カリフォルニア州がCDFA(カリフォルニア州食品農業局)長官への勧告という形で、再生可能農業(Regenerative Agricuture)を定義しました(CDFA - Defining Regenerative Agriculture for State Policies and Programs)。

達成すべき具体的な目標としては以下の8点が挙げられています。
1. 土壌の健康、生物多様性、土壌有機物の向上
 「健康な土壌プログラム
2. 土壌の健康、炭素隔離、温室効果ガス削減のための保全的農業の拡大
 「米国農務省自然資源保全局(USDA NRCS)の保全実践基準」 に基づく施策
3. 持続可能な害虫管理(IPM)の推進
 「カリフォルニア州の持続可能な害虫管理加速化ロードマップ
 「カリフォルニア大学統合害虫管理プログラム(UC IPM)
 「USDA NRCSの害虫管理保全システム」
4. 農業における動物の福祉とケアの確保
 「動物ケアプログラム(Animal Care Program)
5. 健康的な地域社会の構築
 「農業ビジョン(Ag Vision)」
6. 文化的・精神的伝統の保護と先住民主導の土地管理の支援
7. 他の目標への悪影響の最小化
8. 農家や牧場経営者の経済的持続可能性の確保

また、地域特性や文化に応じて以下の3点を考慮して適用していきます。
・利用可能な最善の科学と実践に基づくこと
・有機農業および伝統的な生態学的知識(TEK: Traditional Ecological Knowledge)を尊重すること
・持続可能な農業システムのための適切な選択肢を確保すること
この定義は、再生可能農業の認証などに即座につながるものではありません。今後の議論の礎になるようなものだと考えるのがよさそうです。

ただ、有機農業について、必須の条件としなかったことには残念だという声もすでに上がってきています。一方で、現在カリフォルニアの有機農業の比率が4%程度であり、それを必須にすると、ほとんどの生産者を置いてきぼりにしてしまって実効力がなくなるので仕方がないという考えもあるようです。

ROC(Regenerative Organic Certified)との関係がどうなっていくのかも定かではありません。

いろいろ議論があるところではありますが、まずは再生可能農業という言葉をより一般に通じるようにする道筋の一つとしては大きな意味があるのではないかと、個人的には感じています。