身のワイナリーであるサンディ(Sandhi)とドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Côte)では、エレガントなシャルドネとピノ・ノワールを作って注目を集めました。さらに、オレゴンで有名ソムリエのラリー・ストーンと、ブルゴーニュのコント・ラフォンが始めたイヴニング・ランドを買収し、オレゴンでもトップクラスのワイナリーに仕立てました。
ブルゴーニュ・ワインのファンであることを公言しており、これまでのワイナリーでも基本的にはシャルドネとピノ・ノワールだけを作ってきたラジャ・パーの4番目のプロジェクトがフェラン・ファーム(Phelan Farm)です。他のプロジェクトがサシ・ムーアマンと共同で手掛けているのに対し、フェラン・ファームはラジャ・パーだけのプロジェクトになっています。
フェラン・ファームは、今年AVAとして認定されたSLO(スロー、San Luis Obispoの略)コーストにあります。カリフォルニアで一番冷涼なAVAと言われていたエドナ・ヴァレーと、その隣のアロヨ・グランデ・ヴァレーを含む非常に冷涼なエリアです。フェラン・ファームも太平洋からわずか5kmしか離れていないところにあるというので、ブドウがちゃんと育つのかどうかも心配になるくらい冷涼なエリアになります。
フェラン・ファームは1851年にフェラン家が作った農場で1100エーカーの農場の中でわずか11.5エーカーだけがブドウ畑になっています。グレッグ・フェランが2007年に自根で植えたシャルドネとピノ・ノワールがあります。
このブドウ畑をリースしたラジャ・パーの当初の計画は、土地の耕起をしない再生型農業でなるべく自然のままでブドウを育てようというものでした。ラジャ・パーを含めたわずか3人のチームで畑仕事を全部賄い、収穫時も3人だけピッカーを雇うという最小の人員でのオペレーションを志しています。
ブドウ畑の健康を強化するためにイラクサ、ヤナギの樹皮、ルーピンなど、自生する植物から作った発酵スプレーを散布しています。さらに、「ターメリックやニームオイルのプレップ(調合剤)は、海の水を使って作っています」とアーユルヴェーダ的なタッチを加えます。
2017年から2018年にかけては、接ぎ木によってフランスのジュラとかサヴォワ地区原産の15種類のブドウを植えました。植えた品種はモンデュース(Mondeuse)、サヴァニャン・ヴェール(Savagnin Vert)、サヴァニャン・ジョーヌ(Savganin Jaune)、プルサール(Poulsard)、アルテス(Altesse)、トゥルソー(Trousseau)、ガメイ・ノワール(Gamay Noir)など。また、サイダー用にハーフエーカーだけりんごも植えました。
ワインはすべて除梗なしで天然酵母を使って発酵、ニュートラルな樽で熟成します。SO2は添加しません。ピノ・ノワールにガメイ・ノワールとモンデュースのブレンドなど、ユニークなワインも様々作っています。
1500ケースの生産量ですが、これまでのところ販売は順調のようです。
パソ・ロブレスのジャスティン(Justin)に付属するレストラン「ザ・レストラン・アット・ジャスティン」がミシュラン・ガイドのカリフォルニアで一つ星を獲得しました。ワイナリー付属のレストランが星を獲得するのは、異例のことです。
ジャスティンは1991年にレストランを開設しました。その頃、パソロブレスはかなりの田舎であり、ワイナリーから数マイル離れないとレストランもないようなところでした。
躍進の理由は2019年に加わったエグゼクティブ・シェフのレイチェル・ハグストロム。ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ、ウルフギャング・パックのポストリオ(閉店)、そしてフレンチ・ランドリーで働いた経験があります。
ディナーは4皿で225ドルのコース。ジャスティンのワインとのペアリングもあります。
ワイナリーにとって、テイスティングでペアリングメニューを提供することは重要であり、ミシュラン星付きのレストランからシェフをひきぬくことも珍しくありません。
ただ、どこのワイナリーもジャスティンのようにできるかというと、難しいようです。ナパやソノマはワイナリーがフルサービスのレストランをやることも禁じられています。ペアリング・メニューなどをやっているところもありますが、かなりギリギリの線のようです。
パソ・ロブレスにいかれる方はぜひ、食事も楽しんでください。
ジャスティンは1991年にレストランを開設しました。その頃、パソロブレスはかなりの田舎であり、ワイナリーから数マイル離れないとレストランもないようなところでした。
躍進の理由は2019年に加わったエグゼクティブ・シェフのレイチェル・ハグストロム。ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ、ウルフギャング・パックのポストリオ(閉店)、そしてフレンチ・ランドリーで働いた経験があります。
ディナーは4皿で225ドルのコース。ジャスティンのワインとのペアリングもあります。
ワイナリーにとって、テイスティングでペアリングメニューを提供することは重要であり、ミシュラン星付きのレストランからシェフをひきぬくことも珍しくありません。
