ナパのスプリング・マウンテンにある名門ワイナリー「Newton Vineyard(ニュートン・ヴィンヤード)」がクローズすることが判明しました。ワイナリーのメーリングリスト・メンバーへのメールで明らかになりました。

ニュートンは2020年のグラス・ファイアーで大きな被害を受けました。ワイナリーや庭などが焼失したほか、74エーカーの畑も5エーカーを残して焼けてしまいました。下の写真は火事の前と後のものです。その後カリストガにテイスティングルームをオープンして、再起を狙っていましたが、親会社のLVMHがクローズを決めました。
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Newton

ニュートンの創設者であるピーター・ニュートンは1960年代から70年代の近代ナパ勃興期に活躍した人。1964年にカリストガにスターリング・ヴィンヤーズをオープンし、リック・フォーマンをワインメーカーに据えて高品質なワインを造りました。1977年にリックと共にニュートン・ヴィンヤードを創設。リックの退任後はジョン・コングスガードをワインメーカーとして採用し、当時は非常に珍しかったノンフィルターのシャルドネなどを作って有名ワイナリーになりました。今はコングスガードで、カリフォルニアトップクラスのシャルドネを造るジョン・コングスガードですが、そのワイン造りの原点はニュートンにあります。

ジョン・コングスガードの後はピーターの妻のスー・フアがワインメーカーになりました。かつてはシャネルのモデルであり、臨床・産業心理学の学位、さらには医学博士でもあり、母国である中国語のほか、育った英語、さらにフランス語もできます。Newtonのワイナリや庭園のデザインも手がけたという才人。

2001年にワイナリーをLVMHに売却。その後はオーガニック栽培への転換などを進めました。映画「サイドウェイ」の日本版でも重要な役割を果たしました。

高品質な「山カベ」の代表的な生産者でもあり、「ノンフィルター」で時代を築いたニュートンが失われてしまうのは残念なことです。