しあわせワイン俱楽部で毎月29日に「肉の日」限定ワインセールをしています。通常は2月は29日がありませんが、今年はうるう年なので2月29日がセール日です。
肉の日限定ワインセール
通常価格から10~30%割引になっています。
いくつか具体的に紹介しましょう。
大人気の689セラーズ。ラベルに689をあしらったものが有名ですが、ほかにもいろいろ作っており、どれもコスパは非常に高いです。ラムゼイは中でも購入しやすい価格帯のもの。
689よりちょっと上のラインだとキラードロップもお薦めです。
濃い系ジンファンデルのTNTは1200円台とこれもコスパ抜群。
シラーは好き嫌い分かれがちな品種ですが、このシラー美味しいのでだまされたと思って飲んでみてください。
ちょっと高嶺の花のメルヴィルですがセールで6000円台前半はチャンスです。サンタ・リタ・ヒルズのベンチマーク的存在。
これも「オレンジワインはちょっと…」という人にこそ飲んでほしいオレンジワイン。きれいでうまみたっぷりです。
肉の日限定ワインセール
通常価格から10~30%割引になっています。
いくつか具体的に紹介しましょう。
大人気の689セラーズ。ラベルに689をあしらったものが有名ですが、ほかにもいろいろ作っており、どれもコスパは非常に高いです。ラムゼイは中でも購入しやすい価格帯のもの。
689よりちょっと上のラインだとキラードロップもお薦めです。
濃い系ジンファンデルのTNTは1200円台とこれもコスパ抜群。
シラーは好き嫌い分かれがちな品種ですが、このシラー美味しいのでだまされたと思って飲んでみてください。
ちょっと高嶺の花のメルヴィルですがセールで6000円台前半はチャンスです。サンタ・リタ・ヒルズのベンチマーク的存在。
これも「オレンジワインはちょっと…」という人にこそ飲んでほしいオレンジワイン。きれいでうまみたっぷりです。
カリフォルニアワイン協会が主催するカリフォルニアワインの「Aliveテイスティング」とセミナーに参加してきました。丸1日、カリフォルニアワインに漬かり切りになる、カリフォルニアワインマニアにとっては夢のような一日です。
毎年、「テーマ産地」が設けられるこの試飲会とセミナーですが、おととしの「ローダイ」、昨年の「ウェスト・ソノマ・コースト」に続いて、今年は「パソ・ロブレス」です。この記事ではパソ・ロブレスのセミナーを中心にまとめます。
そもそもパソ・ロブレスがどこにあるかはカリフォルニアワインファンでもあまり知らないかもしれません。
上の写真の左下にカリフォルニアの全体図とパソ・ロブレスのおおまかな位置が書かれています。サンフランシスコとロスアンゼルスのほぼ中間地点で、正直どちらから行っても結構遠いところです。カリフォルニアの図が描かれているところの周りは濃紺になっていますが、実際このあたりが太平洋になります。沿岸の産地ではなく、山脈一つ越えた内陸の産地です。そのため、基本的にはかなり温暖な地域で、場所によっては夏場は40℃以上が当たり前というところもあります。ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く作られていますが、ジンファンデルも多いですし、シラーなどローヌ系品種も有名です。白ワインのイメージはあまりない
なんだか何もなさそうに思える地域ですが、TripAdvisorでは米国の訪れるべき観光地の6位にランキングされています。ワイナリーも400を超えており、アウトドアのアクティビティなどでも人気があります。
今回のセミナー、「パソ・ロブレス、思ったよりクールかも!」というタイトルが付いています。どうクールなのでしょうか。
パソ・ロブレス・ワイン・カントリー・アライアンス(PRWCA)コミュニケーション・ディレクターのクリストファー・タラント氏
パソ・ロブレスがAVAとして認定されたのは1983年。カリフォルニアのAVAの中でも初期に策定された一つです。そこからさらに11のサブAVAを2007年に申請、2014年にようやく認められ、今年で10年になります。ナパやソノマのサブAVAと比べると、浸透しているとまでは言えないですが、「アデレーダ・ディストリクト」など一部のAVAはだいぶ認知が進んできたようにも感じています(余談ですが、今「アデ」まで入力したら残りをIMEが補完してくれたので、自分的にはだいぶなじんだ言葉になっているようです)。
