またWine Advocate #180からのネタですが,某ワインショップと同じことを書くのは芸がないので,珍しくOpus Oneのことでも書いてみます。

私は,Opus Oneについては否定的なことを書いたり言うことが多いですが,それはこれだけ有名で人気があるこのワインが,その人気に応えるだけの品質を維持できておらず,また日本における価格の高さにも疑問を持っていたからです。ですからOpus Oneなら全部だめというわけではなく,今でもセラーには1本だけですが90年代半ばのOpus Oneを持っています(90ドルくらいで買ったもの)。

1997年のヴィンテージ以降低迷を続けていたこのワイン,どうやらついに復活してきたようです。WA #180によると2005が95+,2006が94,2007が94-97。例えば同じヴィンテージのInsigniaは95,94-96,95-97,Shafer Hillside Selectが97,93-95,98-99,Araujoが98,92-93,95-97と,若干見劣りする部分はあっても,ほぼトップクラスに返り咲いたと言って過言ではないでしょう。参考までにこれまでのWine Advocate誌の評価をグラフにしてみましたが,2005の95+というのは過去最高の評価です(グラフ内では95+は95,94-97は94と表示)。
Opus One

ロバート・パーカーのレビューを年代別に見ていっても面白いです。96年は「これまでで最高のOpus Oneの一つ」と書いていたのが97~2000年はどんどん辛らつになります。

97年:「ヴィンテージを考えれば,このワインがどうあるべきかは言うにおよばず,がっかりするできだった」
98年:「ボルドーが悪い年に値段を下げるのにどうしてカリフォルニアの生産者は同じことができないのだろう」
99年:「ナパの最も割高なワインとして一票を投じる」
2000年:「ナパの最も割高なワインとして一票を投じる」

2001年と2002年は辛らつながらやや表現が優しくなります。
01年:「みかけだけでどうしようもなかった2000年と比べると大きな進歩だ」
02年:「最近のヴィンテージと比べると進歩しているが,かなり高すぎるワインの一つであるのは変わっていない」

それに対して2005年は「熟成したボルドーの最高のヴィンテージのような味わいだが,カリフォルニアで作られたものだ。今後20~25年飲めるだろう。ブラボー」と激賞した上「新しいワイン作りのチームになり,モンダヴィ家の影響がなくなった今,Opus Oneがこれまで最高の3部作を作ったことは皮肉である。このワインは常に実質よりも当てこすりにまみれてきた。トップワインを作っているときもあるのに,そうでないときには凝縮感が欠けていると貶められてきた。その批判はこの3ヴィンテージに対しては当てはまらないだろう」と書いています(訳は自信なし,間違っていたらごめんなさい)。

というわけで2005年は長い低迷からついに復活したようです(パーカーの言に乗るのはあまり芸が無いかもしれませんが,少なくとも1996~2002年までの評価は当たっていると思うので,2005以降についても基本的には信用しています)。

また,日本での価格は最近下がっており,以前のような米国価格の2倍を大きく超えるというところまで行きません。例えば2005年は米国でおおむね税抜き150ドル。日本は安いところで税抜き2万円を切ります。ほかのワインの近年の値上がりと比べたらむしろ格安な部類に入りそうです。

というわけで2005年のオーパス・ワンは,オーパスワン史上最も日本での価格が安く最も高品質になった可能性があります。今回の高評価でまた値段が上がる前にとっとと買うのが正解かもしれません。