ワイン講師としての苦しみと喜び
昨日はアカデミー・デュ・ヴァンで「カリフォルニアワインを楽しもう」の第1回でした。テーマはナパ。初回は自己紹介を軽くしたり、カリフォルニア全体の話をしたりがどうしても入ってくるので、時間が足りなくなるのは毎度のことでちょっと反省ですが、試飲に入るまでの1時間強、かなり喋りまくりました。自分でも「よく喋るなあこいつ」と思うほどで、ちょっとおかしかったです。
スクールですから、お勉強的な話はもちろんしますが、受講者の方々が期待しているのはやっぱり試飲だと思うんですよね。なので、ワインリストを作るのは、講座準備の中で一番大事だし、面白いし、気を使う部分でもあります。
今回の場合12月の半ばにリストを作ったわけですが、ワインの値上がりで当初想定していたワインでは予算的に厳しい状況でした。入れたかったのにインポーターに在庫がなく諦めたものもありました。また、並行して行っているソノマの講座と両方受講される方もいらっしゃったので、同じワインが出ないようにする必要もありました(2回めのワインについて)。
いろいろ悩んだ結果、第1回目のワインがこちら。
どういうことを考えて選んだのか少し種明かしをします。
ワインは基本6本としています。高いのを入れるときは本数を減らすこともありますが、6本くらいが一番バランスがいいかと思っています。
この中で、講座中に出てくるトピックとなるべく連動する(今回であれば山のカベルネであるマウント・ヴィーダーと平地のカベルネであるホーニッグ)、有名ワイナリーや有名人の作ったワインを入れる(今回であれば、ガーギッチ・ヒルズのフュメ・ブラン)、こんなのもあるんだよというちょっと変化球のワインを入れる(今回であれば、マサイアソンのシャルドネやプティ・シラー、カベルネ・フラン)といったことを考えます。試飲するときは比較の要素を入れるとわかりやすいし興味も引きやすいので、そのあたりも考慮します。
とはいえ限られた本数と予算ですべてを満たすことはできない(例えば比較だけ考えたら、白は2つともシャルドネにした方がいい)ので、悩みはつきません。受講者のバックグラウンドもわからないのでそこも悩むところです(例えばカリフォルニアのことをほとんど全く知らない人だったら、典型的なスタイルのものを中心にします)。今回は、ワインエキスパートを取ったばかりくらいのイメージで受講者像を考えていたので、基本知識やティピカルなものは多少知っている前提で、少し変化球的なものを多めに入れてみました。また、試飲は銘柄や特徴を明かした上で、どのワインがどれかは伏せてテイスティングしてもらっています。
結果としては、白ワインは酸が効いてアルコール度数が低く、樽はあまり感じられないマサイアソンと、樽を使って、ソーヴィニヨン・ムスクの独特な香りのあるガーギッチ・ヒルズというのも意外と面白い組み合わせになりました。また、赤ワインではプティ・シラーは比較的わかりやすく、「濃いワインならプティ・シラー」というのを知ってもらえました。ちなみにプティ・シラーはジンファンデル以上にカリフォルニア固有感が強いと思って入れています。また、山カベと谷カベの比較はタンニンの性質をよく感じれば分かってくると思うのですが、そこにカベルネ・フランが加わることで、かなり惑わされる結果になりました(惑わされるのがいいということではないのですが)。
そして、今回の一番のポイントはカベルネ・フランでした。カベルネ・フランはナパでもそれほどメジャーな品種ではありません(畑の面積ではジンファンデルに次ぐ7番目)。ただ、個人的には好きな品種でカベルネ・ソーヴィニヨンの力強さにエレガントさが加わることで、すごく魅力的なワインになると思っています。多くの受講者にとってはカベルネ・フランというとロワールで、ちょっと青臭いと思っている人が多いと思います。ロワールのフランもいいですが、完熟したカベルネ・フランは、さらに魅力的なワインになるということを伝えたいというのが裏テーマみたいな感じでした。
今回選んだトレフェッセンのカベルネ・フランはカベルネ・フラン100%のワインで、ナパの中では比較的冷涼なオーク・ノールで作られています。少し青臭さはあるのですが、抜栓して1時間たったらそれもほとんど消えました。試飲では好きなワインを答えてもらうのですが、これとマウント・ヴィーダーのカベルネで答えがわかれ、ややカベルネ・フランがリードという結果でした。多くの受講生がカベルネ・フランの魅力に初めて気づいたようで、個人的には狙いがうまくはまった感じです。
受講者のレベルも想定とそれほどはずれていなかったと思いますし(時間がなくて聞いていませんが)、今回はうまくいったケースだと思います(もちろん、狙いがはずれてしまうこともあります)。振替で受講された方が、残りのも振替で参加したいと言ってくださったのが、すごく嬉しかったです(残念ながら2回とも予定が合わなかったようですが)。
