ナパツアー3日目その3ーーワインの味は西向きと東向きでどう変わる? 「涼しい」カリストガの急斜面を歩く
ランチの後はカリストガまで行き、山腹にあるジェリコ・キャニオン(Jerico Canyon)を訪問しました。
ナパに詳しい人はわかると思いますが、午前中のカーネロス(ハドソン)から昼のラザフォード(トレ・サボレス)、午後のジェリコ・キャニオンと、だんだん北上していっています。一般的にはナパでは北に行くほど暖かくなりますが、この日は最高気温12度くらいとかなり寒く、それほど気温差は大きくありませんでした。ただその中でもラザフォードはさすがに少し暖かく、日向にいればポカポカとした感じがありました。
カリストガの中でもかなり深いところにあるジェリコ・キャニオンではラザフォードよりも風の冷たさを強く感じます。このときは西から風が吹いてきていたので、「チョーク・ヒル・ギャップ」と呼ばれるソノマの太平洋側に向けての谷間から流れてくる冷たい空気が入ってきていたようです。セント・ヘレナあたりが一番気温が高く、カリストガにいくと少し気温が下がるというのは、これまで聞いていたものの、実際に体験するとそれがよく理解できます。
ジェリコ・キャニオンはカリストガの中で北東方面にある畑。マウント・セントヘレナの南側の山麓になります。元々この地域がジェリコ・キャニオンという名前で呼ばれており、その名前をワイナリー名として使っています。ここ自体がキャニオンという名の通り、峡谷のように両側に丘があります。大まかにいうと、東向きの斜面と西向きの斜面があり、それぞれにブドウが植えられています。火山性の安山岩を中心にした土壌で石がごろごろしているのも特徴です。ナパの火山性の土壌というと鉄分の多い赤い土のところが目立ちますが、安山岩は比較的黒い色の火山岩です。ここはカルデラになっていて溶岩が流れ出た後に圧力で隆起したとのこと。圧力による変成で、石の一部にクリスタルのようなきらきら光る部分があります。
http://res.cloudinary.com/http-californiawine-jp/image/upload/f_auto,q_auto/v1/ENV2023-2/DSC05245_bnfqlz.jpg?_i=AL
ケーブはこの石の丘をくり抜いて作ってあるので、相当大変だったのではないかと想像します。ケーブの奥にはその石が見られるようになっているところもありました。
ちなみにケーブの中には樽が並んでいるのですが、通常の樽のサイズのもの以外に大きな樽や小さな樽もありました。その役割を聞いたところ、大きな樽は発酵用に使っていて、小さな樽は、樽の中身が蒸発して減ったときの補充用に使っているとのことでした。
大きい樽
ワイナリーは1989年に設立。そのときに植えたカベルネ・ソーヴィニヨンが今も少し残っています。地所が350エーカーくらいある中で40エーカーほどがブドウ畑になっています。
畑に出ます。一番低いところは標高60メートルほど。高いところでは180メートルほどになります。フォグラインと呼ばれる霧のかかる高さよりは低いところになるので、霧の影響は大きくなります。暑い時期には10時くらいには霧が晴れますが、涼しくなると昼過ぎまで霧がかかることもあります。夏場だと最低気温は10度を少し超えるくらい、最高気温は40度を超えることも珍しくなく、30度という大きな日較差になります。夜にブドウが冷やされることで、ブドウの酸が保たれ、フェノール類がゆっくりと蓄積して長い熟成期間になります。
東向き斜面のところから西向き斜面を望む
まずは東向きの斜面から。こちらの方が標高は少し低くなります。斜面のせいで昼過ぎには太陽が隠れてしまいます。斜度は35度くらいと、かなり急ですが、反対側の西向き斜面では斜度65度くらいのところもあるそうです。急な斜面のため、収量は1エーカーあたり1.5トン程度とかなり少ないです。樹が若くても凝縮した果実が取れるのが特徴です。
また、斜面の上と下では4~5度くらい気温が変わるとのことです。そのため収穫も1カ月半くらい変わってきます。マイクロクライメットが様々あり、畑全体では65もの区画に分けています。
今年は例年より気温が低いこともあり、まだカベルネ・ソーヴィニヨンはほとんど芽が出ていませんでした。
ここの畑ではカバークロップは1列おきに植えています。マスタードなどを使っており、栄養の循環を主な目的にしています。
ワインは最初にケーブで説明を聞きながらソーヴィニョン・ブランを味わいました。濃厚でねっとりとしたグリセリンを感じる味わい。酸もあり、濃い系のソーヴィニョン・ブランが好きな人にはたまらない味でしょう。かなり妖艶な雰囲気もあります。
畑では東向きの斜面でEast Elevationという、この斜面のカベルネ・ソーヴィニヨンで作ったワインを、西向きの斜面ではWest Wallというその斜面のカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。どちらもヴィンテージは2018年です。
East Elevationは濃厚ですが、旨味やスパイス、酸も強く感じます。エレガント系なカベルネ・ソーヴィニヨンです。West Wallは濃厚でパワフル、ジューシー。どっしりとした重みがあります。太陽の当たり方による違いをよく感じられました。もちろんどちらがいい悪いではなく好みの問題であり、どちらも素晴らしいワインでした。
