常にカリフォルニアワインの中心だったナパは、カルトワインブーム以降、求心力を失っているように見えます。変わってソノマやセントラル・コーストのワイナリに注目が集まるようになりました。


2004年に公開された映画「Sideways(サイドウェイ)」は、Santa Barbara(サンタ・バーバラ)を舞台にしており、主人公が好きなワインもPinot Noir(ピノ・ノワール)でした。ここからピノブームが始まりました。


ソノマではWine Spectator誌で高く評価されて一時期カルト的な人気を博したKosta Browne(コスタ・ブラウン)や、請負のワインメーカーを大幅に減らしたHelen Turley(ヘレン・ターリー)のワイナリMarcassin(マーカッサン)、Kistler(キスラー)などが注目を受けました。いずれもPinot Noirを得意としており、MarcassinとKistlerはシャルドネでもトップクラスです。


セントラルコーストではMonterey(モントレー)近くのSanta Lucia Highlands(サンタ・ルシア・ハイランズ、SLH)とSanta BarbaraのSanta Rita Hills(サンタ・リタ・ヒルズ)がPinot Noirの産地として急上昇しました。SLHではブルゴーニュのLa Tacheから枝木を持ち帰って植えたという伝説を持つGary Pisoniが持つPisoniの畑や、Gary Pisoniの盟友であるGary Franscioniと共同で持つGarys'の畑など、ブドウ畑が注目されました。多くのワイナリがPisoniやGarys'のブドウを使ったPinot Noirを作っています。また、Santa BarbaraのSanta Rita Hillsでは、若いワインメーカーが切磋琢磨して品質を向上させました。Loring(ロウリング)やBrewerーClifton(ブリュワー・クリフトン)といったワイナリに注目が集まりました。


カリフォルニアの中央近くPaso Robles(パソ・ロブレス)も注目の地域です。Alban(アルバン)やSaxum(サクサム)などシラー系のワインが特に品質が高く、この二つのワイナリはRobert Parkerが100点を付けたワインがあります。


※歴史シリーズはこれで終了です。