前述のように気候は基本的にかなり温暖ですが、山脈の切れ目から海からの冷たい風が入ってくるため、夏場でも夜は15℃くらいまで気温が下がります。その結果、昼と夜との気温差(日較差)が非常に大きいというのも特徴です。なるほど、確かに「思ったよりクールかも」しれません。
AVAの西側は山脈にかかっており山が多く、中央部は比較的平坦で東はまた山脈があり東に行くほど標高が高くなります。
植えられているブドウ品種も前述のようにカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く約半分ですが、品種の数は65以上あり、いわゆる国際品種以外のものもかなりあります。このあたりも意外に「クール」ですね。
セミナーでは5つのワイナリーの代表者が話をし、ワインを試飲しました。写真の左から右の順になります。
最初はマハ(MAHA)。小さな家族経営のワイナリーでシラーやグルナッシュ、ムールヴェードルといったローヌ系品種を中心に作っています。2003年にパソに移住し、畑は有機栽培とバイオダイナミックを実践。どちらも2015年に認証を受けています。ワイン造りもコンクリートの発酵槽で天然酵母を使って行い、ハンガリー製の大樽で熟成するというナチュラルな方法。大樽を使うのは「エネルギーとテンションを与えてくれる」からだといいます。
場所はアデレーダ・ディストリクト。太平洋からの冷たい風を受ける比較的涼しい地域です。石灰は保水の役目と酸を維持するのに役立つそうです。
試飲のワインはクレレット・ブランシェという品種の白ワイン「MAHA Before Anyone Else 2021」。クレレット・ブランシェという品種名はあまり聞いたことがないですが、フランスの地中海沿岸地域ではメジャーな品種の一つです。穏やかな酸味、青りんごや花梨の風味、濡れた石や石灰。マルサンヌやルーサンヌに近い印象を受けました。
2本目は「Giornata Sangiovese 2021」。
ジョルナータはイタリア系品種を手掛けているワイナリー。Elpomar DistrictというAVAにあります。急斜面の多い急流地帯で、アデレーダ・ディストリクトよりはやや温暖ですが、比較的冷涼なところになります。畑は有機栽培の認証を受けています。
イタリア品種を手掛けるのは一家がイタリアにルーツがあるからですが、そのまま品種を持ってくるだけではうまくいかず、尊敬の念をもって育てることが必要とのことでした。
サンジョヴェーゼは9月に収穫して45日発酵にかけます。果皮に長く漬け込むことで風味を抽出しています。「すごく涼しい夜と温かな昼を表すハグをして楽しむようなワイン」だとのこと。
赤系の果実の風味にブラックベリー、スパイス。果実味はそれほど前面に出てこず、酸のきれいさが目立ちます。冷涼感を感じるサンジョヴェーゼです。
3つめのワイナリーはPeachy Canyon(ピーチー・キャニオン)。先日「アイコニックワインの試飲会で美味しかったワイン(2024年2月)」の記事でもここのインクレディブル・レッドを紹介しています。このインクレディブル・レッド、2000円台で入手できるジンファンデル系ブレンドの中では間違いなくトップクラスのクオリティで、個人的にもなじみ深いワイナリーですが、ワイナリーの人の話を聞くのは初めてです。
ここはピケット家による家族経営のワイナリーで、1982年にパソ・ロブレスに移住しました。ワイナリーを始めたのは1988年で、ワイナリー名は「Peachy Canyon Road」という道の名前から来ています。12種類のワインを作っていますが、メインはジンファンデルで「すばらしいジンファンデルの代名詞」と言っています。
ブドウは自社畑からの調達で無灌漑で栽培しています。
試飲のワインは「Nancy's View Zinfandel 2020」。Nancyは今回来日したジェイク・ピケットの母親の名前です。
畑の写真にあるように土壌は石灰石による白い部分と、そうでないグレーの部分があるのが特徴だといいます。雨の決して多くないパソ・ロブレスで無灌漑栽培をするのはかなりチャレンジングで、ブドウの樹は12フィート(約3.6m)という広い間隔で植え、春には雑草を生やさないようにしたり、ブドウの収量を制限するなど、少しでもブドウに多くの水が行くようにしています。それでもブドウのストレスは多く、収穫は8月末から9月初頭と地域の中でもかなり早い方だといいます。
