ナパのワイナリーKenzo Estateのワインメーカーを創設以来務めてきたハイジ・バレットが辞めたことが判明しました(California Cult Winemaker Walks Out on Winery | Wine-Searcher News & Features)。

ハイジ・バレットはスクリーミングイーグルやグレースファミリーなどのワインメーカーとして名を挙げ、ロバート・パーカーから「ナパのファーストレディ」と呼ばれた著名ワインメーカー。現在もアミューズ・ブーシュやラ・シレナ、ランボーン・ファミリーなどでワインメーカーを続けています。夫のボー・バレットはシャトー・モンテリーナのオーナー兼ワインメーカー。夫妻でバレット・アンド・バレットというワインも作っています。

今回の辞任は2020年のワインに関する意見のすれ違いによるもの。ハイジ・バレットは大規模な山火事で煙汚染の可能性のある2020年に関しては赤ワインを全く作らない方針でした。しかしワイナリー側からどうしても作れと言われたため、ワイナリーを去ることにしたとのこと。

Kenzo Estateの赤羽厚執行副社長は辞任の詳細については語らなかったものの、ワインメーカーは、実質的にマーク・ネインスというアシスタントがほとんど行っていて、ハイジ・バレットは最終ブレンドに立ち会うだけの(ミシェル・ロランが多くのワイナリーで務めているような)役割だったと述べています。

ただし、ハイジ側はブレンドだけでなくワインメーカーとして全責任を負ってきたとしており、ここでも意見のすれ違いが見られます。なお、ワイナリーのウェブサイトにはハイジ・バレットはワインメーカーとして記されています。

ヴィンテージを一つスキップするというのはワイナリーにとっては非常に重い決断になりますが、一流のワインメーカーを失うこととのどちらが重要だったのでしょうか。Kenzoのワインは設立当初はお金だけかけてと揶揄されることも多かったですが、近年は高く評価されるようになってきていました。例えばワイン・アドヴォケイトでは2019年のカベルネ・ソーヴィニヨン藍が95+などの高評価を得ています。今後がどうなっていくか、懸念されるところです。