サムネール
カリフォルニアのワイナリーの中でも一流と認められたワイナリーのリスト「ザ・カリフォルニア・リスト」が英国で誕生しました。カリフォルニアワイン協会の英国担当が中心となりジャンシス・ロビンソン、マーク・アンドリュー、サラ・ノウルズ(以上3人はマスター・オブ・ワイン)、ローナン・セイバーン(マスターソムリエ)、そして多くのカリフォルニアの著書を持つステファン・ブルックの5人が選者となって選びました。

The California List

選択基準は品質・英国における入手性・インパクト。品質を15点、入手性を5点、インパクトを5点として採点しました。インパクトというのは選者の主観によるものでカリフォルニアワインの中でその生産者がどれくらい重要かによって点を付けています。英国における入手性という項目が入っているので、全世界に向けたリストではなく、英国向けであることがわかります。

200以上のワイナリーを審査し、最終的に51のワイナリーがリストに入りました。以下にそのワイナリーを挙げます。なお、実際のリストはアルファベット順に羅列しており、ここではわかりやすくするために、私がいくつかのジャンルに分けています。

●カベルネ/ボルドーブレンド中心
Bond
Cain
Cardinale
Caymus
Chateau Montelena
Colgin
Corison
Dalla Valle
Diamond Creek
Dominus
Dunn
Eisele
Frog’s Leap
Harlan
Heitz Cellars
Inglenook
Joseph Phelps
Mayacamas
Opus One
Robert Mondavi
Screaming Eagle
Shafer
Silver Oak
Spottswoode
Stag’s Leap Wine Cellars
Staglin
Vérité

●ピノ・ノワール/シャルドネ
Au Bon Climat
Chanin
Domaine de la Côte
Hirsch
Kistler
Kutch
Littorai
Radio Coteau
Sandhi
Williams Selyem

●シラー/ローヌ系
Sine Qua Non
Tablas Creek

●ジンファンデル
Seghesio
Turley

●スパークリング
Roederer Estate
Schramsberg

●ニューカリフォルニア
Arnot-Roberts
Matthiasson

●その他
Hyde de Villaine(シャルドネ、ボルドーブレンドなど)
Kongsgaard(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなど)
Mount Eden(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール)
Peter Michael(シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール)
Ramey(シャルドネなど)
Ridge(カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデルなど)

過半数の27ワイナリーがカベルネ・ソーヴィニヨン中心で、そのうちソノマのVéritéを除いた26ワイナリーがナパにあります。世界的に見てもナパのカベルネ・ソーヴィニヨン系ワインはトップクラスを占めていますから、妥当なところでしょう。また、Hundred AcreやSchrader、Realm、Bevanといった新興のワイナリーは含まれず20世紀に造られたワイナリーで占められているのも特徴です。

次いで多かったのがピノ・ノワールとシャルドネをメインとするブルゴーニュ系品種のワイナリーで10ワイナリーが選ばれています。サンタ・バーバラから4つのワイナリー(Au Bon Climat、Chanin、Domaine de la Côte、Sandhi)が選ばれており、しかもうち2つ(Domaine de la CôteとSandhi)はラジャ・パーとサシ・ムーアマンによるワイナリーというところがちょっと意外でした。個人的にはサンディを入れるよりはCaleraとかサンタ・ルシア・ハイランズのPisoniではないかという気もしますが、このあたりは英国での入手性によるものかもしれません。Chaninのような若いワイナリー(ご存知ない方は「弱冠26歳にして2つ目のワイナリを手に入れるGavin Chaninとはどういう男か」をご覧になってください)が選ばれているのもカベルネ・ソーヴィニヨン系と対称的で興味深いです。あとの6ワイナリーはいずれもソノマ・コースト(ロシアン・リバー・ヴァレーも含む)をメインとするワイナリーで、ちょっと場所は偏り気味です。MarcassinやAubertのような濃厚系は入らずバランス重視型のワイナリーが選ばれているのも興味深いところ。

ジンファンデル系では、個人的にはBedrockは入ってほしかったですが、これも入手性が関係するのかもしれません。

ニューカリフォルニア系でArnot-RobertsとMatthiasonが入りました。このジャンルから選ぶならこの2ワイナリーというのは妥当な感じがします。

ローヌ系はSine Qua NonとTablas Creek。AlbanとかSaxumとかも入って良さそうな気もしますが、Tablas Creekが選ばれたのは歴史的重要性などが評価された面もあるのかもしれません。

スパークリングのSchramsbergとRoederer Estateは妥当なところ。

以上の分類に当てはまらなかったワイナリーは「その他」にしましたが、面白いのはここに分類したワイナリーの中でRidge以外は一番のワインがシャルドネであること。カリフォルニアというとカベルネ・ソーヴィニヨンなど赤ワインのイメージが強いかもしれませんが、シャルドネも本当にいいと思うんですよね。そういう意味ではこのセレクションも納得するところがあります。

さて、これは英国向けのリストですから日本向けのリストができてもいいということだと思います。日本のカリフォルニアワイン協会もぜひリストを作ってください。