ロブ・レポートにナパの次のカルトワインとして「サイン・オブ・ザ・ドーヴ」というワイナリーの記事が出ていました(Sign of the Dove Is Napa Valley's Next Great Cult Winery)。
Sign of the Dove
私も初耳のこのワイナリーですが、ワインメーカーがジェシー・カッツと聞けばもしかしたら「なるほど」と思う人もいるかもしれません。

私がこの人のことを初めて知ったのは「1本100万ドル、オークションで落札新記録 ソノマの無名ワインがなぜ?」のときでした。この1本100万ドルという史上最高額で落札されたワインを造っていたのがジェシー・カッツです。

さらに、同年(時期的にはこちらが先ですが)、ソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるデヴィル・プルーフというワイナリーでマルベックがワイン・アドヴォケイトの100点を取得。カリフォルニアとしては初のマルベックの100点となりました。このデヴィル・プルーフのオーナーがジェシー・カッツ(とその父親)なのでした。

サイン・オブ・ザ・ドーヴのオーナーはジェイク・トーブとその父のマーク・トーブ。ジェイクが自身がほれこんだベクストファー・ミズーリ・ホッパーとベクストファー・ジョージIIIのブドウを確保して、5年ほど前からの知り合いだったジェシー・カッツに醸造を依頼したという流れです。

ベクストファー・ミズーリ・ホッパーはオークヴィル西側の南端。西にヴァイン・ヒル・ランチ、北にドミナスのユリシーズの畑があるという好立地です。ベクストファー・ジョージIIIはラザフォードの東より、南の方にあるかなり大きい畑。ケイマスの畑などに隣接しています。ジェシー・カッツは自らのコネクションも利用して、最もいいブロックのブドウを得られるようになったとのことです。

さらに、ジェシー・カッツは、自身がソノマで行っているのと同じスタイルで剪定するようベクストファーに依頼し、ブドウに最適な日陰を作って成熟をゆっくり行うような形にしているとのことです。

ワイナリーでは手で3回選果したあと、さらに光学式の選果機で選果。発酵はステンレスタンクとコンクリートタンクを使用。発酵温度を変えて違ったニュアンスが出るようにしています。樽は「ミディアム・ロング」のトーストのものを注意深く選択しています(以上はベクストファー・ジョージIIIの説明にあったものなので、もしかしたらミズーリ・ホッパーは違うかもしれません)。

最初のヴィンテージは2021年。ベクストファー・ミズーリ・ホッパー・カベルネ・ソーヴィニヨン2021は100%カベルネ・ソーヴィニヨン。100%フレンチオークの新樽で22カ月熟成しています。ジェシー・カッツは「ベクストファー・ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤードの驚くほど複雑なカベルネは、ブルーベリー、ボイセンベリー、ダークチェリー、カシスの魅惑的なノーズを示しています。 洗練されたシルキーな味わいで、月桂樹、シガーボックス、タバコのノートが層になり、鮮やかな酸味によって引き上げられています」と語っています。

ベクストファー・ジョージIII カベルネ・ソーヴィニヨンは100%カベルネ・ソーヴィニヨンで熟成はフレンチオークの新樽を80%使っています。ジェシー・カッツは「ナパの豊かなデカダンスとバランスを取るために、これらの世界クラスの土地のエレガンスとフィネスを引き出すことで、見事なテクスチャーと緊張感を持つワインが生まれました」と語っています。

次の高評価ワインを探している人は調べる価値があるかもしれません。

ちなみに「サイン・オブ・ザ・ドーヴ=鳩の印」とはキリスト教で精霊を表しています。イエス・キリストがヨルダン川でヨハネに洗礼を受けた際、天が開け、神の霊が鳩のように下ってきたと記されています。