セーニャ
チリの名門ワイナリー「ヴィーニャ・エラスネス」のオーナーであるチャドウィック家と、ロバート・モンダヴィが共同で設立したスーパープレミアムなワイナリーがセーニャです。2017年にはジェームズ・サックリングが100点満点を付けて、年間3位に選出しました(ちなみに1位もチリのアルマヴィーヴァ)。その100点を記念してオーナーのエデュアルド・チャドウィック氏が来日、セミナーを開催しました。
セーニャのオーナーであるエデュアルド・チャドウィック氏とソムリエ日本一の岩田渉氏
1995年に設立したセーニャですが、チリではプレミアムという地位を確立しても世界市場ではなかなか認められませんでした。そこでカリフォルニアワインにおけるパリ・テイスティングのようなエポックメイキングなことを狙い、2004年1月にベルリンで60種のワインをブラインドで評価するイベントを開催。1位にヴィーニャ・エラスネスの「ヴィネード・チャドウィック」が、2位と4位にセーニャ(ヴィンテージ違い)が入るという快挙をなしとげました。これをベルリン・テイスティングといいます。その後「ベルリン・テイスティング」は日本を含む世界各地で開催され、その都度、セーニャは上位に入っています。東京では2006年6月に開催され、2位と4位がセーニャ、3位がヴィネード・チャドウィックでした。

それでもなお、熟成能力がないのではないかと言われるため、今度はヴィーニャの垂直テイスティングと熟成したボルドーによる試飲会をアジアを中心に開催しました。2011年に香港で開かれたテイスティングではセーニャ6ヴィンテージにボルドー1級4本というラインアップで、なんとセーニャは1~5位と8位でした。

なお、2000年代半ばにロバート・モンダヴィの経営が傾いたため、合弁は解消され、現在はチャドウィック家が100%オーナーとなっています。また2005年からはバイオ・ダイナミックでの栽培にも取り組んでいます。

試飲に移ります。

セーニャ(左から96、2000、2003年)
まずは1996年から。

セーニャの1stヴィンテージは1995年ですが、この年はブレンドだけをしたとのことで1996年が畑からセーニャとして造った最初の年だそうです。

20年を超え、エッジはちょっと褐色がかっています。色はやや薄め。香りはミントのようなハーブに、なめし革のような動物的な香り、カシスのような青系果実の香りも少しあります。味わいはオレンジのフレーバー。酸は割と強く感じます。きれいに熟成したワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン91%にカルメネールが9%。ボルドーからチリに運ばれ、ボルドーでは絶えてしまったカルメネールをブレンドしているのがセーニャの1つの特徴です。カルメネールは色濃く凝縮感もありますが、未熟だとグリーンなフレーバーが出ます。未熟な感じは全くありませんでした。ジェームズ・サックリング(以下JS)は92点、ロバート・パーカーのWine Advocate(以下WA)は88点。

2000年は若干褐色がかっていますが96年より少し色は濃いです。ミントやビーフジャーキーのような香り。ただ香りはそれほど強くはありません。味わいは96年よりも凝縮感があり、カシスやブラックベリー、鉛筆の芯のフレーバー。カベルネ・ソーヴィニヨン77%、メルロー17%、カルメネール6%。JS91、WA91。

2003年は気温が高く乾燥したシーズンだったとのこと。色は赤からちょっとだけ褐色化が始まっています。香りはハーブのニュアンスが強く、やはりなめし革の要素もあります。全体に上品で気品を感じる香りです。味わいではきめ細かなタンニンでシルキーなテクスチャが印象的。果実味もまだあり、パワーを感じます。JS92、WA93。

セーニャ(左から2009、2013、2015年)

後半に移ります。

2009年はこれまで3ヴィンテージと比べて色が濃く、ブルーベリーやブラックベリーの風味。後からハーブの香りが出てきます。鉄っぽさも感じます。味わいもまだ果実味がしっかりあり、芳醇。バランスよく、パワーとフィネスがあります。カベルネ・ソーヴィニヨン54%、カルメネール21%、メルロー16%、プティ・ヴェルド6%、カベルネ・フラン3%。JS95、WA92。

2013年は若干紫が入るような色の濃さ。セージなどのハーブの香り。ブルーベリーなど青系の果実の味わいが濃く、鉛筆の芯のような味わいもあります。タンニンはきめ細かく、ストラクチャーもしっかりしています。余韻にきれいな酸があります。一番カリフォルニアに近いような味わいで、とてもおいしい。カベルネ・ソーヴィニヨン58%、カルメネール15%、マルベック12%、メルロー10%、プティ・ヴェルド5%。JS99、WA96。

2015年は2013年よりもさらに色濃く、ハーブにブラックベリー、葉巻のような甘い香り。リコリス。これもタンニンはきめ細かく、2013年よりも少し酸が強いです。これもさすがにおいしい。カベルネ・ソーヴィニヨン57%、カルメネール21%、マルベック12%、プティ・ヴェルド7%、カベルネ・フラン3%。JS100、WA96。

6ヴィンテージを試飲して共通して感じたことは、非常に上品でタンニンがきめ細かいこと、ハーブの印象がしっかりと出ていること。カリフォルニア的なモダン・スタイルというよりもボルドー的なクラシックなスタイルのワインだと思います。若いワインでもノンフルーツの要素を感じるので、熟成にはとても向くと思います。

前半の3本と後半の3本を比べると、後半の方が果実味やさまざまなフレーバーがより強くでてストラクチャーもしっかりしています。ワインが若いからというのはもちろんありますが、畑の樹齢が上がってきている(それでもまだ平均20年ですが)ことや、バイオ・ダイナミック農法を取り入れたことが影響しているようにも感じます。

ジェームズ・サックリングが100点を付けた2015年はとても素晴らしいですが、2013年もほとんど引けを取らない素晴らしいワインです。個人的には青系の果実味がより強く感じられた2013年の方がカリフォルニアのスタイルには近く、好みでもありました。どちらにしても、世界のトップレベルのワインの1つであることは疑いようがありません。それでもまだ1万円台で買えるというのは、やはりチリのワインはかなり割安です。

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