俊英ギャビン・チャナンに聴く若くして成功した理由
20代で2つのワイナリーを手にし、注目のワインメーカーとなったギャビン・チャナンが来日し、ワインメーカー・ディナーが開かれました。
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会場は表参道のTwo Rooms Grill | Bar。とてもおしゃれなレストランです。
今回は46名が一列のテーブルに並ぶという圧巻の配列。
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ギャビン・チャナンがワイン業界に足を踏み入れたのは18歳のとき。元々オー・ボン・クリマの事務・クレンデネンとは家族ぐるみでの付き合いがあり、そこから自然にオー・ボン・クリマで修行を始めたそうです。「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という有名な書籍がありますが、彼の場合は、ワイン造りで重要なことはすべてオー・ボン・クリマで学んだ、といっていいでしょう。
21歳の2007年には初めてワインを造ります(チャナン・ワインズ)。これもオー・ボン・クリマの伝手で始めたものでした。9歳からワインを造ったベッドロックのモーガン・ピーターソンのような例がないことはないですが、米国ではお酒を飲めるのが21歳からですから、やはり非常に早いです。その若さで、最初からワールドクラスのワインを作ることだけを考え、最初はクレージーだと言われながらも、次第に周りが認めていったとのこと。
25歳の2011年に、ソノマに複数の畑を持ち、キスラーやコスタ・ブラウンにも出資していたビル・プライスと出会います。ビル・プライスはサンタ・バーバラに興味があり、ギャビン・チャナンは、逆にソノマにも興味があったため、双方のニーズが合致して意気投合。著名な畑であるデュレルのブドウをビル・プライスから入手して、新たなワインを造り始めました。それが今回のLutum(ルタム)です。ワインの造り方は全く同じということで、サンタ・バーバラで素晴らしいピノ・ノワールやシャルドネを造ってきたブリュワー・クリフトンに通じるものを感じました(ブリュワー・クリフトンもさまざまな畑のワインを全く同じレシピで作ることをモットーにしています)。ルタムはシャルドネとピノ・ノワールをサンタ・バーバラのサンフォード・ベネディクトやラ・リンコナーダ、ソノマのギャップス・クラウン、デュレルなどから造っています。日本にはサンフォード・ベネディクトとギャップス・クラウンのワインが入ってきています。ちなみに、ビル・プライスが関わっているワイナリーで、最近注目が集まっているスリー・スティックスも、やはりギャップス・クラウンのワインを造っていますし、コスタ・ブラウンのエステートのワインにも使われています。要注目の畑の一つです。
現在は、チャナンでは年間3000ケースほど、ルタムでは2000ケースほど生産しているとのこと。また、チャナンはホールクラスター(除梗なし)で造るのが多いですが、ルタムでは大部分除梗しているそうです。
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食事を進めながらワインをいただきます。
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まずはシャルドネから。サンフォード・ベネディクトのシャルドネはきれいな酸で、比較的軽い味わいでさわやかさがあります。時間がたつとだんだんふくよかさも出てきます。サンタ・バーバラらしいちょっと塩っぽい風味もあります。カリフォルニア的な押し出しの強さはあまりありませんが、きれいなワイン。
一方、ギャップス・クラウンは酸は少なめでそのぶんリッチに感じられる造り。サンフォード・ベネディクトは珪藻土の土壌なのに対して、ギャップス・クラウンは粘土に砂利。そのあたりの違いも関係しているのかもしれません。
ピノ・ノワールのサンフォード・ベネディクトは、ピノ・ノワールとしては比較的濃い目で、ラズベリーなどの赤い果実味に、ブルーベリーのようなダークな果実の風味もあり、パワフルです。これもブリュワー・クリフトンのワインを少し思い出させるものがありました。
一方、ギャップス・クラウンはバランスのよいワイン。こちらの方が穏やかな味わいです。
筆者の周りにどちらのワインが好きか聞いてみたところ、ソノマ派とサンタ・バーバラ派に分かれました。いい悪いの違いよりも、好みの違いといえるでしょう。私個人としてはサンタ・バーバラのワインのコントラストの強さに魅力を感じました。
最後のワインはポートフォリオの2014年。毎年ながらすばらしいワインです。先日セミナーで試飲したロバート・モンダヴィのトカロンのカベルネ・ソーヴィニヨンと、同じ造り手だけあって通じるところがあり、それも面白かったです。ちなみに、ポートフォリオのカベルネ・ソーヴィニヨンはヘンドリーの畑のブドウですが、15%使われているカベルネ・フランは、19世紀にはトカロンの畑の一部だった「デタート」の畑のものを使っています。
