12月16日から公開される映画「チーム・ジンバブエのソムリエたち」の試写会に当選して、見てきました。WOSA(南アフリカワイン協会)さん、ありがとうございます!

ジンバブエはアフリカ南部の国家で南アフリカとも一部接しています。人口一人当たりのGDPは南アフリカの4分の1くらいしかない貧しい国です。産業はプラチナなどの鉱業や小麦などの農業など。かつては小麦の生産性が非常に高かったとのことですが、白人農家から強制的に土地を収用するなどの政策によってノウハウを持つ白人農家がいなくなって今は見る影もないようです。南アフリカよりも赤道に近く、内陸ですから気候は熱帯性。標高が高くむちゃくちゃ暑いということではなさそうですが、ワインを算出する国ではありません。

この貧しい国から南アフリカに難民としてやってきた人たちがいるわけですが、中には南アフリカでワインに触れ、一流レストランのソムリエにまでなった人もいます。

この映画はそういったジンバブエ難民のソムリエ4人がフランスで行われるブラインドテイスティング大会に出場する過程を描いたドキュメンタリーです。映画の紹介文の中にはワイン版「クール・ランニング」といった言葉もありましたが、ジャマイカのボブスレーチームのオリンピック挑戦を描いた「クール・ランニング」は史実を元にはしていますが、あくまで娯楽作品として作られたものであるのに対し、こちらはドキュメンタリー。リアルな人の感情が映し出されます。なお、監督はこれもドキュメンタリー作品である『世界一美しいボルドーの秘密』を撮ったワーウィック・ロス&ロバート・コー。

前半では4人それぞれのワインを飲むようになった経緯など、過去の振り返りが中心になります。4人は南アフリカのソムリエ・コンテストで上位に入賞し、チームを組んでブラインドテイスティング大会に挑戦することを決意します。ただ、お金がないのでクラウドファンディングで資金を集め、その過程でジャンシス・ロビンソンに注目されます。

映画の白眉は、フランスに行ってから。4人はコーチとしてドゥニ・ガレという、南アフリカの4500種のワインを試飲し、「世界のベストソムリエ」にも選ばれた人を雇いますが、この人が一筋縄ではいかない。ジンバブエ・チームは経験の浅さを補うため、大会の少し前にフランスに行き、フランスやドイツの各地で数多くのワインを試飲していきます。途中までは南アフリカのチームと一緒なのですが、途中で仲違いもあり…

前述のように、この映画はドキュメンタリーですから、これらは筋書きもなく、リアルに実際に起こったことを映し出しています。その緊張感が素晴らしい。

ワイン好きも、そうでない人も楽しめると思いますが、ブラインドテイスティングの場面ではブドウ品種や産地の名前もポンポン出てきますから、サンジョベーゼやグルナッシュなどと聞いて産地やワインのイメージができるとより楽しめると思います。


なお、今回の試写会では水天宮前の南アフリカ専門ワインショップ「アフリカー」さん提供で南アフリカワインの試飲もありました。重ねてありがとうございます。
ちなみに個人的には白(シャルドネ)の方が好みでした。