ワシントン州最大のワイナリーであるシャトー・サン・ミシェル(Chateau Ste. Michelle、会社名はサン・ミシェル・ワイン・エステーツ)が向こう5年間、購入するブドウを4割カットすると表明し、ワシントンのワイン業界に激震となっています。

シャトー・サン・ミシェルは一時はワシントン州の7割のワインを生産していたほどの大ワイナリー。米国全体で見てもトップ10に入る規模であり、現在もワシントン州の約半分を生産しています。また、オレゴンでもAtoZやErathなどのワイナリーを保持しており、オレゴン最大のワイナリーでもあります。

ただ、自社畑は少なく、ワシントンで2400エーカー、オレゴンで190エーカーとなっており、ほとんどが契約栽培者からの購入となっています。ワシントン州ではそれが3万エーカーにも及びます。今回の発表は、その3万エーカーを1万8000エーカーにまで減らすということになります。契約農家からの買い取りを一律4割減らすのか、契約農家によって完全に切ったりそのままだったりするのかは公表されていません。

サン・ミシェルは10ドル弱の価格帯を得意としており、コロンビア・クレストなどの有力ブランドを抱えています。ただ、この価格帯の市場は減少傾向にあり、よりプレミアムな価格帯のワインに移行する動きがあります。例えば2020年のコンステレーション・ブランズからガロへの大量ブランド売却(シミやレイヴンズウッド、フランシスカンなど)も低価格帯ブランドを減らすためでした。

そういう意味ではサン・ミシェルは業界の変化についていくのに失敗したという見方もあります。

また、サン・ミシェルの親会社は2021年に投資会社のシカモア・パートナーズに変わっていますが、そのことと今回の動きにはほとんど関係なく、それ以前からの価格帯シフトの失敗が重要だったという見方が主流です。

ワシントン州では1万エーカー以上の畑のブドウが行き場を失うことになり、他のワイナリーによるブドウの契約なおdにも影響がでてくるのは間違いないでしょう。ブドウ価格も下落することが予想され、栽培家にとっては非常に厳しい状況になりそうです。