ジンファンデル以外にはフィールドブレンドでプティ・シラーが2%入っています。醸造では全房発酵を一部使っています。ストラクチャーやエレガントさを出すためです。発酵にはコンクリートタンクとニュートラルな樽を使い、熟成は35%新樽を使って8カ月行います。
赤い果実とスパイス、焼いたパイナップルの風味。ジューシーな果実味に穏やかな酸味でミディアム・ボディのジンファンデル。おそらく多くの人がイメージするジンファンデルよりも相当エレガントです。インクレディブル・レッドと比べてもかなりエレガント。今回一番驚いたワインです。
4番目はJ. Lohr(ジェイ・ロアー)。ここもパソ・ロブレスでは古くから知られたワイナリーで、特にカベルネ・ソーヴィニョンに定評があります。シリコンバレーのサンノゼにもテイスティング・ルームがあり、そちらには訪問したことがあります。ロアー家の家族経営ワイナリーで、今回はCEOのスティーブ・ロアーが来日しました。
J.ロアーの創設は1972年と、今回のワイナリーの中では一番古いのですが、実は最初はモントレーにありました。モントレーはシャルドネやピノ・ノワール、リースリングには向いていましたが、カベルネ・ソーヴィニョンには冷涼すぎた亜ため、今度はナパに移住。その後、パソ・ロブレスのフレッシュでソフトなタンニンや果実味の高さに魅せられてさらに移住。1200ヘクタールの畑を植えて現在に至ります。ワインはボルドー系とローヌ系来る品種が中心。代表作のSeven Oaks カベルネ・ソーヴィニョンは15ドル以上のカベルネ・ソーヴィニョンで売り上げ2位を誇ります。
試飲のワインは「Hilltop Cabernet Sauvignon 2021」。リザーブの位置づけのワインです。
畑はエル・ポマール・ディストリクトにあります。やや冷涼でなだらかな丘が広がり水はけがいいところ。
パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニョンというと芳醇で柔らかなイメージがありますが、今回のヒルトップは結構固さとストラクチャーのあるワインでした。酸も高くハーブの風味、パワフルでタニック。時間はかかりそうですがいいカベルネ・ソーヴィニョンです。
最後はL'Aventure(ラヴェンチュール)。ステファン・アセオはボルドーで生まれ、ボルドーでワイナリーを作り、成功しましたが、シラーを作りたいと願うようになりました。とはいえボルドーではAOCの規定からシラーを作るのは難しく、ワイナリーを売却して米国に移ることになりました。パソ・ロブレスのウィロー・クリークに理想の土地を見つけ畑を作りました。2008年からはすべて自社畑でワインを作っています。
地所内に4つの丘があり、土壌や標高などさまざまなところがあります。さまざまなローヌ系品種をそこに植えています。特に石灰岩からの影響が大きいといいます。
試飲のワインは「Estate Cuvee 2017」。ここのフラッグシップのワインで、シラーとカベルネ・ソーヴィニョン、プティヴェルドをブレンドしています。この組み合わせのブレンドを「パソ・ロブレス・ブレンド」と呼ぶそうです。
リッチでタニック、パワフルなワイン。白コショウなどのスパイスの風味、カシスにオレンジの風味も感じます。むちゃくちゃ美味しいです。
後で調べたらパーカー96点、ジェブ・ダナックは98点という高得点を付けています。こりゃうまいわけです。
今回の5つのワイン。もちろん選りすぐりのワインを持ってきたというのもあると思いますが、芳醇で濃厚だけどややスマートさに欠けるような気がしていたパソ・ロブレスへの偏見を完全に打ち消してくれました。
毎年、「テーマ産地」が設けられるこの試飲会とセミナーですが、おととしの「ローダイ」、昨年の「ウェスト・ソノマ・コースト」に続いて、今年は「パソ・ロブレス」です。この記事ではパソ・ロブレスのセミナーを中心にまとめます。
そもそもパソ・ロブレスがどこにあるかはカリフォルニアワインファンでもあまり知らないかもしれません。
上の写真の左下にカリフォルニアの全体図とパソ・ロブレスのおおまかな位置が書かれています。サンフランシスコとロスアンゼルスのほぼ中間地点で、正直どちらから行っても結構遠いところです。カリフォルニアの図が描かれているところの周りは濃紺になっていますが、実際このあたりが太平洋になります。沿岸の産地ではなく、山脈一つ越えた内陸の産地です。そのため、基本的にはかなり温暖な地域で、場所によっては夏場は40℃以上が当たり前というところもあります。ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く作られていますが、ジンファンデルも多いですし、シラーなどローヌ系品種も有名です。白ワインのイメージはあまりない
