中川ワインの試飲会にナパのトネラ・セラーズ(S.R. Tonella Cellars)の当主であるスティーブ・トネラ氏が来ておりました。今回、3種類のワインが新入荷しています。


トネラは、ナパのラザフォードの西側のベンチに小さな畑を持っています。20世紀初頭にまでさかのぼる歴史ある畑ですが、トネラがワインを造り始めたのは2010年と、ごく最近のことです。それ以降も、評論家のレビューなどもほとんど出ておらず、知る人ぞ知るといったワイナリーです。


ワイナリーとしてよりも、栽培家としての歴史の方がずっと長いトネラですが、ユニークなのがここの剪定法。バーティカル・コルドンと呼ぶ方法で、通常は横向きに成長するようにワイヤーで誘引されるところが、縦向きにコルドンがあります。この形は初めて見ましたが、近年はゴブレットやカリフォルニア・スプロールと呼ばれるタイプの剪定をするところが少しずつ増えています。温暖化への対応で、必要以上に日を当てないことや、灌漑をなくしたり減らしたりするのが目的となっています。手入れの手間はかかりますが、栽培に力を入れているところでは、今後も増えてきそうです。


輸入されているワインは3種類。一番右はリザーブ・ソーヴィニヨン・ブラン2022(12000円)。ボルドースタイルのソーヴィニョン・ブランで、アロマティックな香りと、かすかな樽香、しっかりとコクのあるソーヴィニョン・ブランです。
中央は自社畑のブドウを使ったカベルネ・ソーヴィニヨン2019(20000円)。ちみつなタンニンが、いわゆる「ラザフォード・ダスト」を思わせます。ダークなフルーツとしなやかなテクスチャー。ヴィンテージが少し古いこともあり、こなれた味わいでバランスがいいワインです。
左はリザーブ・プロプライエタリーBDXブレンド2019(25000円)。カベルネ・ソーヴィニヨン68%にカベルネ・フランが22%、マルベック8%、プティヴェルド2%。コーヒーやココアなど濃厚な風味が印象的ですが、これも2019年で6年熟成しておりバランスの良さが秀逸です。

トネラ・セラーズ、ナパの高級カベルネの中では比較的リーズナブルな価格で、特に今回は少し熟成して飲み頃に入ったワインが輸入されているので、機会があったらぜひ試してみてください。