収穫
2021年のブドウの収穫が終わり、カリフォルニアワイン協会が収穫レポートを発表しています。干ばつで極端な乾燥状態が続き、山火事の恐れが大きかった今年ですが、シエラ・フットヒルズで避難命令が出て、観光地のレイクタホにまで迫ったカルドー・ファイアーを除いては、ワイン産地の近くでの大きな山火事は起こらず、多くの関係者が胸をなで下ろしました。

新型コロナウイルスの影響での労働者不足や、干ばつによってブドウの実が大きく育たなかったことによる収量の低下といった問題はありましたが、ブドウの味は凝縮し、品質は非常に高く、「近年の中ではベストの一つ」と評しているワインメーカーが多いようです。

以下は主な地域の短評です。

ナパ:干ばつによる水不足を除いては生育期間に問題はなかった。収穫は例年より早く始まった。ブドウの実は非常に小さく、2019年と比べて20~30%収穫が少なかったところもある(2020年と比較しなかったのは煙の影響でワインを断念したところが多かったため)。凝縮して完熟したため品質は非常に高い。
ソノマ:春先は涼しかったが、だんだん暖かくなっていった。温暖な地域ではブドウの熟す時期はやや早く、冷涼な地域は例年通りだった。収穫はやや早く始まり、急速に進んだ。干ばつで収量は少なめだったが、煙の問題がなかったため、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンは2020年を上回ったもよう。ブドウの味わいは凝縮して非常に高い。
ロウダイ:干ばつの影響や春先の霜のために収量は少なく、生育は不均等になった。特に古木の畑では収量は少なく、木が死んでしまったところもある。収穫は8月に始まり、9月になると様々な品種がほぼ同時に完熟していった。機械収穫のオペレーターを確保するのも大変な状況だった。ブドウの品質は高かった。特にカベルネ・ソーヴィニヨンやプティ・シラーは早く完熟し、自然の酸が残った。
モントレー:夏の間、霧に覆われて涼しく、酸が高く糖度がなかなか上がらなかった。9月に入って霧が晴れ、温度が上がり日照も増え、9月の後半から一気に収穫が始まった。収穫量は予想より多く、品質も良い。生育期間が長く、完熟した上PHは低くなった。
パソ・ロブレス:開花時期に強い風が吹いたため、ブドウの実はまばらになり収量は減った。西の丘陵地帯には熱波が押し寄せ、灌漑に使う水もなかった。収穫量は例年と比べ30~40%も少なかった。
サンタ・バーバラ:すべての点ですばらしい年だった。熱波もなければ霜の問題もなかった。9月には非常に湿気の多い霧に覆われ、ボトリティスの問題が生じたが、丁寧に対処したため大きな問題にはならなかった。サンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワールは収穫が2週間遅く、ハッピー・キャニオンのボルドー品種は早く成熟した。このため収穫時期のトラックや運転手の手配が問題になった。シャルドネとソーヴィニヨン・ブランが素晴らしい年で、ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニヨンも良好だ。