1週間前になりますが、楽天モバイルのイベントに参加しました。楽天モバイルは、最近急速に増えている「格安スマホ」や「格安SIM」のサービスの1つです。

運営しているのは格安市外電話サービスの老舗だったフュージョン・コミュニケーションズ。同社は2007年に楽天グループ傘下に入っており、楽天モバイルのほか、スマートフォンから格安に電話をかける楽天でんわ、スマートフォンで「050」番号の電話を利用する「SMARTalk」(スマートーク)といったサービスを提供しています。

さて、格安スマホや格安SIMがどういうものなのか、最初に説明しておきましょう。

携帯電話の事業者というと、日本ではNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの3社があります。これ以外の会社が携帯電話の事業者になりたいと思っても、まず無理です。全国に基地局を作るのに巨額が必要ですし、通信に使う周波数も空いていません。

そこで、既存の事業者の基地局などを利用して携帯電話サービスを提供できるような仕組みができました。それを使って提供する事業者を「MVNO」といいます。格安スマホ、格安SIMはいずれも、こういったMVNOによるサービスです。実際にはドコモ、ソフトバンク、auどれかの基地局などを使ってサービスを提供しています。楽天モバイルの場合はNTTドコモを使っています。したがって、NTTドコモの電波が入るところであれば、楽天モバイルも利用できることになります。

なお、SIMというのは通信事業者との接続に必要な情報を記録したもので、携帯電話機やスマートフォンには「SIMカード」という小さなカードが入っています。MVNOが提供する安いSIMカードを「格安SIM」、格安SIMを入れるスマートフォンを「格安スマホ」と呼んでいます。

格安SIMがあれば、今持っている携帯電話機やスマートフォンのSIMと交換して使えるんじゃないの? という当然の疑問が湧くわけですが、今のところ、携帯電話機やスマートフォンの大部分は、その特定の事業者のSIMしか認識しないようになっています。これを「SIMロック」といって、どこのSIMでも使える電話機は「SIMフリー」といいます(最近のドコモの端末はSIMフリーが増えているとのことです)。

本来、MVNOを使うには格安SIMだけで済むはずが、このような事情からSIMフリーのスマートフォンと一緒に販売されることが多くなっています。それを「格安スマホ」と呼んでいるわけです。

さて、格安SIMを選ぶには、いろいろポイントがあります。例えば楽天モバイルの料金表を見てみましょう。
楽天モバイル

SIMには、通話SIMとデータSIMの大きく2つがあり、料金はかなり違います。またデータSIMにはSMSありとなしとがあります。

通話SIMというのは、普通の携帯電話の通話機能があるものです。090などで始まる電話番号が使えるため、MNPを使って現在使っている電話番号を変更せずにMVNOに変更できます。

データSIMは通話機能がありません。ただ、今は携帯電話自身の通話機能を使わなくてもSkypeなどを使って通話が可能です。前述の「SMARTalk」を使えば電話番号も割り当てられます。データSIMを使うことも十分考えられるでしょう。

データSIMのSMSありとなしではありの方が少し高くなりますが、よほどの事情がない限りSMSありを選ぶべきです。携帯電話のSMS機能は、ユーザーの認証手段として多くのサービスが利用しているからです。例えばLINEの登録時にSMSを使って携帯電話に4桁の数字を送ります。それを入力することで、その番号が実際にそのユーザーの番号であることを確認するわけです。グーグルなどがセキュリティ強化のために採用している「2段階認証」も同じようにSMSを使います。

1か月の通信料によって、複数の料金プランを用意しているのが普通です。楽天モバイルの場合、2.1Gバイト、4Gバイト、7Gバイトとなっていましたが、2015年4月からは料金を変えずに3.1Gバイト、5Gバイト、10Gバイトまで使えるようになりました。
楽天モバイル

実はこの新料金、イベントの当日に間に合わせるようにがんばって調整をして発表したものだそうです。その後、他のいくつかのMVNOも追随しましたが、イベント時点では楽天モバイルが一歩リードした形になっていました。

なお、2.1Gバイトなどのデータ量ですが、LTEを使った高速通信のデータ量を意味しています。このリミットを超えても200kビット/秒という速度では、通信可能です。

また、1か月のリミットのほかに、3日間のリミットもあります。例えば2.1Gバイトのプランでは3日間の高速通信量が360Mバイトを超えると、次の日1日は200kビット/秒でしか利用できません。ちなみに4月からはこれも500Mバイトに増量しています。

ここまでは、あるサービスの中でのプランの違いについて書いてきましたが、ではどのサービスを選ぶのがいいのでしょう。

イベントでプレゼンした携帯総合研究所のxeno氏によると、細かい料金の違いはあまり気にしない方がいいとのことでした。それよりも通信の品質や、サービスを常に改善しているかといったことを見たほうがいいとのことです。
楽天モバイル

通信の品質については、昼休みの時間が一番如実に差が出るとのこと。基地局は同じドコモであっても、その背後のネットワークの性能差があるわけです。そしてxenoさん自身の測定データによると、楽天モバイルはかなり優秀です。快適に使えるかどうかの境という10Mビット/秒(上の図で中央の線)を混雑時でもほぼ達成しています。

実際の製品や1週間使った感想については今後の記事で掲載予定です。