山梨ワイナリー巡りの後編です。

前編はこちら(山梨ワイナリー訪問:奥野田ワイナリー)。

最初に断っておくと、今回はちょっと辛口です。

奥野田ワイナリーを出た後、おすすめされた「完熟屋」という店でランチにしました。山梨名物といえば「ほうとう」が有名ですが、「甲斐サーモン」という大型のニジマスの丼にしてみました。これが美味でよかったです。店も雰囲気よし。サイドでとった牛すじの煮込みもおいしかったです。
完熟屋完熟屋完熟屋

その後向かったのは「フジッコワイナリー」。「ふじっ子煮」で有名なフジッコが作ったワイナリーです。工場見学もしたかったのですが、次のツアーが1時間後ということであきらめ、試飲だけをしました。
勝沼
テイスティング・ルームは広々としてきれいです。入り口で受け付けをして、プラスチックのテイスティング用カップをもらって、自由に試飲するスタイル。試飲のワインは10種類程度ありましたが、クラノオト・シリーズの「デラウェア」や「ナイアガラ」など甘めのタイプも多く、あまりワインマニア向けな感じはありませんでした。フジクレールのルージュなど、それなりに美味しかったですが、購入にはいたらず。なお、今日の記事で取り上げるところはすべて無料試飲でした。あと、ナタデココの試食はおいしく、子どもが1つ購入していました。
勝沼
その後、老舗に行ってみようとシャトー・メルシャンに向かったのですが、残念ながらこの日は休み。近くにあった「盛田甲州ワイナリー」(シャンモリ)に入ってみました。ここはかなり広い敷地でレストランなども併設されています。
勝沼
ここはカウンターにワインが並んでいて自由に試飲するスタイル。試飲は先程と同様、プラスチックの小さなカップです。山梨県韮崎市穂坂町産マスカットベーリーAを使った地域名付きのワインなどはかなり美味しかったです。ただ、このときは甲州を選びたい気分で、どうも甲州はピンとくるのがなく購入はなし。工場の見学もできたようなのですが、このときは、気が付きませんでした。
勝沼
その後、向かいにあるシャトレーゼのワイナリーに行きました。ここは試飲カウンターだけ。工場見学も可能なワイナリーは西の甲斐市にあるそうです。シャトレーゼがワイン? なんていう気もしましたが、ワインのレベルは意外と高かったです。試飲は全部で15種類くらいあり、テイスティンググラスで試飲する形。甲州だけでも5つほどもあり、内容は充実していました。いろいろあったうちで勝沼町等々力産の甲州を使ったワインを購入。すっきりとしていますが、深みもあってなかなか美味しかったです。

と、ちょっと駆け足で3つのワイナリーを回って、ホテルに向かいました。

これらのワイナリーで残念だったのは、ワインの説明をほとんど受けられなかったこと。フジッコはブドウの種類が書かれた紙が貼ってあったくらいでどのようなワインかほとんど書いておらず、説明の人もいませんでした。シャンモリはただボトルが置いてあるだけ。カウンターに人がいましたが、ワインに詳しい感じではなく、「こちらが甘口です」くらいの説明しかありませんでした。シャトレーゼは、試飲リストに少し説明が書いてあったものの、カウンターの人に話を振っても、そこに書かれている以上の話はほとんど出ませんでした。

無料試飲のところでどこまで期待するかということもあるとは思いますが、それならば有料の試飲も作ってほしいですし、おそらくここに来る人の多くはそれほどワインに詳しくないだろうと考えると、複数ある甲州ワインでどれがどうだとか、マスカット・ベーリーAはどういう味わいだとか、そういうことを簡単にでも説明してくれたら、印象も大きく変わるし、ワイナリーへの親しみも湧くと思うのです。

また、フジッコとシャンモリでは小さなプラスチックのカップでの試飲だったので、香りの違いを感じるのはかなり難しかったです。ワインの印象をよくするためにもテイスティンググラスは必要だと思います。

ワイナリーは、ワインのことを来た人に知ってもらう、そしてワインを買ってもらうまたとない場所です。例えば、近年米国ではテイスティング・ルームでの販売や、そこでメール会員になってもらった人への直接販売の比率がどんどん上がっていっています。教育の面でも顧客対応の面でも、極めて多くの機会を損失していると思います。せっかく日本のワインのレベル自体は上がってきているのに、これではなかなかファンを増やすのは難しいのではないか。そういう気がしました。

石和温泉のホテルにチェックインしてから、徒歩でいける「モンデ酒造」に行きました。ここは駐車場が広く、観光バスも多く立ち寄るところのようです。ワイナリー見学はセルフツアーで、それほど興味深い内容があったわけではありませんが、個人的には樽のメーカーがいろいろあるところなど、楽しめました。
モンデ酒造
モンデ酒造モンデ酒造
テイスティング・ルームは、プラスチックカップで、セルフで注げるワインが数種類と、カウンターで注いでもらうワインが10種類程度。カウンターの方はなかなかレベルの高いワインもありました。特にメルローとブラッククイーンのブレンドのワインはかなり美味しく、購入しました。これはサクラアワードでダブルゴールドとベスト国産ワイン賞を受賞したワインだったとのこと。途中から団体客が入ってきたので混み合って大変でしたが、それまではカウンターの方も結構一生懸命説明してくれました(最初に聞いたシュール・リーのワインの説明のときに、「シュール・リーってわかりますか?」と聞かれて「大丈夫です」と答えたので、それなりに分かっている人として説明してくれたような気がしました)。総じて、午後に回ったワイナリーの中ではここが一番満足度が高かったです。

繰り返しになりますが、これから山梨がワインツーリズムを推進していくつもりなのであれば、テイスティング・ルームのオペレーションは大幅に改善する必要があると思うし、うまくすれば大きな効果を引き出せると思います。そんなことを思ったワイナリー訪問でした。