ただ、どこのワイナリーもジャスティンのようにできるかというと、難しいようです。ナパやソノマはワイナリーがフルサービスのレストランをやることも禁じられています。ペアリング・メニューなどをやっているところもありますが、かなりギリギリの線のようです。
パソ・ロブレスにいかれる方はぜひ、食事も楽しんでください。
モントレーで2022年10月、新たなAVAが申請されました。名前は「カーメル・コースト(Carmel Coast)」。申請したのはPaleo、Messier、Albatross Ridgeといったワイナリーの代表者。
図にあるように、現在はモントレーのサリナス・ヴァレーからサンタ・ルシア・ハイランズを挟んだ西側にカーメル・ヴァレーというAVAがあります。ここは非常に冷涼なモントレーとは異なり、冷たい風があまり入ってこないこのあたりでは例外的に温暖なところ。そのためカベルネ・ソーヴィニヨンなどのボルドー品種が中心に栽培されています。
今回申請されたカーメル・コーストのエリアは正確には不詳ですが、より太平洋に近く、遮るものなく冷気が来るエリアです。
トータルで4100エーカーということなので4km四方ほどのエリアだと思われます。ブドウ畑は現状ではわずか90エーカーしかありません。ほとんどがピノ・ノワールやシャルドネが植えられています。
今年はモントレーの南のサン・ルイス・オビスポ郡でSLOコーストAVAが認められ、ソノマではウエスト・ソノマ・コーストAVAがようやく認可されるなど、冷涼系AVAの認可が続いています。カーメル・コーストもこれらに続くことができるでしょうか。
図にあるように、現在はモントレーのサリナス・ヴァレーからサンタ・ルシア・ハイランズを挟んだ西側にカーメル・ヴァレーというAVAがあります。ここは非常に冷涼なモントレーとは異なり、冷たい風があまり入ってこないこのあたりでは例外的に温暖なところ。そのためカベルネ・ソーヴィニヨンなどのボルドー品種が中心に栽培されています。
今回申請されたカーメル・コーストのエリアは正確には不詳ですが、より太平洋に近く、遮るものなく冷気が来るエリアです。
トータルで4100エーカーということなので4km四方ほどのエリアだと思われます。ブドウ畑は現状ではわずか90エーカーしかありません。ほとんどがピノ・ノワールやシャルドネが植えられています。
今年はモントレーの南のサン・ルイス・オビスポ郡でSLOコーストAVAが認められ、ソノマではウエスト・ソノマ・コーストAVAがようやく認可されるなど、冷涼系AVAの認可が続いています。カーメル・コーストもこれらに続くことができるでしょうか。
リヴァモア・ヴァレーにあるウェンテ・ヴィンヤーズ(Wente Vineyards)が、1883年の創設以来初めてボトル詰めラインを一新しました。
新しいボトル詰めラインは、これまでよりも大幅に軽量化したボトルに対応します。ワインの生産から販売における二酸化炭素の排出量の中で一番大きな割合を占めるのがガラスボトル。製造時に発生する二酸化炭素のほか、重く・長い距離を配送することによる排出量が大きな問題になります。ガラスの軽量化は二酸化炭素排出を減らすための最重要ポイントとも言えます。
新しいボトルの重量は410グラム。従来の620グラムのボトルの約3分の2の軽さです。また、新システムでは加熱に使った熱量を回収し、すすぎ水を再利用することで、エネルギーと水を節約できます。ガラスサプライヤーから直接出荷されるバルクガラスの統合により、再梱包業者へのガラス出荷のステップがなくなり、年間16400マイルの二酸化炭素排出量を削減できるといいます。
このほか、充填装置とワインの処理ラインを自動的に掃除するシステムや充填と栓詰めをHEPAフィルターで空気を濾過した環境で行うなど、自動化と清潔化を推し進めています。
ボトル200グラム軽量化はかなり大きいと思います。ワインを入れた状態でも1.2kgくらいで済む計算です。
新しいボトル詰めラインは、これまでよりも大幅に軽量化したボトルに対応します。ワインの生産から販売における二酸化炭素の排出量の中で一番大きな割合を占めるのがガラスボトル。製造時に発生する二酸化炭素のほか、重く・長い距離を配送することによる排出量が大きな問題になります。ガラスの軽量化は二酸化炭素排出を減らすための最重要ポイントとも言えます。
新しいボトルの重量は410グラム。従来の620グラムのボトルの約3分の2の軽さです。また、新システムでは加熱に使った熱量を回収し、すすぎ水を再利用することで、エネルギーと水を節約できます。ガラスサプライヤーから直接出荷されるバルクガラスの統合により、再梱包業者へのガラス出荷のステップがなくなり、年間16400マイルの二酸化炭素排出量を削減できるといいます。
このほか、充填装置とワインの処理ラインを自動的に掃除するシステムや充填と栓詰めをHEPAフィルターで空気を濾過した環境で行うなど、自動化と清潔化を推し進めています。
ボトル200グラム軽量化はかなり大きいと思います。ワインを入れた状態でも1.2kgくらいで済む計算です。
12月16日から公開される映画「チーム・ジンバブエのソムリエたち」の試写会に当選して、見てきました。WOSA(南アフリカワイン協会)さん、ありがとうございます!
