ト・カロンの真髄、新ヴィンテージをマスタークラスで確認
ナパを代表する銘醸畑ト・カロン(To-Kalon)。そのオーナーであるコンステレーション・ブランズによるト・カロンのマスタークラスに参加してきました。シュレーダーの2022年、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーの2021年を中心に、シュレーダーのセカンドであるダブル・ダイヤモンドと、コンステレーション傘下のマウント・ヴィーダー・ワイナリーのワインも試飲しています。
昨年もシュレーダーとダブル・ダイヤモンドの2021年のお披露目イベントがありましたが、試飲対象を拡大しての開催となりました。なお、ナビゲーターは昨年と同じ、ジェイソン・スミスMSです。
シュレーダーとダブルダイヤモンド、2021ヴィンテージのお披露目
ワイナリーや畑の説明などは、昨年とほぼ同じなので割愛します。新情報としてはト・カロンが有機栽培の認証を取ったこと(本ブログでは既報です)、カルロ・モンダヴィ(ロバートの孫)が携わる新世代トラクターMonarchを導入したことなどがありました。
ヴィンテージの紹介からしていきます。
2020年は2回の山火事で大きな影響が出た年。特に2回目の火事となった9月下旬のGlass Fireはナパ中に煙を充満させ、ブドウが煙を吸ってしまったため、今回紹介しているワイナリーはいずれもワインを造るのを諦めました。
2021年は干ばつの年。ブドウの実が小さく、皮の比率が高くなったため、タンニンが強く力強い味わいのワインになりました。
2022年は記録上一番暑かった年でした。特に9月上旬には45℃を超える日が続き、タンニンが強いというよりもフルーツが前面に出た。早い時期に楽しむようなスタイルのワインになりました。熟成を待たずに飲むことが多い、レストランには向いているヴィンテージだとのことです。コンステレーションの畑では、ブドウ畑に灌漑をすることで、熱の影響をやわらげました。熱波の間、ブドウの成熟がストップしてしまったため、収穫は1週間くらい遅くなっています。
今回のワインはいずれも2021年か2022年のものですが、最近のヴィンテージにも言及がありました。
2023年は冬に雨が非常に多く、過去20年で一番涼しい年になりました。生育は例年より3週間遅く、収穫の最後は11月になりました。雨が降らず、服雑味が増え、完熟したワインができました。今から来年2023年を持ってくるのが楽しみだとのことです。
2024年はクラシックなナパヴィンテージ。特にマウントヴィーダーはハイクオリティで典型的ななヴィンテージとなりました。
試飲はト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのワインからです。ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは、銘醸畑ト・カロンから究極的に素晴らしいワインを造るために2016年から始まったブランド。最初のワインメーカーはアンディ・エリクソン。2022年から、HourglassやPlumpjackなどでワインメーカーを務めたトニー・ビアージが加わり、2022年はアンディ・エリクソンと協力して醸造、2023年からトニー・ビアージ一人でのワイン造りとなりました。今回は2021年なので、まだアンディ・エリクソンによるものです。
最初のワインは2021年のEliza’s(エリザズ、50000円)です。カベルネ・ソーヴィニヨン60%にカベルネ・フラン40%というカベルネ・フラン比率の高いワイン。Eliza(現地の発音はエライザ)はト・カロン・ヴィンヤードを作ったハミルトン・ウォーカー・クラブの奥さんの名前。その家が現在のカベルネ・フランのブロックのあたりだったことから名付けました。
ラズベリーやザクロ、カカオにハーブのニュアンス。酸高く、フルボディでありながら軽やかでエレガントさを感じさせるワインです。タンニンはしっかりあって芯が通っています。個人的には非常に好きな味わいです。
次のハイエスト・ビューティ(Highest Beauty、50000円)は、ギリシャ語のト・カロンの英語での意味から取った名前です。
スミレの花、カシスにブラックベリー、チョコレートやコーヒー、タバコのニュアンス。ストラクチャー強くタンニンも非常に強いワイン。タンニンが強固で飲み頃はまだしばらく先のようです。
このほか、100%カベルネ・ソーヴィニヨンで、シングルクローン、シングルブロックというHWCというブランドがあります。
次はシュレーダーです。シュレーダーは2022年のヴィンテージとなります。このヴィンテージからは従来のベクストファー・ト・カロンのブドウはなくなり、モンダヴィのト・カロンの畑からのワインだけになります。
3本目のワインはシュレーダーのト・カロン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン(90000円)です。中川ワインではこのワインを(シュレーダー、シュレーダー)と呼んでいるとか。
チョコレート、リキュール、カシスやブルーベリー、チョコレート。強いけどスムーズなタンニン。リッチで酸高くジューシー。とにかく香りが素晴らしく、グラスから30㎝離れていてもワインの香りが漂ってきます。
4本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード モナステリー・ブロック カベルネ・ソーヴィニヨン2022(90000円)。ト・カロン・ヴィンヤードの中でも最高のブロックとして知られています。
青系、黒系果実にミントやハーブ。リッチだけど酸高くタンニンもやや強い。バランスも良く素晴らしく美味しいワイン。
