TTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)は8月6日、サンタ・バーバラのAVAであるサンタ・リタ・ヒルズ(Sta. Rita Hills)の拡大を申請し、2カ月間のパブリックコメントを募集しています(An In-Depth Look at the Proposed Sta Rita Hills AVA Expansion | Hawk Wakawaka Wine Reviews)。ところがSta. Rita Hills Winegrowers Allianceが拡大案に反対を表明するなど不穏な状況になっています。

今回の拡大案は東側の境界線を広げるもの。現在の33380エーカーから2296エーカー広くなります。新領域に含まれる畑はJohn Sebastiano Vineyards、Rio Vista Vineyard、Pence Ranch Vineyardの3つです。

拡大派のリーダーはPence RanchのBlair Pence。彼の作るブドウの多くは、Sta. Rita Hillsのワイナリに売られ、Sta. Rita HillsのAVAワインにブレンドされています(15%まではエリア外のブドウを入れられます)。Sta. Rita Hills外のブドウであることで1トンあたり1000ドルほど安く売らざるをえないとBlair Penceは試算しています。

また、John Sebastiano Vineyardsの場合は畑の中に境界線があるため、同じ畑なのに1列違いでAVAの中か外か変わってくるという状況になっているとのことです。

一方、Sta. Rita Hills Winegrowers Allianceによると、現在のAVAが東西の斜面であるのに対し、拡大案は南北の斜面であり、土壌も違うとのこと。

こういった議論が起こるのは、Sta. Rita HillsというAVAの人気が高いからというのが背景にあります。おそらく2000年以降にできたAVA(Sta. Rita Hillsは2001年策定)の中で一番成功しているのではないでしょうか。

同じようなことはソノマのRussian River Valleyでも起こっています。AVAの名前がブランド化するのは望ましいことではありますが、むやみな拡大は個性を失う原因になってしまいかねないので、難しい判断が求められます。

参考までに、最近のAVA策定にまつわる記事のリンクを貼っておきます。
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カリフォルニアに新しいAVA「Malibu Coast」が誕生
ソノマのRussian River Valley、分割に向けて一歩を踏み出すか