IPOBについては、セミナーやインタビューなどの記事を書いてきました。ちょっと時間が経ってしまいましたが、まとめた感想を書いておきたいと思います。

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まず、試飲会の感想ですが、予想以上に美味しいワインが多かったです。個人的に特に印象に残ったのはハーシュですが、ドメーヌ・ド・ラ・コートやリオコ、ビッグ・ベイスン、ウインド・ギャップなどもまた飲みたいと思うワインでした。

IPOBは濃い、アルコール度が高いピノ・ノワールへのアンチテーゼとして始まったこともあり、薄くて酸っぱいワインが多いのではないかと、実はちょっと心配していた面もあったのですが、実際に試飲会で出ていたワインは、予想以上にカリフォルニアらしいワインでした。カリフォルニアらしいというのは、いい意味で果実味が豊かなワインが多かったということです。IPOBがカリフォルニアの良さを殺してしまっているという批判は当たらないように思いました。

一方で、IPOBのワインについてテイスティング・コメントを書くのはなかなか大変でした。バランスの良さというのをコメントに落としこもうとしてもいい表現が出てきません。自分自身のテイスティング能力の低さを思い知らされました。

ところで、米国では「サードウェーブ」と言われる新しいコーヒー屋のブームが起きていました。これとの類似についても改めて強く感じました。

二昔まえまで、アメリカでコーヒーといえば、いわゆるアメリカン・コーヒーのような薄い風味のないものばかりでした。それに対して「セカンドウェーブ」として出てきたのがスターバックスなど「シアトル系」のコーヒー屋です。これらは米国のコーヒーのレベルを大きく上げましたが一方で、やや画一的な味わいになってしまった面も否定できないでしょう。

そこで登場したのがサードウェーブです。コーヒー豆を比較的浅煎りにして、ワインで言えばテロワールをより感じやすいようにしていることなど、IPOBでよく聞かれた「畑の味わいを引き出す」ワインに通じるような気がしました。味わい的にも濃く強い味わいのシアトル系に対して、浅煎りで薄い味わいのサードウェーブと、従来のカリフォルニアワインに対するIPOBの立ち位置によく似ています。

また、IPOBは比較的若い人がよく飲んでいるという話がありました。そのあたりもサードウェーブに通じるところがあるような気がします。

サードウェーブ・コーヒーの代表的な店の1つブルーボトルは先日日本でも店を開き、大変なにぎわいになっているといいます。IPOBもカリフォルニアワインを引っ張るような存在になるのでしょうか。