ポール・ホブズ、40年のワイン造りをワインとともに振り返る
フライング・ワインメーカーとして世界各地でコンサルティングをする傍ら、自身のポール・ホブズ・ワイナリーでも素晴らしいワインを造り続けているポール・ホブズ氏が先日来日してセミナーを開きました。1978年にワイン業界に飛び込んだ彼が40年間を振り返ります。
実家はニューヨーク州で農場を営んでいており、ポール・ホブズ氏は16歳のときに父親が持ち帰ってきたイケムでワインに開眼したといいます。そしてUCで栽培と醸造を学んだ後、1978年にカリフォルニアでロバート・モンダヴィに就職しました。下の写真は当時のもので、左端が今もモンダヴィのワイン造りを率いるジェヌヴィエーヴ・ジャンセンスさん。ポール・ホブズ氏は右奥で、前列中央がゼルマ・ロング。後にソノマのシミで醸造責任者になり、ポール・ホブズもそこで働きます。
この時代、カリフォルニアは科学的アプローチがもてはやされましたが、一方でワインメーカーは栽培のことはあまりわからずタッチしないという姿勢でした。逆にフランスなどではワイン造りは芸術であるとして、科学的アプローチは遅れていたそうです。今はワインメーカーも栽培に詳しくなっており、実際ポール・ホブズではベクストファー・ト・カロンの栽培ではかなり細かく指示を出しているそうでうs。
下はハイド・ヴィンヤードのラリー・ハイド氏との写真。実はポール・ホブズの初期のカベルネ・ソーヴィニヨンはハイドのブドウを使っていました。
こちらはト・カロンの畑。赤でかこったところがベクストファー・ト・カロン。
ポール・ホブズ氏は1974年に初来日、「お茶」に魅入られたそうです。タンニンの抽出などに共通項があるとか。
さて、試飲に移ります。今回はすべてカベルネ・ソーヴィニヨンです。
最初は1997年と1998年のカベルネ・ソーヴィニヨン。
1997年のカベルネ・ソーヴィニヨンは「ナパ・ヴァレー」と記されていますが実際にはブドウはハイド・ヴィンヤードのものを使っています。ハイド・ヴィンヤードはカーネロスにある涼しい畑ですが、その中で比較的温かいブロックのブドウを使っています。
やわらかい、ふくよかさがあるワイン。タンニンは強いが溶け込んでいます。97年は温暖な年で、非常にいいヴィンテージと言われていましたが、最近ではやや暖かすぎて凡庸なワインが多いのではないかとも言われています。このワインは涼しいハイド・ヴィンヤードなので、やはり温暖な年といってもそこまでふくよかすぎはしない印象です。
次の1998年は一転して、エルニーニョの影響で雨が多く難しい年と言われています。この年はハイドに加えてベクストファーのオークヴィルの畑がブレンドされています。オークヴィルの畑は樹齢が当時4年と若かったのですが、骨格がしっかりとした337や4の品種がうわっています。なお、ハイドの畑は早熟なSee(See's CandyのSeeだそうだ)というクローンを使っています。
1998年はハーブのニュアンスがあり、かなりタニックでストラクチャのしっかりしたワイン。これからまだ熟成すると思います。
次はだいぶ年が飛んで2010年と2012年のベクストファー・トカロンです。2010年は濃厚でパワフル。タニックでスパイシー。エネルギーを感じるワイン。すごいです。これはやはりおいしい。
2012年のベクストファー・トカロンは2010年と比べると赤系の果実味も多少あり、やわらかい印象があります。逆に洗練されている感じもあります。個人的には2010年の方が好きですが、2012年がいいという人もかなり多いと思います。
最後は2012年と2014年のネイサン・クームズ・エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン。
ナパではカーネロスの次に南にあるクームズヴィルのAVAの自社畑のワインです。
2012年は香り強くタニック。ベクストファー・トカロンと比べると少し酸が多くタニックです。
2014年は青系の果実味に加え、なめらかなタンニンでクームズヴィルの実力が推し量れます。
