今日から十数回、執筆中のカリフォルニアワイン本から歴史の章を転載していきます。ご意見・ご感想、お願いします。

カリフォルニアにおけるワイン作りはキリスト教とともに広がりました。最初のワイン畑は17世紀にできたそうですが、ワイナリを最初に作ったのはスペインからの修道士Junipero Serra(フニペロ・セラ)です。18世紀末にMission San Juan Capistranoという教会に併設してブドウ畑とワイナリを作りました。ほかにも8つのミッションにワイナリを作り、「カリフォルニアワインの父」とも言われています。

19世紀になるとワイン作りも広がります。カリフォルニアで最初のビジネスとしたのワイナリと言われているのがソノマのBuena Vista(ブエナ・ビスタ)です。ハンガリー人のAgoston Haraszthy(アゴストン・ハラツィ)が1857年に設立しました。続いて、1858年には今でも家族経営のワイナリとして続いているGundlach Bundschu(ガンロック・バンチュー)が設立。ソノマに2つのワイナリができました。

Agoston Haraszthyは「カリフォルニアの近代的ワイン作りの父」とも呼ばれており、ヨーロッパからぶどうの樹のカッティング(枝を切ったもの)を10万本注文する(実際に持ち帰ったのは一部らしい)などの功績を残しました。ただ、この人は話上手で大言壮語を使って人を引き込むのは得意だったようですが、事業を運営するのは苦手。いろいろと大きなことをやろうとしては失敗する、といったことを続けました。最後はニカラグアに砂糖のプランテーションを作りに行き、ワニに食べられて亡くなったと言われています。

ナパでは1861年にCharles Krug(チャールズ・クリュッグ)が最初のワイナリとして設立されました。この後、1876年にはBeringer、1879年にはInglenook、1900年にはBeaulieu Vineyardができました。

Inglenookはフィンランド人のGustave Niebaum(グスタフ・ニーバウム)が設立したワイナリで、プレミアムワインを志向した最初のワイナリになりました。