今年7月、ボルドーが気候変化に対応するために新たに7つの品種を認めることになったというニュースがありました。ナパでも温暖化への対応を真剣に考える人が増えています(Napa wineries confront climate change by planting new experimental vineyards - San Francisco Chronicle)。

温暖化は着実に進行しています。カリストガのラークミード(Larkmead)の場合、2004年から2012年の9年間では9月15日以前に収穫を始めたのは2回しかありませんでしたが、2013年以降は毎年9月15日より早く収穫を始めています。8月に収穫を始めた年も2回ありました。

平均気温も2009年から2013年と2014年から2018年を比べると、1月から6月で華氏で1.6°(摂氏で約0.9°)、7月から12月で華氏2.4°(摂氏約1.3°)気温が上がっています。

積算温度で気候区分を分けるウィンクラー(Winkler)のモデルが作られた1944年ころ、ナパの多くはリージョンIIでしたが現在ではリージョンIIIから一部はIVに達していると考えられています。これがリージョンVになるともはやカベルネ・ソーヴィニヨンには適さない土地になってきます。

そこでラークミードは3エーカーの実験ブロックを畑に作り、より暑さに耐性があると思われる、シャルボノやジンファンデル、プティ・シラー、アリアニコ(Aglianico)、トゥリガ・ナシオナル(Touriga Nacional)、テンプラニーリョ(Tempranillo)といった品種を植えました。

スポッツウッドでは、現在のカベルネ・ソーヴィニヨンの畑が2030年代にはリージョンVに入るだろうと考え、対応策を練っています。一つはもっと涼しい土地に畑を見つけること。もうひとつはラークミードと同様、暑さに強い品種を実験的に植えていくことです。

アンディ・ベクストファー
ベクストファー・ヴィンヤーズはUCデイヴィスと組んで、カベルネ・ソーヴィニヨンでの実験を始めました。レイク郡の畑にルートストックとクローンそれぞれ10種ずつ、合計100組の組み合わせでブドウを植えて暑さに強いものを見つけるという実験です。一つの組み合わせあたり3600本の樹を植えるというかなり大掛かりな実験になります。

とにもかくにも温暖化はこれから来るのではなく、すでにその渦中にあるのです。もしかすると30年後のナパの姿は今とは大きく変わっているのかもしれません。