ナパで今最も注目されているワイナリーの1つであるレアム(Realm)をご存知でしょうか。

このブログでまだあまりちゃんと取り上げていなかったので、僕も詳しいことは知らなかったのですが、Webサイト(Realm Cellars)を見ると、これまでのストーリーが非常に詳しく綴られており、とても興味深いものでした。

オーナーのジュアン・メルカド(Juan Mercado)は、ワインのバックグラウンドはなくオークランドの病院で看護師として働いていた人。ワインが好きになって、ナパに通い、トーマス・ブラウンやパックス・モールなど後に有名になったワインメーカーたちと友人になりました。

趣味が高じて、収穫期にワイナリーで手伝いをするようになり、自分でもワインを作りたいと思うようになりました。最初は畑のオーナーにお願いに行くと「ワインメーカーは誰か」、ワインメーカーにお願いに行くと「どこの畑のブドウが使えるのか」とまさに鶏か卵かの状態だったのですが、さまざまな友人や知人の伝手で、ベクストファーのトカロンやドクター・クレーン、ドミナスのナパヌックなど、素晴らしい畑のブドウを入手できるようになりました。

その後も、2番めのヴィンテージの2003年のワインがナパの倉庫の火事で全滅してしまったり、離婚したり、ワインメーカーがやめてしまったりなど、様々な困難が押し寄せますが、それらを乗り越え今に至ります。

そして、2014年末にはWine Advocate誌で2012ヴィンテージの2本のワインに満点が与えられました。さらに2015年には2013ヴィンテージの3本のワインが満点。2ヴィンテージで5本のワインに満点というのは、カリフォルイアワインでは初めてではないでしょうか(フランスだとギガルで1ヴィンテージ5本、2ヴィンテージで9本に満点という例があります)。この快挙によって、一躍注目のワイナリーになりました。

日本には2006ヴィンテージから中川ワインが輸入しているとのことですが、なんとこの2013ヴィンテージは日本への割当がゼロになってしまいました。

その代わりといっては何ですが、2010年のベクストファー・ドクター・クレーンが安く入ってきてわけです。安くといっても2万円を超えるのですが、現行ヴィンテージが5万円近い価格を付けているのと比べればかなりの安さです。