モンテレーナの実力を再確認、「パリスの審判」40周年でボー・バレット来日セミナー
カリフォルニアワインがフランスの名だたるワインを打ち負かして、カリフォルニアワインの一大転機となったパリ・テイスティング、通称パリスの審判。それが行われた1976年から今年で40年ということで、関連したイベントが数多く行われます。
その、忙しい中、白ワインで一位になったシャトー・モンテレーナ(Ch. Montelena)のボー・バレットさんが来日、東京・青山のアカデミー・デュ・ヴァンでセミナーが開催されました。
まず、モデレーターの葉山考太郎さん(パリスの審判の本の翻訳も担当しています)から、パリスの審判の勝利は「高校野球のPL学園がプロ野球の阪神タイガースに勝つくらいすごいことだった」と紹介。その後、ボー・バレットさんから当時のことなどを聞いていきました。
ボーさんは当時22歳。オーナーである父のジム・バレットの元でセラーの下働きをしていたそうです。勝利の連絡がきたときも樽の仕事をしていたとのこと。インターネットもない当時、現地にいたジム・バレットからの連絡はテレグラムで来ました。受け取ったワインメーカーのマイク・ガーギッヂが「We won, We won」と、テレグラムの紙を振りながらやってきて皆で大騒ぎになったとのことでした。
そういう意味では勝利したワイン作りに直接携わっていたわけではなかったのですが、チームとしてそれに加われたことがとても名誉に感じたそうです。また、ジム・バレットはチームでなしとげたことと考えていたのに、マイク・ガーギッヂは「自分の功績」と言ってはばからない人だったので、袂を分かつ結果になってしまいました。
実はモンテレーナにとってはシャルドネは、それほど力を入れていたわけではなく、あくまでも本命の品種はカベルネ・ソーヴィニヨンでした。カベルネ・ソーヴィニヨンを作るための資金作りとして、購入したブドウでシャルドネを作っていたのです。
パリスの審判で勝利したことにより、シャルドネは飛ぶように売れていきました。ワイナリーとしては収入が増え、結果的に目的であるカベルネ・ソーヴィニヨンに手が届くようになりました。そういう意味で、この勝利は「dream comes true」でした。
奥さんで、有名なワインメーカーでもあるハイジ・ピーターソン・バレットさんとのなれそめの話も出ました。まだボーさんがフレスノ大学の学生だった時分、ナパのヨントヴィルにあるサルーンという西部劇に出てきそうなバーに入ったとき、目の前に座っていたのがハイジさんだったそうです。一目で恋に落ちてしまったとのこと。
ハイジさんとはまったく独立してワイン作りを行っていますが、2008年からはBarrett & Barrettというプロジェクトで一緒にワインを作っています。
さて、ここからは試飲です。
まずは極めて限定数しかないソーヴィニヨン・ブランの2014年。気の置けないワインで、みつや柑橘系の香りにアフターの苦味が心地よい味わい。
シャルドネは2013年、2011年、2007年の3ヴィンテージ。2013年は暖かい年で、花の香りにトロピカルフルーツの味わい。2011年は涼しい年ですが、意外にもリッチな味わい。2013年よりもボリュームを感じるほど。そして2007年は余韻が長く素晴らしい味わい。
ボーさんが語るには、シャルドネは水彩画のようなもので、色を加えていくとピュアなフルーツが失われてしまう。そうならないように作っているとのこと。新樽使用率は7%と低く、第一印象はそれほど押し出しがないようですが、熟成するほどに魅力を増してくるワインです。また、上記のように「足し算」していかないワイン作りというのは、引き算の料理といわれる和食との相性もいいように思います。
次は2012年のジンファンデル。ジンファンデルは自社畑で、ヴィオニエと一緒に醸造されているそうです。ジンファンデルにしては薄めで、これも押し出しはあまり強くないワイン。ブルーベリーの味わいやスパイスなどが心地よい。
最後の2つはエステートのカベルネ・ソーヴィニヨン。モンテレーナが自らの存在理由という気合を込めたワインです。ヴィンテージは2012年と2006年。
2012年は暖かい年で、ボリュームを強く感じる作り。パワフルで強いタンニン。すみれの香り、ブルーベリーやカシス、スパイスの味わい。もう数年置いておきたいワインです。
2006年はとてもバランスがいいワイン。酸がしっかりしており、それが全体を支えています。すばらしい。
ボーさんによると、ナパの土壌は、火山性、沖積、そして海底の堆積の3種類があるそうですが、モンテレーナのエステートの畑はこれら3つすべてを含んでいるとのこと。それが複雑な味わいを運営るようです。カベルネ・ソーヴィニヨンの新樽率は30%前後。
