4月22日はアース・デイでした。日本ではまだまだ知られていない日ですが、米国ではテレビのニュースなどで取り上げるくらいでそこそこ知られている日です。

このアース・デイにカリフォルニアワイン協会がサステナビリティをテーマとしたセミナーを開催し、改めてサステナビリティについて考える機会となりました。

サステナビリティはなかなか難しいテーマです。似たようなものとして、オーガニックやビオディナミ(バイオダイナミクス)、自然派もありますが、これらとサステナビリティはどう違い、どういう意味があるのでしょう。

オーガニックや自然派は消費者に対してかなりのアピール・ポイントとなっています。「自然派ワイン」の店はありますが、サステナビリティのワインの店というのはまずありえないでしょう。マーケティング的な意味ではワイナリーにとってサステナビリティに取り組む意味というのは弱そうな感じもします。

また、オーガニックやビオディナミが、厳格な規定に則ることを必要とするのに対し、サステナビリティの方はちょっと曖昧な感じがあります。何をやっていればサスティナブルといっていいのか、何をやっていなければダメなのか、規定はありますが一言では説明しにくい感じがします。
要件

今回のセミナーでは、マーケティング的にもサスティナブルが浸透しつつあることが分かってきました。
マーケティング
米国のワイン愛飲家の71%がサスティナブルな方法で作られたワインの購入を将来検討すると回答、またミレニアル世代の9割がサスティナブルなワインにもっとお金を払ってもいいと考えているとのことです。前者の方は「将来」ということなので実際に消費者が今後どう動くかはなんともいえないところがありますが、後者からは若い世代にとってサスティナブルという言葉が、かなり重要に捉えられているということが伺えます。

実際、ワイン業界以外の企業にとっても昨今、SDGs(エスディジーズ、Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は避けては通れないものになりつつあります。SDGsは貧困や飢餓をなくすといったことも含むより広範な取り組みですが、17個の目標のうち
・目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・目標12: つくる責任つかう責任
・目標13: 気候変動に具体的な対策を
・目標15: 陸の豊かさを守ろう
といったものはワイナリーにおけるサスティナブルの取り組みと大きく関連しています。
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ワイン業界の企業にとってもサスティナブルが「頻繁に重要」となっている比率が3年間で10ポイントも上がっています。おそらくこれはSDGsの動きと無縁ではないでしょう。

サスティナブルなワイン造りは、農薬なども最低限の利用は認められている点でオーガニックやビオディナミのような厳格さはありません。だからといってサスティナブルが単なる「緩い」自然派と捉えてしまうのも一面的です。

オーガニックやビオディナミは栽培、あるいは醸造に関わる部分を規定していますが、サスティナブルはより広範な項目を扱っています。
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例えば節水や水質管理といった項目はオーガニックと無関係ではありませんが、特に規定はされていないはずです(誤解していたらすみません)。エネルギーの効率化や人的資源、近隣コミュニティ、空気の質といったこともサスティナブルでは項目に上がっています。つまり、トータルとして「より良い」生産活動を行おうというのがサスティナブルであり、むしろオーガニックやビオディナミと比べても志は高いと言えるのかもしれません。

また、サスティナブルはオーガニックと反するわけでもありません。今回のセミナーでは具体的な取り組みとして、シルバーオークとリッジが紹介されましたが、リッジの畑はほとんどがオーガニックの認証を受けています。

サスティナブルにすることでワインが美味しくなるとは言えませんが、ワインを選ぶときに「より良い活動をしている」ワイナリーを選ぶということには意味があると思います。栽培や醸造の方法論以外にも目を向けて、そう考える人が増えていくと、よりサスティナブルの活動が広がるのではないでしょうか。

私もこれからワイナリーの紹介をするときに、そのワイナリーのサスティナブルへの取り組みについても言及していきたいと思いました。

シルバーオークやリッジの取り組みについては別記事で取り上げます。

ではHappy Earth Day!(もう過ぎたけど)