悪いワインの状態としては、ブショネと熱劣化が知られています。ブショネの方は製造段階の問題ですが、熱劣化は流通段階。流通経路や保存状況などによって起こります。長期保存にワインセラーが必要というのは、熱劣化を防ぐのが第一の理由です。

熱劣化というと、高い熱にワインがさらされることによって化学的な変化が生じるものと思っていたのですが、最近の実験によると、どうやらそうではないという話が有力になってきたようです。

古くからのワインの友人であるshuzさんが、これについてブログに一連の記事を書いています。また、詳しくはリアルワインガイドに書く予定とのことです。

ワインの保存に関する考察2013~その1
ワインの保存に関する考察2013~その2
ワインの保存に関する考察2013~その3
ワインの保存に関する考察2013~その4
ワインの保存に関する考察2013~その5(追記あり)
ワインの保存に関する考察2013~その6
ワインの保存に関する考察2013~その7
ワインの保存に関する考察2013~その8
ワインの保存に関する考察2013~その9
ワインの保存に関する考察2013~その10

私の理解している範囲で要点をかいつまんで紹介すると
・ワインに高熱を加えて、その前後の味の変化を調べると、ほとんど劣化はない
・熱劣化は高温でボトル内の空気が膨張し、ワインが「噴いた」後、空気(酸素)が入りこむことによる酸化が原因と見られる
・脱酸素剤を入れて密封した袋でワインを保存すれば(「脱酸素剤パック」と呼んでいます)、室温保存であっても酸素が入り込まず、熱劣化が起こらない可能性がある
・3年間そのような形で保存したワインと、セラーで保存したワイン(同銘柄)をブラインドで比較したところ、優劣の違いはほとんどなかった
とのことです。

今回の結果としては、余計な酸素が入り込まなければ、ワインは劣化しないという仮説は成り立っていました。

もし、これが本当であれば、「いいワインが1本だけあるんだけど、ワインセラーなんかとても買えない」といった人にとっても脱酸素剤パックを使うことで長期保存が可能になるかもしれません。

shuzさんは、劣化しやすい自然派ワインの保存にも効果的ではないかと言っています。

また、既にワインセラーを使っている人にとっても、故障対策で脱酸素剤パックを利用する価値があるかもしれません。

さらに想像を巡らすと、ワイナリが出荷する時点で脱酸素剤パックに入れたら、流通過程における劣化をほとんどなくせるかもしれません。

このように、脱酸素剤パックはワインの流通・保存に革命的な手段になる可能性さえ秘めているのです。

今後、より専門的な実験・検証が行われることを期待します。

最後に、脱酸素剤パックを作るのに必要なものを紹介しておきます。