5本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード ヘリテージクローン カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(90000円)。ヘリテージ・クローンはブドウの房が握りこぶしの半分くらいしかない、レアなクローンを使ったワインです。あまりにもブドウが小さいので1アーカーあたり1トン程度しか収穫できません(通常2トンを下回ると極めて少ないと言われます)。ちなみにト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのHWCもこのクローンで作っています。
ラズベリーやザクロのような赤果実の香りが前に出てきます。カシスも感じられます。甘酸っぱくジューシー。これもフルボディで濃いワインですが、チャーミングさを感じます。個性的な魅力を感じさせるワインでした。
シュレーダーの最後に2021年のオールド・スパーキー(200000円)が供されました。これはベクストファー・ト・カロンのいくつかのブロックの最良のものから作るワイン。マグナムボトルだけの提供です。
極めてリッチでタニック。パワフルでストラクチャーも酸も強いワイン。飲んでいくと少し甘やかさを感じられるようになります。ベクストファー・ト・カロンの濃密さが堪能できるワインです。
シュレーダーとト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーを比べると、シュレーダーの方が最初から魅力全開。一方、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは少し奥ゆかしさがあります。なお、醸造においてシュレーダーは10~13日の発酵で。温度は高めで発酵させます。一方、アンディ・エリクソンのト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは低めの温度で約2週間かけて発酵させます。どちらもバランスの良さを目標にしており、それを実現していますが、シュレーダーはやや甘やかさを感じさせるワインです。
なお、2022年はオールド・スパーキーは作られませんでした。ブレンドしたもののオールド・スパーキーの品質に届かなかったとのこと。2023年からは、モンダヴィのト・カロンから同じように最良のものによるオールド・スパーキーが作られる見込みです。
別途試飲したワインのコメントを記します。
まずはダブル・ダイヤモンド カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(14800円)。
カシス、レッドベリー、アルコール高いがきれい。タンニンやや強く、ストラクチャーしっかり、鉄、黒鉛、タバコ。ストラクチャーの強さが特に印象的でした。
次にダブル・ダイヤモンド プロプライエタリー・レッド・ワイン 2022(14800円)。
カシスの香り高くブルーベリーも。カベルネ・ソーヴィニヨンよりリッチで濃密。チョコレートの風味。
最後はマウント・ヴィーダーのカベルネ・ソーヴィニヨン2021(13000円)です。
ブラックベリーに杉や腐葉土。山らしさを感じられるワインでした。
昨年もシュレーダーとダブル・ダイヤモンドの2021年のお披露目イベントがありましたが、試飲対象を拡大しての開催となりました。なお、ナビゲーターは昨年と同じ、ジェイソン・スミスMSです。
シュレーダーとダブルダイヤモンド、2021ヴィンテージのお披露目
ワイナリーや畑の説明などは、昨年とほぼ同じなので割愛します。新情報としてはト・カロンが有機栽培の認証を取ったこと(本ブログでは既報です)、カルロ・モンダヴィ(ロバートの孫)が携わる新世代トラクターMonarchを導入したことなどがありました。
ヴィンテージの紹介からしていきます。
2020年は2回の山火事で大きな影響が出た年。特に2回目の火事となった9月下旬のGlass Fireはナパ中に煙を充満させ、ブドウが煙を吸ってしまったため、今回紹介しているワイナリーはいずれもワインを造るのを諦めました。
2021年は干ばつの年。ブドウの実が小さく、皮の比率が高くなったため、タンニンが強く力強い味わいのワインになりました。
2022年は記録上一番暑かった年でした。特に9月上旬には45℃を超える日が続き、タンニンが強いというよりもフルーツが前面に出た。早い時期に楽しむようなスタイルのワインになりました。熟成を待たずに飲むことが多い、レストランには向いているヴィンテージだとのことです。コンステレーションの畑では、ブドウ畑に灌漑をすることで、熱の影響をやわらげました。熱波の間、ブドウの成熟がストップしてしまったため、収穫は1週間くらい遅くなっています。
今回のワインはいずれも2021年か2022年のものですが、最近のヴィンテージにも言及がありました。
2023年は冬に雨が非常に多く、過去20年で一番涼しい年になりました。生育は例年より3週間遅く、収穫の最後は11月になりました。雨が降らず、服雑味が増え、完熟したワインができました。今から来年2023年を持ってくるのが楽しみだとのことです。
2024年はクラシックなナパヴィンテージ。特にマウントヴィーダーはハイクオリティで典型的ななヴィンテージとなりました。
試飲はト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのワインからです。ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは、銘醸畑ト・カロンから究極的に素晴らしいワインを造るために2016年から始まったブランド。最初のワインメーカーはアンディ・エリクソン。2022年から、HourglassやPlumpjackなどでワインメーカーを務めたトニー・ビアージが加わり、2022年はアンディ・エリクソンと協力して醸造、2023年からトニー・ビアージ一人でのワイン造りとなりました。今回は2021年なので、まだアンディ・エリクソンによるものです。
