リトライ(Littorai)やニュージーランドのクスダ・ワインなどで修行した平林園枝さんのワイナリー「シックス・クローヴズ(Six Cloves)」の2ヴィンテージ目となるワインが登場し、平林さん自ら日本でセミナーを開催しました。

既にインポーターの布袋ワインズの試飲会で試飲しており「これはお薦め、平林園枝さんシックス・クローヴズの第2作」という記事を書いていますが、改めて前ヴィンテージも含め、じっくり試飲させていただきました。


最初の2017年のヴィンテージについては「リトライなどで修行した日本人の造るワインデビュー作」という記事で取り上げていますが、この年は9月初頭に気温40度を超えるような熱波が到来したため、それより前に収穫すべきか、あとに収穫すべきかはシャルドネやピノ・ノワールの生産者にとっては重要な問題でした。平林さんはエレガントさを求め、先に収穫したため、かなり酸が強い仕上がりになっていました。

今回、改めて試飲したところ、昨年よりも酸が落ち着き、よりこなれた味わいになっていました。

そして、新ヴィンテージの2018年は、シャルドネがナパのスティーブ・マサイアソンのオーガニックの畑「リンダ・ヴィスタ」になり、新たに始めたピノ・ノワールがソノマのペタルマ・ギャップ(AVA表記はソノマ・コースト)のものになっています。

スティーブ・マサイアソンはナパでは近年有名になったカリスマ的人気を持つ生産者です。平林さんは以前マサイアソンのところで働いたことがあり、その縁もあって今回ブドウの供給を受けました。

2018年のシャルドネは、2017年よりもバランスの取れた味わいで、柔らかさと繊細さのあるワイン。オレンジやマーマレード、ナッツやミネラルの風味があります。今飲んでも美味しいし、数年熟成させてもいいと思います。

ペタルマ・ギャップはとても風が強いところで、平林さんが最初に働いたニュージーランドのクスダさんのところも風が強く、その共通感から選んだとのことでした。20%全房発酵しているとのこと。

ミディアム・ボディでラズベリーなどの赤系果実、クローヴやバニラの風味など。ペタルマ・ギャップのワインは、かなり強い味わいになる傾向があるそうですが、これは押し出しの強すぎない、柔らかな味わい。食事によく合うワインだと思います。

今回、ラベルも一新。よりエレガントでやわらかさがあるデザインになりました。赤がシャルドネで青がピノ・ノワールというところがちょっと取り違えそうになるところではありますが。

ラベルをデザインした鐘江美沙紀さん(右)と平林さん。


2018年のシックス・クローヴズのワイン、大人気のようです。生産量はかなり少ないので、お早めに。次年度以降のさらなる進化も期待させる今回のワインです。