個人的には2010のベクストファートカロンと2014のエステートが甲乙つけがたい素晴らしさでした。クームズヴィルは要注目です。
実家はニューヨーク州で農場を営んでいており、ポール・ホブズ氏は16歳のときに父親が持ち帰ってきたイケムでワインに開眼したといいます。そしてUCで栽培と醸造を学んだ後、1978年にカリフォルニアでロバート・モンダヴィに就職しました。下の写真は当時のもので、左端が今もモンダヴィのワイン造りを率いるジェヌヴィエーヴ・ジャンセンスさん。ポール・ホブズ氏は右奥で、前列中央がゼルマ・ロング。後にソノマのシミで醸造責任者になり、ポール・ホブズもそこで働きます。
この時代、カリフォルニアは科学的アプローチがもてはやされましたが、一方でワインメーカーは栽培のことはあまりわからずタッチしないという姿勢でした。逆にフランスなどではワイン造りは芸術であるとして、科学的アプローチは遅れていたそうです。今はワインメーカーも栽培に詳しくなっており、実際ポール・ホブズではベクストファー・ト・カロンの栽培ではかなり細かく指示を出しているそうでうs。
下はハイド・ヴィンヤードのラリー・ハイド氏との写真。実はポール・ホブズの初期のカベルネ・ソーヴィニヨンはハイドのブドウを使っていました。
こちらはト・カロンの畑。赤でかこったところがベクストファー・ト・カロン。
ポール・ホブズ氏は1974年に初来日、「お茶」に魅入られたそうです。タンニンの抽出などに共通項があるとか。
さて、試飲に移ります。今回はすべてカベルネ・ソーヴィニヨンです。
最初は1997年と1998年のカベルネ・ソーヴィニヨン。
1997年のカベルネ・ソーヴィニヨンは「ナパ・ヴァレー」と記されていますが実際にはブドウはハイド・ヴィンヤードのものを使っています。ハイド・ヴィンヤードはカーネロスにある涼しい畑ですが、その中で比較的温かいブロックのブドウを使っています。
やわらかい、ふくよかさがあるワイン。タンニンは強いが溶け込んでいます。97年は温暖な年で、非常にいいヴィンテージと言われていましたが、最近ではやや暖かすぎて凡庸なワインが多いのではないかとも言われています。このワインは涼しいハイド・ヴィンヤードなので、やはり温暖な年といってもそこまでふくよかすぎはしない印象です。
次の1998年は一転して、エルニーニョの影響で雨が多く難しい年と言われています。この年はハイドに加えてベクストファーのオークヴィルの畑がブレンドされています。オークヴィルの畑は樹齢が当時4年と若かったのですが、骨格がしっかりとした337や4の品種がうわっています。なお、ハイドの畑は早熟なSee(See's CandyのSeeだそうだ)というクローンを使っています。
1998年はハーブのニュアンスがあり、かなりタニックでストラクチャのしっかりしたワイン。これからまだ熟成すると思います。
次はだいぶ年が飛んで2010年と2012年のベクストファー・トカロンです。2010年は濃厚でパワフル。タニックでスパイシー。エネルギーを感じるワイン。すごいです。これはやはりおいしい。
2012年のベクストファー・トカロンは2010年と比べると赤系の果実味も多少あり、やわらかい印象があります。逆に洗練されている感じもあります。個人的には2010年の方が好きですが、2012年がいいという人もかなり多いと思います。
最後は2012年と2014年のネイサン・クームズ・エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン。
ナパではカーネロスの次に南にあるクームズヴィルのAVAの自社畑のワインです。
2012年は香り強くタニック。ベクストファー・トカロンと比べると少し酸が多くタニックです。
2014年は青系の果実味に加え、なめらかなタンニンでクームズヴィルの実力が推し量れます。
個人的には2010のベクストファートカロンと2014のエステートが甲乙つけがたい素晴らしさでした。クームズヴィルは要注目です。