サンタ・バーバラのサンディ(Sandhi)とドメーヌ・ド・ラ・コート(Domaine de la Côte)、オレゴンのイヴニングランド(Evening Land)を共同で経営してきたラジャ・パーとサシ・ムーアマンが、別々の道を歩みだすことになりました。これら3つのワイナリーは、サシ・ムーアマンが引き続きワイン造りを行い。ラジャ・パーはSLOコーストのカンブリアにあるフェラン・ファーム(Phelan Farm)に専念します。

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ラジャ・パー
サシ・ムーアマン
サシ・ムーアマン

二人の出会いは2000年代初頭。当時マイケル・ミナのレストラン・グループ(現在はサンフランシスコを中心に世界中で30ほどのレストランを経営しています)のワイン・ディレクターだったラジャ・パーに、ストルプマンのワインメーカーだったサシ・ムーアマンが会いにいったのだそうです。二人はクラシックな昔ながらのワイン造りに魅了され、オレゴンでコント・ラフォンや著名ソムリエのラリー・ストーンらとイヴニングランドを2006年に立ち上げ、2012年からは二人による経営になりました(資本上は彼らのワイナリーはすべてテキサスのベンチャーキャピタリストが所有しているようです)。

並行して2013年にドメーヌ・ド・ラ・コートとサンディを設立、同年にはラジャ・パーがIPOB(In Pursuit of Balance)を立ち上げ、カリフォルニアのワイン業界の風雲児になってきました。

これらのワイナリーの実質的なワイン造りはこれまでもサシ・ムーアマンが担ってきました。ラジャ・パーは2017年ころから冷涼なSLOコーストの農場の一部に切り開いた畑におけるブドウ栽培に注力するようになりました。このフェラン・ファームにおけるラジャ・パーの肩書は「ファーマー」になっています。

二人のワイナリーではシャルドネとピノ・ノワールを作っていますが、フェラン・ファームでは元ものシャルドネとピノ・ノワールを接ぎ木によってフランスのジュラやサヴォワ地区原産の15種類のブドウを植え替えました。植えた品種はモンデュース(Mondeuse)、サヴァニャン・ヴェール(Savagnin Vert)、サヴァニャン・ジョーヌ(Savganin Jaune)、プルサール(Poulsard)、アルテス(Altesse)、トゥルソー(Trousseau)、ガメイ・ノワール(Gamay Noir)など。

不耕起の有機栽培で、醸造時にはSO2不使用など、自然派なワイン造りを行っています。

参考:ラジャ・パーの新プロジェクト、ユニークなワインを飲んでみた

コロナ禍で、ラジャ・パーはカンブリアに移住し、実質的には既にパートナーシップはなくなっていました。今回、ラジャ・パーは「ただブドウを育てたいんです。シンプルな暮らし、静かな暮らしがしたいんです」と語っており、今後もフェラン・ファームに注力するものと思われます。