シャルドネにしてもカベルネ・ソーヴィニヨンにしても、モンテレーナのワインは10年程度は熟成してからが本領を発揮するようです。今回それを改めて確認できたのは大きいな収穫でした。
パリスの審判の本。絶版になっています。
その、忙しい中、白ワインで一位になったシャトー・モンテレーナ(Ch. Montelena)のボー・バレットさんが来日、東京・青山のアカデミー・デュ・ヴァンでセミナーが開催されました。
まず、モデレーターの葉山考太郎さん(パリスの審判の本の翻訳も担当しています)から、パリスの審判の勝利は「高校野球のPL学園がプロ野球の阪神タイガースに勝つくらいすごいことだった」と紹介。その後、ボー・バレットさんから当時のことなどを聞いていきました。
ボーさんは当時22歳。オーナーである父のジム・バレットの元でセラーの下働きをしていたそうです。勝利の連絡がきたときも樽の仕事をしていたとのこと。インターネットもない当時、現地にいたジム・バレットからの連絡はテレグラムで来ました。受け取ったワインメーカーのマイク・ガーギッヂが「We won, We won」と、テレグラムの紙を振りながらやってきて皆で大騒ぎになったとのことでした。
そういう意味では勝利したワイン作りに直接携わっていたわけではなかったのですが、チームとしてそれに加われたことがとても名誉に感じたそうです。また、ジム・バレットはチームでなしとげたことと考えていたのに、マイク・ガーギッヂは「自分の功績」と言ってはばからない人だったので、袂を分かつ結果になってしまいました。
実はモンテレーナにとってはシャルドネは、それほど力を入れていたわけではなく、あくまでも本命の品種はカベルネ・ソーヴィニヨンでした。カベルネ・ソーヴィニヨンを作るための資金作りとして、購入したブドウでシャルドネを作っていたのです。
パリスの審判で勝利したことにより、シャルドネは飛ぶように売れていきました。ワイナリーとしては収入が増え、結果的に目的であるカベルネ・ソーヴィニヨンに手が届くようになりました。そういう意味で、この勝利は「dream comes true」でした。
奥さんで、有名なワインメーカーでもあるハイジ・ピーターソン・バレットさんとのなれそめの話も出ました。まだボーさんがフレスノ大学の学生だった時分、ナパのヨントヴィルにあるサルーンという西部劇に出てきそうなバーに入ったとき、目の前に座っていたのがハイジさんだったそうです。一目で恋に落ちてしまったとのこと。
ハイジさんとはまったく独立してワイン作りを行っていますが、2008年からはBarrett & Barrettというプロジェクトで一緒にワインを作っています。
さて、ここからは試飲です。
まずは極めて限定数しかないソーヴィニヨン・ブランの2014年。気の置けないワインで、みつや柑橘系の香りにアフターの苦味が心地よい味わい。
シャルドネは2013年、2011年、2007年の3ヴィンテージ。2013年は暖かい年で、花の香りにトロピカルフルーツの味わい。2011年は涼しい年ですが、意外にもリッチな味わい。2013年よりもボリュームを感じるほど。そして2007年は余韻が長く素晴らしい味わい。
ボーさんが語るには、シャルドネは水彩画のようなもので、色を加えていくとピュアなフルーツが失われてしまう。そうならないように作っているとのこと。新樽使用率は7%と低く、第一印象はそれほど押し出しがないようですが、熟成するほどに魅力を増してくるワインです。また、上記のように「足し算」していかないワイン作りというのは、引き算の料理といわれる和食との相性もいいように思います。
次は2012年のジンファンデル。ジンファンデルは自社畑で、ヴィオニエと一緒に醸造されているそうです。ジンファンデルにしては薄めで、これも押し出しはあまり強くないワイン。ブルーベリーの味わいやスパイスなどが心地よい。
最後の2つはエステートのカベルネ・ソーヴィニヨン。モンテレーナが自らの存在理由という気合を込めたワインです。ヴィンテージは2012年と2006年。
2012年は暖かい年で、ボリュームを強く感じる作り。パワフルで強いタンニン。すみれの香り、ブルーベリーやカシス、スパイスの味わい。もう数年置いておきたいワインです。
2006年はとてもバランスがいいワイン。酸がしっかりしており、それが全体を支えています。すばらしい。
ボーさんによると、ナパの土壌は、火山性、沖積、そして海底の堆積の3種類があるそうですが、モンテレーナのエステートの畑はこれら3つすべてを含んでいるとのこと。それが複雑な味わいを運営るようです。カベルネ・ソーヴィニヨンの新樽率は30%前後。
シャルドネにしてもカベルネ・ソーヴィニヨンにしても、モンテレーナのワインは10年程度は熟成してからが本領を発揮するようです。今回それを改めて確認できたのは大きいな収穫でした。
パリスの審判の本。絶版になっています。