最初のワインは2021年のEliza’s(エリザズ、50000円)です。カベルネ・ソーヴィニヨン60%にカベルネ・フラン40%というカベルネ・フラン比率の高いワイン。Eliza(現地の発音はエライザ)はト・カロン・ヴィンヤードを作ったハミルトン・ウォーカー・クラブの奥さんの名前。その家が現在のカベルネ・フランのブロックのあたりだったことから名付けました。
ラズベリーやザクロ、カカオにハーブのニュアンス。酸高く、フルボディでありながら軽やかでエレガントさを感じさせるワインです。タンニンはしっかりあって芯が通っています。個人的には非常に好きな味わいです。
次のハイエスト・ビューティ(Highest Beauty、50000円)は、ギリシャ語のト・カロンの英語での意味から取った名前です。
スミレの花、カシスにブラックベリー、チョコレートやコーヒー、タバコのニュアンス。ストラクチャー強くタンニンも非常に強いワイン。タンニンが強固で飲み頃はまだしばらく先のようです。
このほか、100%カベルネ・ソーヴィニヨンで、シングルクローン、シングルブロックというHWCというブランドがあります。
次はシュレーダーです。シュレーダーは2022年のヴィンテージとなります。このヴィンテージからは従来のベクストファー・ト・カロンのブドウはなくなり、モンダヴィのト・カロンの畑からのワインだけになります。
3本目のワインはシュレーダーのト・カロン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン(90000円)です。中川ワインではこのワインを(シュレーダー、シュレーダー)と呼んでいるとか。
チョコレート、リキュール、カシスやブルーベリー、チョコレート。強いけどスムーズなタンニン。リッチで酸高くジューシー。とにかく香りが素晴らしく、グラスから30㎝離れていてもワインの香りが漂ってきます。
4本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード モナステリー・ブロック カベルネ・ソーヴィニヨン2022(90000円)。ト・カロン・ヴィンヤードの中でも最高のブロックとして知られています。
青系、黒系果実にミントやハーブ。リッチだけど酸高くタンニンもやや強い。バランスも良く素晴らしく美味しいワイン。
5本目はシュレーダー ト・カロン・ヴィンヤード ヘリテージクローン カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(90000円)。ヘリテージ・クローンはブドウの房が握りこぶしの半分くらいしかない、レアなクローンを使ったワインです。あまりにもブドウが小さいので1アーカーあたり1トン程度しか収穫できません(通常2トンを下回ると極めて少ないと言われます)。ちなみにト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのHWCもこのクローンで作っています。
ラズベリーやザクロのような赤果実の香りが前に出てきます。カシスも感じられます。甘酸っぱくジューシー。これもフルボディで濃いワインですが、チャーミングさを感じます。個性的な魅力を感じさせるワインでした。
シュレーダーの最後に2021年のオールド・スパーキー(200000円)が供されました。これはベクストファー・ト・カロンのいくつかのブロックの最良のものから作るワイン。マグナムボトルだけの提供です。
極めてリッチでタニック。パワフルでストラクチャーも酸も強いワイン。飲んでいくと少し甘やかさを感じられるようになります。ベクストファー・ト・カロンの濃密さが堪能できるワインです。
シュレーダーとト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーを比べると、シュレーダーの方が最初から魅力全開。一方、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは少し奥ゆかしさがあります。なお、醸造においてシュレーダーは10~13日の発酵で。温度は高めで発酵させます。一方、アンディ・エリクソンのト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーは低めの温度で約2週間かけて発酵させます。どちらもバランスの良さを目標にしており、それを実現していますが、シュレーダーはやや甘やかさを感じさせるワインです。
なお、2022年はオールド・スパーキーは作られませんでした。ブレンドしたもののオールド・スパーキーの品質に届かなかったとのこと。2023年からは、モンダヴィのト・カロンから同じように最良のものによるオールド・スパーキーが作られる見込みです。
別途試飲したワインのコメントを記します。
まずはダブル・ダイヤモンド カベルネ・ソーヴィニヨン 2022(14800円)。
カシス、レッドベリー、アルコール高いがきれい。タンニンやや強く、ストラクチャーしっかり、鉄、黒鉛、タバコ。ストラクチャーの強さが特に印象的でした。
次にダブル・ダイヤモンド プロプライエタリー・レッド・ワイン 2022(14800円)。
カシスの香り高くブルーベリーも。カベルネ・ソーヴィニヨンよりリッチで濃密。チョコレートの風味。
最後はマウント・ヴィーダーのカベルネ・ソーヴィニヨン2021(13000円)です。
ブラックベリーに杉や腐葉土。山らしさを感じられるワインでした。