タブラス・クリークの創設者のロバート・ハースが亡くなりました。90歳でした(Remembering Robert Haas, one of the most influential figures in American wine - San Francisco Chronicle)。

RobertとJason Haas
(写真右がロバート)

ロバート・ハースはニューヨークの生まれ。父親が営んでいたリカー・ショップで働くようになり、米国で初めてボルドーの「フューチャー」(プリムール)での販売をするなど、さまざまな先駆的な試みをしました。

最初はフランスのワイン・ディーラーを通じてワインを入れていましたが、その人が1953年に亡くなった後はロバートがフランスにわたって多くのワイナリーと関係を築きました。

その1つがボーカステルでした。

父親がショップを売却した後は、インポーターになるものの、先駆すぎて商売はうまくいかなかったようです。

そこにボーカステルがカリフォルニアでワイナリーを作りたいという意向を示し、一緒にタブラス・クリークを立ち上げました。

当時はローヌ系のワインは米国ではほとんど造られておらず、苗木はフランスから運び、検疫など果てしない苦労を重ねながら、ようやく植えられるようになったそうです。

苗木を最初に運んだのが1989年。畑を植えたのはようやく1994年のことでした。1995年にはインポータービジネスをやめ、タブラス・クリークに専念するようになりました。

タブラス・クリークは最初から有機栽培を行うなど、いろいろな意味で先駆的でした。パソ・ロブレスがワイン産地として名乗りを上げたのもタブラス・クリークからと言っていいでしょう。

ナパのロバート・モンダヴィに匹敵するような偉人の一人だと思います。ご冥福をお祈りします。