ジンバブエはアフリカ南部の国家で南アフリカとも一部接しています。人口一人当たりのGDPは南アフリカの4分の1くらいしかない貧しい国です。産業はプラチナなどの鉱業や小麦などの農業など。かつては小麦の生産性が非常に高かったとのことですが、白人農家から強制的に土地を収用するなどの政策によってノウハウを持つ白人農家がいなくなって今は見る影もないようです。南アフリカよりも赤道に近く、内陸ですから気候は熱帯性。標高が高くむちゃくちゃ暑いということではなさそうですが、ワインを算出する国ではありません。
この貧しい国から南アフリカに難民としてやってきた人たちがいるわけですが、中には南アフリカでワインに触れ、一流レストランのソムリエにまでなった人もいます。
この映画はそういったジンバブエ難民のソムリエ4人がフランスで行われるブラインドテイスティング大会に出場する過程を描いたドキュメンタリーです。映画の紹介文の中にはワイン版「クール・ランニング」といった言葉もありましたが、ジャマイカのボブスレーチームのオリンピック挑戦を描いた「クール・ランニング」は史実を元にはしていますが、あくまで娯楽作品として作られたものであるのに対し、こちらはドキュメンタリー。リアルな人の感情が映し出されます。なお、監督はこれもドキュメンタリー作品である『世界一美しいボルドーの秘密』を撮ったワーウィック・ロス&ロバート・コー。
前半では4人それぞれのワインを飲むようになった経緯など、過去の振り返りが中心になります。4人は南アフリカのソムリエ・コンテストで上位に入賞し、チームを組んでブラインドテイスティング大会に挑戦することを決意します。ただ、お金がないのでクラウドファンディングで資金を集め、その過程でジャンシス・ロビンソンに注目されます。
映画の白眉は、フランスに行ってから。4人はコーチとしてドゥニ・ガレという、南アフリカの4500種のワインを試飲し、「世界のベストソムリエ」にも選ばれた人を雇いますが、この人が一筋縄ではいかない。ジンバブエ・チームは経験の浅さを補うため、大会の少し前にフランスに行き、フランスやドイツの各地で数多くのワインを試飲していきます。途中までは南アフリカのチームと一緒なのですが、途中で仲違いもあり…
前述のように、この映画はドキュメンタリーですから、これらは筋書きもなく、リアルに実際に起こったことを映し出しています。その緊張感が素晴らしい。
ワイン好きも、そうでない人も楽しめると思いますが、ブラインドテイスティングの場面ではブドウ品種や産地の名前もポンポン出てきますから、サンジョベーゼやグルナッシュなどと聞いて産地やワインのイメージができるとより楽しめると思います。
なお、今回の試写会では水天宮前の南アフリカ専門ワインショップ「アフリカー」さん提供で南アフリカワインの試飲もありました。重ねてありがとうございます。
ちなみに個人的には白(シャルドネ)の方が好みでした。
米国で今大人気なのが「ホワイト・ロータス(White Lotus)」というHBOのドラマ。同名の架空のリゾート・ホテル・チェーンに訪れる客や従業員の複雑な事情をシュールに描くコメディ×ミステリーだそうです。もともと6回の短い連続ドラマとして制作されましたが、あまりにも人気が高くてシーズン2が作られることになりました。最初のシーズンはハワイ、第2シーズンはイタリアのシシリーが舞台になっています。
このシーズン2ではシシリーでワイナリーを訪れる話が出てくるようです。サイドウェイズのように、ワイナリーめぐりがメインというものではありませんが、もしかするとこれでシシリーのワインが人気になることもあるかもしれません。
ちなみに日本ではU-NEXTで『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』というタイトルで配信されています。
U-NEXTの申込みはこちらから
このシーズン2ではシシリーでワイナリーを訪れる話が出てくるようです。サイドウェイズのように、ワイナリーめぐりがメインというものではありませんが、もしかするとこれでシシリーのワインが人気になることもあるかもしれません。
ちなみに日本ではU-NEXTで『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』というタイトルで配信されています。
