ソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるジョーダン(Jordan)。シルバーオークと並んでアレキサンダー・ヴァレーを代表するワイナリーと言ってもいいでしょう。1972年の創設以来、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの2つのワインだけを作り続け、オーナー一家も不変、ワインメーカーも2019年に初めて交代と、「変わらない」ことをモットーにしてきました。

そのジョーダンがつい最近、創設以降初めてブドウ畑を購入したことで話題になりました。その背景をワイン・サーチャーでW.ブレイク・グレイ氏が解き明かしています(Stars Align for Jordan's Vineyard Move | Wine-Searcher News & Features)。

Jordan

ジョーダンは当初エステート・モデルを目指してアレキサンダー・ヴァレーのヴァレー・フロアに土地を買い、畑とワイナリーを作ったのですが、「シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン」の2ワインだけを作ることは変えていないものの、ブドウのソースは変化してきていました。

まずシャルドネについては、温暖なアレキサンダー・ヴァレーよりも冷涼なロシアン・リバー・ヴァレーのブドウを使うようになりました。また、カベルネ・ソーヴィニヨンは90年代に自社畑がフィロキセラでやられて以降、アレキサンダー・ヴァレーの中でちょっと高台になった「ベンチランド」のブドウを使うようになりました。自社畑はメルロー中心で少量のプティ・ヴェルドとマルベック、それといくらかカベルネ・ソーヴィニヨンも植わっていますが、ほとんどのカベルネ・ソーヴィニヨンは購入ブドウになっています。購入ブドウについては長期契約になっており、特に供給に問題が生じていたわけではありません。なお、ラベルにカベルネ・ソーヴィニヨンと入れる場合も25%までは他の品種を使えますから、自社畑のメルローなどはそういったブレンドに使われています。

今回購入した「Meola」ヴィンヤードはかつてカベルネ・ソーヴィニヨンを購入したことがある畑で、そういう意味では大きな方針の転換があったわけではありません。家族経営が多いソノマの畑が売り出しになることはそれほど多くなく、今後もジョーダンのプログラムにフィットする畑が買えるときには購入していくとのことです。「ジョーダンがやっていくことは3つ、カベルネ、シャルドネとおもてなし」だとオーナーのジョン・ジョーダンは言っています。