かのロマネ・コンティを有するDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)はルロワ家とド・ヴィレーヌ家の共同所有となっています。そのド・ヴィレーヌ家の当主を長年勤め、今年引退したのがオベール・ド・ヴィレーヌです。この人は、かのパリスの審判で審査員の一人でもあったのですが、それは置いておいて、実は奥さんはアメリカ人で、ナパのハイド・ヴィンヤードを作ったラリー・ハイドのいとこです。

そういった縁で、ド・ヴィレーヌ家とハイド家の共同ワイナリーとして2000年に始まったのが「ハイド・ド・ヴィレーヌ(HdV)」です。

ハイド・ヴィンヤードはカリフォルニアでも最高級のシャルドネやピノ・ノワールの畑を有しています。しかも、そのピノ・ノワールは「カレラ・クローン」。DRCから持ってきたと言われているカレラのブドウからのカッティングです。好事家としては、カレラ(Calera)の代名詞でもある「カリフォルニアのロマネ・コンティ」のお株を奪う本家の「カリフォルニア版ロマネ・コンティ」を期待したわけですが、当初はピノ・ノワールは作らず、シャルドネとメルローなどのレッド・ブレンドを作っていました。

ようやく2012年に初めて作ったのが「イザベル(Ysabel)」というピノ・ノワール。実は「神の雫」(正確には「マリアージュ~神の雫最終章~」)でも取り上げられているワインです。


このピノ・ノワール、ソノマ・マウンテンにあるVan der Kamp(ファン・デル・カンプ)の畑のブドウを使っています。漫画のセリフに「ソノマ・マウンテンのハイド家」とあるのは、畑の場所がハイドだと思ってしまったのでしょうか。

ともかくHydeのブドウでなかったのはちょっと肩透かしでもありましたが、2014年にはジェームズ・サックリングが97点をつけるなど、品質は優れていました。

その後、本命とも言えるハイドのピノ・ノワール「Ygnacia」も作るようになり、結局「イザベル」は2018年で打ち切りとなってしまいました。

と、前置きが長くなりすぎましたが、イザベル打ち切りで、日本の輸入元が売りつくしに入っており、しあわせワイン倶楽部で2017年と2018年がセールになっています。輸入元希望価格の2万3650円が26%オフで1万7380円。昨今のブルゴーニュ高騰を考えたら、ド・ヴィレーヌが作るワインがこの値段というのは「安すぎる」といってもいいかもしれません。なお、ジェームズ・サックリングは2017年に96点、2018年に94点を付けています。