カリフォルニアのワイナリーの中でも「変態」という形容詞が一番似合いそうなのがカリン・セラーズ(Kalin Cellars)です。10年以上熟成したワインしか出荷しないという極めてユニークなポリシーで、しかも次に出荷されるのがどのヴィンテージのどのワインなのか、オーナーのテリー・レイトンしか知らないのです。古い順番から出るわけではなく、ヴィンテージは行ったり来たり。畑や品種も様々です。

現行ヴィンテージとして、現在出回っているのは1997年のシャルドネ「キュヴェW」と2000年のピノ・ノワール「キュヴェDD」。




シャルドネのキュヴェWは、リヴァモア・ヴァレーのウェンテ(Wente)のブドウを使ったもの。ウェンテといえば、カリフォルニアのシャルドネのふるさとのようなもの(カリフォルニアで植えられているシャルドネの6割以上はウェンテ・クローンと言われています)。ウェンテ自身が作るシャルドネも非常に美味しく、コスト・パフォーマンスが高いワインでこのブログでも何度も紹介しています。
1997年のキュヴェWは写真でもわかるように色がかなり褐色化しています。上質のシェリーのような味わいですが、酸が非常にきれいに残っているのがちゃんとシャルドネらしさになっています。個人的には「ひねた」味わいが苦手で熟成したシャルドネが美味しい(熟成することによって魅力が増している)と感じることは割と少ないのですが、これは素晴らしいです。

2000年のキュヴェDDはソノマのワイン。インポーター資料には「アレキサンダー・ヴァレーで最も古いピノ・ノワールの単一畑である粘土とシルトに石灰が混じる土壌を持つデモスティニ・ランチのブドウを使用。ロシアン・リヴァーから近いこの畑で灌漑を行わないドライファーミングによって育てられる」と書かれています。
これは「旨味」が素晴らしい。ワインの「旨味」ってこれなんだなと納得するような味わいです。そしてこれも酸がきれい。こちらも「ひねた」感じはありません。

古いワインゆえ、ボトル差もあるでしょうが、少なくとも試飲したものは、これまで試飲したカリン・セラーズのワインの中でも上位に来ると思います。熟成したワインが好きな方は飲む価値大です。

なお、リコルクされていないので、コルクはかなり脆いです。抜栓は注意してください。コルクの両側から差し込んで抜くタイプのコルク抜きを使うのがいいと思います。

しあわせワイン倶楽部です。



ウェンテの今のワインを飲むなら。