有名なワインブログFermentationに、Wine Advocate誌のカリフォルニア担当Antonio Galloniの記事が載っていました(Fermentation: The Daily Wine Blog: Examining Antonio Galloni)。とても興味深い内容なので紹介します。

筆者のTom Wark氏(ソノマ在住のワインコンサルタント)はまず、Galloniとのメールのやりとりを通じて、レビューを書くときに心がけていることを聞いています。

それによると、Galloniはワインの批評は、読者の教育のためであるとしています。また、アロマやフレーバーの感じ方は人によって異なっており、Galloniがカシスだとしたものをほかの人はブラックベリーだったり、ブルーベリーだったりと認識する可能性もあります。そのようなことから、なるべく明確な言葉を使う(例えばシナモンやナツメグの代わりにスパイスとする)ことを意識しているとか。

この議論を踏まえて、Tom Wark氏は2008年、2009年のカリフォルニアの赤ワインのレビューで登場する単語を、Galloniのレビュー全体、90点以上、95点以上、に分けて頻度順に分析しています。

このあたりの数字は興味深いので、原文を当たっていただきたいのですが、いくつかの単語が95点以上のレビューで顕著に多く登場しています。例えば、Tar、Silk、Finesse、などなど。

また、一番多く登場する単語はLicoriceで、全体で46%、90点以上で49%、95点以上ではなんと57%のレビューで出てきます。

「Licorice」問題については、さらにパーカーのレビューと比較しています。一番顕著な例だと、Galloniはピノ・ノワールのレビューの34%でlicoriceを使っているのに対してパーカーはわずか2%。また、カベルネ・ソヴィニョンだとパーカーは全体で23%のレビューでlicoriceを使っているのに対し、95点以上では34%と増えるとか(この傾向は特にSyrahで顕著です)。

最後に、Galloniにlicoriceの多用について問い合わせたところ、"It seems pretty clear I may be overusing licorice as a descriptor, and I thank you for pointing that out".とのこと。

Galloniの率直な人柄に好感が持てました。記事も興味深いので、ぜひ読んでみてください。