ソノマ・ヴァレーにあるオールド・ヒル・ランチは1852年から続く、おそらくカリフォルニアで現存する最も古いブドウ畑です。植え替えによって、今残っている一番古い樹は1880年代と考えられていますが、それでも140年近くたっていることになります。

かつてはレイヴンズウッドのフラッグシップとして知られたワインですが、オーナーだったジョエル・ピーターソンが醸造から離れた今世紀になってからは品質もぱっとしないという評価が固まってきていました。

ところが2019年に驚くべき話が飛び込んできました。2018年からジョエル・ピーターソンの息子のモーガンが自身のワイナリー「ベッドロック」でオールド・ヒル・ランチのワインを作り始めたというのです(「ベッドロックのフラッグシップ・ワインの垂直試飲」で既報)。さらにジョエル・ピーターソンが自身で作るワンス・アンド・フューチャーでもオールド・ヒル・ランチのジンファンデルを作り始めました。

先日、そのワンス・アンド・フューチャー版を試飲する機会があったのですが、これがすばらしかったのです。

非常にパワフルかつタニック。レイヴンズウッド時代に「ノー・ウィンピー・ワイン(軟弱なワインはつくらない)」という標語を掲げただけのことはあります。非常に重厚かつ重層的な味わい。うまみ要素がこれでもかというほど押し寄せてきます。今回はベッドロック版はありませんでしたが、両方飲み比べたらおそらくワイナリーの個性がよりはっきり出ると思います。

すでに、ベッドロックの自社畑ベッドロックのワインを両方で作っていますが、そこでもワンス・アンド・フューチャーはパワフル、ベッドロックは複雑と、個性が分かれていました。

ちなみに2018年のオールド・ヒル、ヴィナスはベッドロック版に96点、ワンス・アンド・フューチャー版に95点と非常に高い評価を付けています。ジンファンデルファンであったら必ず飲むべきワインと言ってもいいでしょう。



ベッドロック版は既にインポーター完売だそうです。