なんだか何もなさそうに思える地域ですが、TripAdvisorでは米国の訪れるべき観光地の6位にランキングされています。ワイナリーも400を超えており、アウトドアのアクティビティなどでも人気があります。
今回のセミナー、「パソ・ロブレス、思ったよりクールかも!」というタイトルが付いています。どうクールなのでしょうか。
パソ・ロブレス・ワイン・カントリー・アライアンス(PRWCA)コミュニケーション・ディレクターのクリストファー・タラント氏
パソ・ロブレスがAVAとして認定されたのは1983年。カリフォルニアのAVAの中でも初期に策定された一つです。そこからさらに11のサブAVAを2007年に申請、2014年にようやく認められ、今年で10年になります。ナパやソノマのサブAVAと比べると、浸透しているとまでは言えないですが、「アデレーダ・ディストリクト」など一部のAVAはだいぶ認知が進んできたようにも感じています(余談ですが、今「アデ」まで入力したら残りをIMEが補完してくれたので、自分的にはだいぶなじんだ言葉になっているようです)。
前述のように気候は基本的にかなり温暖ですが、山脈の切れ目から海からの冷たい風が入ってくるため、夏場でも夜は15℃くらいまで気温が下がります。その結果、昼と夜との気温差(日較差)が非常に大きいというのも特徴です。なるほど、確かに「思ったよりクールかも」しれません。
AVAの西側は山脈にかかっており山が多く、中央部は比較的平坦で東はまた山脈があり東に行くほど標高が高くなります。
植えられているブドウ品種も前述のようにカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く約半分ですが、品種の数は65以上あり、いわゆる国際品種以外のものもかなりあります。このあたりも意外に「クール」ですね。
セミナーでは5つのワイナリーの代表者が話をし、ワインを試飲しました。写真の左から右の順になります。
最初はマハ(MAHA)。小さな家族経営のワイナリーでシラーやグルナッシュ、ムールヴェードルといったローヌ系品種を中心に作っています。2003年にパソに移住し、畑は有機栽培とバイオダイナミックを実践。どちらも2015年に認証を受けています。ワイン造りもコンクリートの発酵槽で天然酵母を使って行い、ハンガリー製の大樽で熟成するというナチュラルな方法。大樽を使うのは「エネルギーとテンションを与えてくれる」からだといいます。
場所はアデレーダ・ディストリクト。太平洋からの冷たい風を受ける比較的涼しい地域です。石灰は保水の役目と酸を維持するのに役立つそうです。
試飲のワインはクレレット・ブランシェという品種の白ワイン「MAHA Before Anyone Else 2021」。クレレット・ブランシェという品種名はあまり聞いたことがないですが、フランスの地中海沿岸地域ではメジャーな品種の一つです。穏やかな酸味、青りんごや花梨の風味、濡れた石や石灰。マルサンヌやルーサンヌに近い印象を受けました。
2本目は「Giornata Sangiovese 2021」。
ジョルナータはイタリア系品種を手掛けているワイナリー。Elpomar DistrictというAVAにあります。急斜面の多い急流地帯で、アデレーダ・ディストリクトよりはやや温暖ですが、比較的冷涼なところになります。畑は有機栽培の認証を受けています。
イタリア品種を手掛けるのは一家がイタリアにルーツがあるからですが、そのまま品種を持ってくるだけではうまくいかず、尊敬の念をもって育てることが必要とのことでした。
サンジョヴェーゼは9月に収穫して45日発酵にかけます。果皮に長く漬け込むことで風味を抽出しています。「すごく涼しい夜と温かな昼を表すハグをして楽しむようなワイン」だとのこと。
赤系の果実の風味にブラックベリー、スパイス。果実味はそれほど前面に出てこず、酸のきれいさが目立ちます。冷涼感を感じるサンジョヴェーゼです。
3つめのワイナリーはPeachy Canyon(ピーチー・キャニオン)。先日「アイコニックワインの試飲会で美味しかったワイン(2024年2月)」の記事でもここのインクレディブル・レッドを紹介しています。このインクレディブル・レッド、2000円台で入手できるジンファンデル系ブレンドの中では間違いなくトップクラスのクオリティで、個人的にもなじみ深いワイナリーですが、ワイナリーの人の話を聞くのは初めてです。