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中国の福建省で、福建省では最大の偽造ワインが摘発を受けました。シャトー・ラフィット・ロートシルトとオーストラリアのペンフォールズの偽造ボトル4万本を超え、市場価格に換算すると1100万人民元(2億円超)を超えていました(Over 40,000 fake Lafite and Penfolds wines uncovered in Fujian - Vino Joy News)。
警察が漳州市にある容疑者の倉庫 3 つを家宅捜索した結果、40084本の偽造ワインと、ペンフォールズとラフィットの大量のラベルや箱が発見されました。
福建省は中国の中でも裕福な省でワインの消費も多く、偽造ワインの標的になっているとのこと。
ちなみに、史上最大のワイン偽造事件として知られているルディ・クルニアワンは1年に1万本を超える偽造ワインを販売していたことがあり、2016年時点でまだ市場価値5億5000万ドルを超えるクルニアワン製の偽造ワインが出回っているとされています。
日本でもネットオークションではしばしば偽造ワインらしいワインが出回っています。出所が不明なワインにはくれぐれもお気をつけを。
警察が漳州市にある容疑者の倉庫 3 つを家宅捜索した結果、40084本の偽造ワインと、ペンフォールズとラフィットの大量のラベルや箱が発見されました。
福建省は中国の中でも裕福な省でワインの消費も多く、偽造ワインの標的になっているとのこと。
ちなみに、史上最大のワイン偽造事件として知られているルディ・クルニアワンは1年に1万本を超える偽造ワインを販売していたことがあり、2016年時点でまだ市場価値5億5000万ドルを超えるクルニアワン製の偽造ワインが出回っているとされています。
日本でもネットオークションではしばしば偽造ワインらしいワインが出回っています。出所が不明なワインにはくれぐれもお気をつけを。
コストコに行ったら、ワイン売り場で見慣れないワインがありました。「K Vintners」みたいなラベルだなあと思って裏ラベルを見たらビンゴ! K Vintnersのワインメーカーであるチャールズ・スミスが作ったワインでした。ワシントンのワルーク・スロープ・ヴィンヤードという畑の単一畑のようです。ワルーク・スロープAVAではチャールズ&チャールズのカベルネなども作っているようで、そのあたりの畑なのでしょう。このAVAはワシントンの中でもレッド・マウンテンと並んで温暖なエリアだといいます。
米国のコストコでは13.99ドル(税抜き)。日本では1788円(税抜き)でした。単純計算で1ドル127円くらいになりますから、今の為替で考えるより安いです。
肝心の味わいですが、さすがチャールズ・スミス。チャールズ・スミスのコスパ・カベルネといえば「ワイン・オブ・サブスタンス」という素晴らしいワインがありますが、それと比べても見劣りしなさそうです。ミディアム・プラスボディで、酸が結構しっかりしていてバランスがいいワインです。黒果実中心の果実味にタンニンもしっかりしていますが、渋いタンニンではなくこなれています。さすがですね。もう何本か買っておけばよかった。
カリフォルニアにおける有機栽培の認証というと、先日ト・カロンの有機栽培化で紹介したCCOFがあり、このほかバイオダイナミクスやそのフランス語読みのビオディナミという名前で知られるデメター(Demeter)があります。有機栽培はその名の通り、化学肥料や農薬を使わずに栽培する農法であり、バイオダイナミクスはオーストリアのルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、単に化学肥料や農薬を使わないだけでなく、天体の作用に基づく暦で作業が決まったり、特別な調合剤を使うといった取り決めも数多くあります。一般的に言うと、バイオダイナミクスの認証を受ける方が有機栽培よりも大変です。
ところが、これ以上に合格するのが難しいとされる認証があります。それが環境再生型有機認証(Regenerative Organic)です。土壌を改善して環境を修復するといった目的があり、地面を極力耕さないなどの特徴があります。また、従業員や動物の福祉といったところも審査対象になっており、理念としては「よりよい」活動をめざすSDGsに近いといえるかもしれません。
これをナパのニール・ファミリーがナパのワイナリーとしては初めて取得しました。カリフォルニアではほかにパソロブレスのタブラス・クリーク、メンドシーノのボンテラ(フェッツァー)が取得しています。世界的に見てもそれ以外のワイナリーではオレゴンのTroon Vineyard、アルゼンチンのDomaine Bousquet S.A.だけが登録されており、ニール・ファミリーは世界で5番目ということになります。
