Avaline
「メリーに首ったけ」などで知られる俳優のキャメロン・ディアス(現在は引退)が、ファッション会社「Who What Wear」のCEOであるキャサリン・パワーと組んで、新たなワインブランド「アヴァリン(Avaline)」を開始しました。

白とロゼがあり希望小売価格はどちらも24ドル。キーワードは「クリーン」で有機栽培のブドウを使い、加糖や着色、濃縮果汁などを使わないとしています。白はスペイン産でマカベオ、マルヴァジア、チャレロのブレンド、ロゼはプロヴァンス産でサンソー、グルナッシュなどをブレンドしています。これまでのワインは何が含まれているかユーザーにはわからなかったが、もっと「クリーン」なワインを提供するとディアスは主張しています。

……というところまでは「あー、健康オタクの女優が『自然派』のワインを作ったんだねえ」という話になりそうなのですが、あにはからんや。このワインにワインファンが憤慨しています。

というのは、上記の説明は誤っていないとしても、このワインには以下のものも使われています(これらはラベルには記されていませんが、サイトには書かれています)。
・二酸化硫黄
・ベントナイトクレイ
・えんどうタンパク
・酒石
・酵母
・酵母の栄養素

二酸化硫黄は酸化防止剤として、ほぼすべてのワインに使われています。350ppm以下が基準となっており、このワインでは100ppm以下としていますが、これは決して少ない水準ではないとヴィノグラフィのアルダーヤローは書いています。

ベントナイトクレイやえんどうタンパクは、ワインの濁りなどを取る清澄に使われていますが、自然派のみならず、高級ワインでは清澄をしないで作られているものも多く存在しています。

酒石は酒石酸カリウムがボトル内で結晶化するのを防ぐために低温にして析出してフィルターをかけるときに「種」として使われています。これも高級ワインや多くの自然派では使われない手法です。

酵母も同様。自然派でなくても天然酵母で醸造するところはたくさんあります。

これらの添加物は「悪」ではなく一般的な多くのワインで使われているものではあります。またフィルターなどで取り除かれるため、ワインの中にこれらが残っているわけでもありませんが、「クリーン」であると主張するワインで使っているのはどうなのかというのがワインマニアの意見です。