ナパに詳しい人はわかると思いますが、午前中のカーネロス(ハドソン)から昼のラザフォード(トレ・サボレス)、午後のジェリコ・キャニオンと、だんだん北上していっています。一般的にはナパでは北に行くほど暖かくなりますが、この日は最高気温12度くらいとかなり寒く、それほど気温差は大きくありませんでした。ただその中でもラザフォードはさすがに少し暖かく、日向にいればポカポカとした感じがありました。
カリストガの中でもかなり深いところにあるジェリコ・キャニオンではラザフォードよりも風の冷たさを強く感じます。このときは西から風が吹いてきていたので、「チョーク・ヒル・ギャップ」と呼ばれるソノマの太平洋側に向けての谷間から流れてくる冷たい空気が入ってきていたようです。セント・ヘレナあたりが一番気温が高く、カリストガにいくと少し気温が下がるというのは、これまで聞いていたものの、実際に体験するとそれがよく理解できます。
ジェリコ・キャニオンはカリストガの中で北東方面にある畑。マウント・セントヘレナの南側の山麓になります。元々この地域がジェリコ・キャニオンという名前で呼ばれており、その名前をワイナリー名として使っています。ここ自体がキャニオンという名の通り、峡谷のように両側に丘があります。大まかにいうと、東向きの斜面と西向きの斜面があり、それぞれにブドウが植えられています。火山性の安山岩を中心にした土壌で石がごろごろしているのも特徴です。ナパの火山性の土壌というと鉄分の多い赤い土のところが目立ちますが、安山岩は比較的黒い色の火山岩です。ここはカルデラになっていて溶岩が流れ出た後に圧力で隆起したとのこと。圧力による変成で、石の一部にクリスタルのようなきらきら光る部分があります。
http://res.cloudinary.com/http-californiawine-jp/image/upload/f_auto,q_auto/v1/ENV2023-2/DSC05245_bnfqlz.jpg?_i=AL
ケーブはこの石の丘をくり抜いて作ってあるので、相当大変だったのではないかと想像します。ケーブの奥にはその石が見られるようになっているところもありました。
ちなみにケーブの中には樽が並んでいるのですが、通常の樽のサイズのもの以外に大きな樽や小さな樽もありました。その役割を聞いたところ、大きな樽は発酵用に使っていて、小さな樽は、樽の中身が蒸発して減ったときの補充用に使っているとのことでした。
大きい樽
ワイナリーは1989年に設立。そのときに植えたカベルネ・ソーヴィニヨンが今も少し残っています。地所が350エーカーくらいある中で40エーカーほどがブドウ畑になっています。
畑に出ます。一番低いところは標高60メートルほど。高いところでは180メートルほどになります。フォグラインと呼ばれる霧のかかる高さよりは低いところになるので、霧の影響は大きくなります。暑い時期には10時くらいには霧が晴れますが、涼しくなると昼過ぎまで霧がかかることもあります。夏場だと最低気温は10度を少し超えるくらい、最高気温は40度を超えることも珍しくなく、30度という大きな日較差になります。夜にブドウが冷やされることで、ブドウの酸が保たれ、フェノール類がゆっくりと蓄積して長い熟成期間になります。
東向き斜面のところから西向き斜面を望む
まずは東向きの斜面から。こちらの方が標高は少し低くなります。斜面のせいで昼過ぎには太陽が隠れてしまいます。斜度は35度くらいと、かなり急ですが、反対側の西向き斜面では斜度65度くらいのところもあるそうです。急な斜面のため、収量は1エーカーあたり1.5トン程度とかなり少ないです。樹が若くても凝縮した果実が取れるのが特徴です。
また、斜面の上と下では4~5度くらい気温が変わるとのことです。そのため収穫も1カ月半くらい変わってきます。マイクロクライメットが様々あり、畑全体では65もの区画に分けています。
今年は例年より気温が低いこともあり、まだカベルネ・ソーヴィニヨンはほとんど芽が出ていませんでした。
ここの畑ではカバークロップは1列おきに植えています。マスタードなどを使っており、栄養の循環を主な目的にしています。
ワインは最初にケーブで説明を聞きながらソーヴィニョン・ブランを味わいました。濃厚でねっとりとしたグリセリンを感じる味わい。酸もあり、濃い系のソーヴィニョン・ブランが好きな人にはたまらない味でしょう。かなり妖艶な雰囲気もあります。
畑では東向きの斜面でEast Elevationという、この斜面のカベルネ・ソーヴィニヨンで作ったワインを、西向きの斜面ではWest Wallというその斜面のカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。どちらもヴィンテージは2018年です。
East Elevationは濃厚ですが、旨味やスパイス、酸も強く感じます。エレガント系なカベルネ・ソーヴィニヨンです。West Wallは濃厚でパワフル、ジューシー。どっしりとした重みがあります。太陽の当たり方による違いをよく感じられました。もちろんどちらがいい悪いではなく好みの問題であり、どちらも素晴らしいワインでした。