審査においては、従業員のインタビューなども含まれるのがユニークです。また、前述のように土地を耕さないというのが項目に入っていますが、ブドウ畑では土地を耕すのが一般的です。また、土を耕すと二酸化炭素が放出されるのがデメリットとされていますが、土を耕さない場合は、灌漑用の水がより多く必要になり、灌漑のための電力も必要になります。耕さなければいいというほど単純ではありません。そこでニール・ファミリーでは畑の畝の間を1列おきに耕すところとカバークロップを植えるところ、と分けて50%の耕起ということで認証を受けたといいます。
「自然派」の流れはこれからどうなっていくのでしょう。
ところが、これ以上に合格するのが難しいとされる認証があります。それが環境再生型有機認証(Regenerative Organic)です。土壌を改善して環境を修復するといった目的があり、地面を極力耕さないなどの特徴があります。また、従業員や動物の福祉といったところも審査対象になっており、理念としては「よりよい」活動をめざすSDGsに近いといえるかもしれません。
これをナパのニール・ファミリーがナパのワイナリーとしては初めて取得しました。カリフォルニアではほかにパソロブレスのタブラス・クリーク、メンドシーノのボンテラ(フェッツァー)が取得しています。世界的に見てもそれ以外のワイナリーではオレゴンのTroon Vineyard、アルゼンチンのDomaine Bousquet S.A.だけが登録されており、ニール・ファミリーは世界で5番目ということになります。
審査においては、従業員のインタビューなども含まれるのがユニークです。また、前述のように土地を耕さないというのが項目に入っていますが、ブドウ畑では土地を耕すのが一般的です。また、土を耕すと二酸化炭素が放出されるのがデメリットとされていますが、土を耕さない場合は、灌漑用の水がより多く必要になり、灌漑のための電力も必要になります。耕さなければいいというほど単純ではありません。そこでニール・ファミリーでは畑の畝の間を1列おきに耕すところとカバークロップを植えるところ、と分けて50%の耕起ということで認証を受けたといいます。
「自然派」の流れはこれからどうなっていくのでしょう。
リーデルの新しいマシンメイド・グラス「Veloce(ヴェローチェ)」シリーズのセミナーに参加しました。講師はなんとリーデルの当主であるマキシミリアン・リーデルその人です。ステムのない「O(オー)」シリーズを開発した人としても知られており、伝統を守りながらも新しいチャレンジに果敢に取り組む人というイメージがあります。
Veloceシリーズは最先端のマシンメイド技術で作られたグラス。「マシンメイドだけどハンドメイドと区別できないレベル」だと胸を張るマキシミリアン氏。グラスの技術者は厳しい労働で極めて人手不足だとのこと。マシンメイドで作れるというのは想像する以上に大事なことのようです。
写真でもわかると思いますが、かなり大ぶりなグラスでステムも長く、とても細い。一方で台座はかなり大きく、持ったときや置くときの安定感があります。素人からするとステムの細さばかりが気になりますが、実はマシンメイドで大きな台座を作るというのも大変な技術だそう。今回の直径10cmの台座というのを実現したのはかなりすごいことのようです。重さもかなり軽いです。
最近はユニバーサルタイプのいろいろなワインに使えるグラスの人気が上がっていますが、リーデルは品種に特化したグラスにこだわり続けています。もうひとつ今回の特徴として、グラスの種類が台座に記されています。
今回はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスで試飲しました。
ワインは3種類、シャルドネとピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンがプラスチックコップで供されます。
最初はシャルドネ。これをシャルドネのグラスとソーヴィニヨン・ブランのグラス、ピノ・ノワールのグラスで試します。プラスチックコップで供されるのは自分でグラスに入れることで、同じワインを入れていることを確認するためです。
マキシミリアン氏はまず、グラスを横向きにして1周回し、グラスにワインをまとわりつくようにします(これは今回試飲用でグラスに入れるワインの量が少ないためで、毎回これをやれというわけではありません)。
