ナパのラザフォードにあるワイナリー「Peju Provence(ペジュー・プロヴァンス)」の創設者であるトニー・ペジューが亡くなりました。85歳でした。

トニー・ペジューは1937年フランスの生まれ。1950年代に米国に移住しました。南カリフォルニアで花屋と苗木屋を営んでいましたが、ワイナリーを作りたいという気持ちを強く持ち、Calvin Straubという人のデザインによるブランドのロゴを携え1981年にナパに来ました。
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1980年当時、カリフォルニアではブドウの生産者がワインを作って売ることが許されていましたが、ナパでは郡の法律によってそれが自由にできませんでした。トニーは裁判所に訴えそれに勝利したことで、ブドウの生産者がワイナリーになるという現在への道筋を開きました。

このほか、現在のDtC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の先駆けとして、ワインの大部分をワイナリーのお客さんなど消費者に直接販売するモデルを築きました。

ワインメーカーとしては正式な教育を受けたことはありませんが近所のワインメーカーとの協力などによって美しいカベルネ・ソーヴィニヨンを作り、1988年にはワイン・スペクテーターでトップ15のカベルネ・ソーヴィニヨンに選ばれるほどになりました。

また、1987年には白ワインと赤ワインをブレンドしたユニークなロゼワイン「プロヴァンス」を作りました。当時、シャルドネを中心とする白ワインの人気が高く、赤ワインは苦手という人が多く、そういった人に赤ワインへの「橋渡し」になることを狙ったワインでした。冷やして飲むスタイルのロゼワインで非常に人気を博し、現在に至ります。

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2003年には当初から描いていたタワーが実際に完成し、夢がかないました。

Pejuは妻のハータ(Herta)が引き継いでいます。

安らかにお眠りください。