そんなこんなで、ワイン講師としてもほそぼそと続けておりますので、機会がありましたらご受講いただけると嬉しいです。
スクールですから、お勉強的な話はもちろんしますが、受講者の方々が期待しているのはやっぱり試飲だと思うんですよね。なので、ワインリストを作るのは、講座準備の中で一番大事だし、面白いし、気を使う部分でもあります。
今回の場合12月の半ばにリストを作ったわけですが、ワインの値上がりで当初想定していたワインでは予算的に厳しい状況でした。入れたかったのにインポーターに在庫がなく諦めたものもありました。また、並行して行っているソノマの講座と両方受講される方もいらっしゃったので、同じワインが出ないようにする必要もありました(2回めのワインについて)。
いろいろ悩んだ結果、第1回目のワインがこちら。
どういうことを考えて選んだのか少し種明かしをします。
ワインは基本6本としています。高いのを入れるときは本数を減らすこともありますが、6本くらいが一番バランスがいいかと思っています。
この中で、講座中に出てくるトピックとなるべく連動する(今回であれば山のカベルネであるマウント・ヴィーダーと平地のカベルネであるホーニッグ)、有名ワイナリーや有名人の作ったワインを入れる(今回であれば、ガーギッチ・ヒルズのフュメ・ブラン)、こんなのもあるんだよというちょっと変化球のワインを入れる(今回であれば、マサイアソンのシャルドネやプティ・シラー、カベルネ・フラン)といったことを考えます。試飲するときは比較の要素を入れるとわかりやすいし興味も引きやすいので、そのあたりも考慮します。
とはいえ限られた本数と予算ですべてを満たすことはできない(例えば比較だけ考えたら、白は2つともシャルドネにした方がいい)ので、悩みはつきません。受講者のバックグラウンドもわからないのでそこも悩むところです(例えばカリフォルニアのことをほとんど全く知らない人だったら、典型的なスタイルのものを中心にします)。今回は、ワインエキスパートを取ったばかりくらいのイメージで受講者像を考えていたので、基本知識やティピカルなものは多少知っている前提で、少し変化球的なものを多めに入れてみました。また、試飲は銘柄や特徴を明かした上で、どのワインがどれかは伏せてテイスティングしてもらっています。
結果としては、白ワインは酸が効いてアルコール度数が低く、樽はあまり感じられないマサイアソンと、樽を使って、ソーヴィニヨン・ムスクの独特な香りのあるガーギッチ・ヒルズというのも意外と面白い組み合わせになりました。また、赤ワインではプティ・シラーは比較的わかりやすく、「濃いワインならプティ・シラー」というのを知ってもらえました。ちなみにプティ・シラーはジンファンデル以上にカリフォルニア固有感が強いと思って入れています。また、山カベと谷カベの比較はタンニンの性質をよく感じれば分かってくると思うのですが、そこにカベルネ・フランが加わることで、かなり惑わされる結果になりました(惑わされるのがいいということではないのですが)。
そして、今回の一番のポイントはカベルネ・フランでした。カベルネ・フランはナパでもそれほどメジャーな品種ではありません(畑の面積ではジンファンデルに次ぐ7番目)。ただ、個人的には好きな品種でカベルネ・ソーヴィニヨンの力強さにエレガントさが加わることで、すごく魅力的なワインになると思っています。多くの受講者にとってはカベルネ・フランというとロワールで、ちょっと青臭いと思っている人が多いと思います。ロワールのフランもいいですが、完熟したカベルネ・フランは、さらに魅力的なワインになるということを伝えたいというのが裏テーマみたいな感じでした。
今回選んだトレフェッセンのカベルネ・フランはカベルネ・フラン100%のワインで、ナパの中では比較的冷涼なオーク・ノールで作られています。少し青臭さはあるのですが、抜栓して1時間たったらそれもほとんど消えました。試飲では好きなワインを答えてもらうのですが、これとマウント・ヴィーダーのカベルネで答えがわかれ、ややカベルネ・フランがリードという結果でした。多くの受講生がカベルネ・フランの魅力に初めて気づいたようで、個人的には狙いがうまくはまった感じです。
受講者のレベルも想定とそれほどはずれていなかったと思いますし(時間がなくて聞いていませんが)、今回はうまくいったケースだと思います(もちろん、狙いがはずれてしまうこともあります)。振替で受講された方が、残りのも振替で参加したいと言ってくださったのが、すごく嬉しかったです(残念ながら2回とも予定が合わなかったようですが)。
そんなこんなで、ワイン講師としてもほそぼそと続けておりますので、機会がありましたらご受講いただけると嬉しいです。