そして、横向きにしたところで上から見て、液体の形がどうなっているかを見るように指示しました。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、これがシャルドネ用のグラスの場合です。
これがソーヴィニヨン・ブラン用のグラスの場合。
これがピノ・ノワール用のグラスの場合です。
写真で見えにくいかとは思いますが、シャルドネのグラスの場合、グラスの縁に近い方の液体の形がやや丸みを帯びていて柔らかい曲線になっています。グラスの縁の部分が一番大きくなっているためですが、ワインが口に入ってくるときにも柔らかく入ってきてクリーミーな口当たりです。果実味を強く感じますが後からミネラル感もやってきます。
これが小ぶりなソーヴィニヨン・ブラン用のグラスの場合はミネラル感が強くなり、果実味はあまり感じられなくなります。アルコール感は強くなります。果実味を重視しない場合ならこれもありかもしれませんが、シャルドネらしい芳醇さが弱いのは否めません。
ではピノ・ノワール用のグラスだとどうでしょうか。大きさはシャルドネ用と似ていますが、口のところがよりすぼまっていて、グラスを横向きにしたときに液体が作るひし形も、より口の方に向かって細くなります。飲んでみると石灰や貝殻の風味を強く感じますが、果実味は弱く、全体にぼやけた味わいになってしまいました。この3種のグラスの中では明らかにこれが一番美味しくありません。
マキシミリアン氏に言わせると、ブルゴーニュの白と赤で同じグラスを使うのは大きな間違いだとのこと。シャルドネとピノ・ノワールの間にはテロワール以外に共通する要素がないといいます。
2番めのピノ・ノワールはピノ・ノワール用のグラスの他、シャルドネのグラスとカベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスで試飲しました。
ピノ・ノワール用のグラスはバランスよく、果実味を豊かに感じます。
一方、シャルドネ用のグラスでは、味わいがぼけてしまい、香りや味わいを取るのがちょっと難しくなりました。さらに意外とタンニンを強く感じ、苦味も強くなります。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンのグラスでは、よりストラクチャーを感じますが、ワインのアロマは感じにくくなります。シャルドネ用のグラスよりはこちらがいいと思いましたが、ピノ・ノワールらしさはあまりなくなります。これも明らかにピノ・ノワール用のグラスが一番でした。
最後はカベルネ・ソーヴィニヨンの試飲です。これはカベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスのほか、ソーヴィニヨン・ブランのグラス、ピノ・ノワールのグラスで試飲しました。
カベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスでは黒果実や青果実、チョコレートや皮革などの味わい。カベルネ・ソーヴィニヨンらしさが出ていて美味しいです。
ちなみに今回試飲したワインはどれもケンダル・ジャクソンのグランド・リザーブ・シリーズのものだったようです。果実味豊かなカリフォルニアワインの場合はよりグラスの違いが際立って感じられるといった面もあったかもしれません。
こぶりなソーヴィニヨン・ブラン用のグラスだとタンニンや苦味が助長され、セカンダリーのアロマがあまり感じられなくなります。また、ピノ・ノワール用のグラスでは甘やかさが強くなり「アマローネのよう」(マキシミリアン氏)になります。また、これも不思議とスパイスや苦味を強く感じるようになります。
セミナーではこのほかマキシミリアン氏によるデカンティングの実演などもあり、終始なごやかで楽しいものでした。
試飲に使ったグラスも持ち帰れたのですが、最大の問題はこの大ぶりのグラス4つをどこに収納するかです…
ともかく、非常に高級感がありいいグラスであることは間違いありません。リーデルのマシンメイドのグラスではVinumをずっと使っていますが、ステムはやや太く、重さもあって、実用にはいいのですがちょっとやぼったさがあるのは否めないと思っていました。それに比べると今回のグラスは細くて軽く、よりワインが美味しく感じられるものになっています。
ソーヴィニヨン・ブラン用のグラスはスパークリングにも十分使えそうです(ブラン・ド・ノワールの場合はピノ・ノワール用のグラスをお薦めするとのこと)。ちょっといいワインを飲むときに使っていきたいと思います。