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会場となったTwo Rooms Grillさんも本当にすばらしいレストランでした。
会場は表参道のTwo Rooms Grill | Bar。とてもおしゃれなレストランです。
今回は46名が一列のテーブルに並ぶという圧巻の配列。
ギャビン・チャナンがワイン業界に足を踏み入れたのは18歳のとき。元々オー・ボン・クリマの事務・クレンデネンとは家族ぐるみでの付き合いがあり、そこから自然にオー・ボン・クリマで修行を始めたそうです。「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という有名な書籍がありますが、彼の場合は、ワイン造りで重要なことはすべてオー・ボン・クリマで学んだ、といっていいでしょう。
21歳の2007年には初めてワインを造ります(チャナン・ワインズ)。これもオー・ボン・クリマの伝手で始めたものでした。9歳からワインを造ったベッドロックのモーガン・ピーターソンのような例がないことはないですが、米国ではお酒を飲めるのが21歳からですから、やはり非常に早いです。その若さで、最初からワールドクラスのワインを作ることだけを考え、最初はクレージーだと言われながらも、次第に周りが認めていったとのこと。
25歳の2011年に、ソノマに複数の畑を持ち、キスラーやコスタ・ブラウンにも出資していたビル・プライスと出会います。ビル・プライスはサンタ・バーバラに興味があり、ギャビン・チャナンは、逆にソノマにも興味があったため、双方のニーズが合致して意気投合。著名な畑であるデュレルのブドウをビル・プライスから入手して、新たなワインを造り始めました。それが今回のLutum(ルタム)です。ワインの造り方は全く同じということで、サンタ・バーバラで素晴らしいピノ・ノワールやシャルドネを造ってきたブリュワー・クリフトンに通じるものを感じました(ブリュワー・クリフトンもさまざまな畑のワインを全く同じレシピで作ることをモットーにしています)。ルタムはシャルドネとピノ・ノワールをサンタ・バーバラのサンフォード・ベネディクトやラ・リンコナーダ、ソノマのギャップス・クラウン、デュレルなどから造っています。日本にはサンフォード・ベネディクトとギャップス・クラウンのワインが入ってきています。ちなみに、ビル・プライスが関わっているワイナリーで、最近注目が集まっているスリー・スティックスも、やはりギャップス・クラウンのワインを造っていますし、コスタ・ブラウンのエステートのワインにも使われています。要注目の畑の一つです。
現在は、チャナンでは年間3000ケースほど、ルタムでは2000ケースほど生産しているとのこと。また、チャナンはホールクラスター(除梗なし)で造るのが多いですが、ルタムでは大部分除梗しているそうです。
食事を進めながらワインをいただきます。
まずはシャルドネから。サンフォード・ベネディクトのシャルドネはきれいな酸で、比較的軽い味わいでさわやかさがあります。時間がたつとだんだんふくよかさも出てきます。サンタ・バーバラらしいちょっと塩っぽい風味もあります。カリフォルニア的な押し出しの強さはあまりありませんが、きれいなワイン。
一方、ギャップス・クラウンは酸は少なめでそのぶんリッチに感じられる造り。サンフォード・ベネディクトは珪藻土の土壌なのに対して、ギャップス・クラウンは粘土に砂利。そのあたりの違いも関係しているのかもしれません。
ピノ・ノワールのサンフォード・ベネディクトは、ピノ・ノワールとしては比較的濃い目で、ラズベリーなどの赤い果実味に、ブルーベリーのようなダークな果実の風味もあり、パワフルです。これもブリュワー・クリフトンのワインを少し思い出させるものがありました。
一方、ギャップス・クラウンはバランスのよいワイン。こちらの方が穏やかな味わいです。
筆者の周りにどちらのワインが好きか聞いてみたところ、ソノマ派とサンタ・バーバラ派に分かれました。いい悪いの違いよりも、好みの違いといえるでしょう。私個人としてはサンタ・バーバラのワインのコントラストの強さに魅力を感じました。
最後のワインはポートフォリオの2014年。毎年ながらすばらしいワインです。先日セミナーで試飲したロバート・モンダヴィのトカロンのカベルネ・ソーヴィニヨンと、同じ造り手だけあって通じるところがあり、それも面白かったです。ちなみに、ポートフォリオのカベルネ・ソーヴィニヨンはヘンドリーの畑のブドウですが、15%使われているカベルネ・フランは、19世紀にはトカロンの畑の一部だった「デタート」の畑のものを使っています。
会場となったTwo Rooms Grillさんも本当にすばらしいレストランでした。