ここはピケット家による家族経営のワイナリーで、1982年にパソ・ロブレスに移住しました。ワイナリーを始めたのは1988年で、ワイナリー名は「Peachy Canyon Road」という道の名前から来ています。12種類のワインを作っていますが、メインはジンファンデルで「すばらしいジンファンデルの代名詞」と言っています。
ブドウは自社畑からの調達で無灌漑で栽培しています。
試飲のワインは「Nancy's View Zinfandel 2020」。Nancyは今回来日したジェイク・ピケットの母親の名前です。
畑の写真にあるように土壌は石灰石による白い部分と、そうでないグレーの部分があるのが特徴だといいます。雨の決して多くないパソ・ロブレスで無灌漑栽培をするのはかなりチャレンジングで、ブドウの樹は12フィート(約3.6m)という広い間隔で植え、春には雑草を生やさないようにしたり、ブドウの収量を制限するなど、少しでもブドウに多くの水が行くようにしています。それでもブドウのストレスは多く、収穫は8月末から9月初頭と地域の中でもかなり早い方だといいます。
ジンファンデル以外にはフィールドブレンドでプティ・シラーが2%入っています。醸造では全房発酵を一部使っています。ストラクチャーやエレガントさを出すためです。発酵にはコンクリートタンクとニュートラルな樽を使い、熟成は35%新樽を使って8カ月行います。
赤い果実とスパイス、焼いたパイナップルの風味。ジューシーな果実味に穏やかな酸味でミディアム・ボディのジンファンデル。おそらく多くの人がイメージするジンファンデルよりも相当エレガントです。インクレディブル・レッドと比べてもかなりエレガント。今回一番驚いたワインです。
4番目はJ. Lohr(ジェイ・ロアー)。ここもパソ・ロブレスでは古くから知られたワイナリーで、特にカベルネ・ソーヴィニョンに定評があります。シリコンバレーのサンノゼにもテイスティング・ルームがあり、そちらには訪問したことがあります。ロアー家の家族経営ワイナリーで、今回はCEOのスティーブ・ロアーが来日しました。
J.ロアーの創設は1972年と、今回のワイナリーの中では一番古いのですが、実は最初はモントレーにありました。モントレーはシャルドネやピノ・ノワール、リースリングには向いていましたが、カベルネ・ソーヴィニョンには冷涼すぎた亜ため、今度はナパに移住。その後、パソ・ロブレスのフレッシュでソフトなタンニンや果実味の高さに魅せられてさらに移住。1200ヘクタールの畑を植えて現在に至ります。ワインはボルドー系とローヌ系来る品種が中心。代表作のSeven Oaks カベルネ・ソーヴィニョンは15ドル以上のカベルネ・ソーヴィニョンで売り上げ2位を誇ります。
試飲のワインは「Hilltop Cabernet Sauvignon 2021」。リザーブの位置づけのワインです。
畑はエル・ポマール・ディストリクトにあります。やや冷涼でなだらかな丘が広がり水はけがいいところ。
パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニョンというと芳醇で柔らかなイメージがありますが、今回のヒルトップは結構固さとストラクチャーのあるワインでした。酸も高くハーブの風味、パワフルでタニック。時間はかかりそうですがいいカベルネ・ソーヴィニョンです。
最後はL'Aventure(ラヴェンチュール)。ステファン・アセオはボルドーで生まれ、ボルドーでワイナリーを作り、成功しましたが、シラーを作りたいと願うようになりました。とはいえボルドーではAOCの規定からシラーを作るのは難しく、ワイナリーを売却して米国に移ることになりました。パソ・ロブレスのウィロー・クリークに理想の土地を見つけ畑を作りました。2008年からはすべて自社畑でワインを作っています。
地所内に4つの丘があり、土壌や標高などさまざまなところがあります。さまざまなローヌ系品種をそこに植えています。特に石灰岩からの影響が大きいといいます。
試飲のワインは「Estate Cuvee 2017」。ここのフラッグシップのワインで、シラーとカベルネ・ソーヴィニョン、プティヴェルドをブレンドしています。この組み合わせのブレンドを「パソ・ロブレス・ブレンド」と呼ぶそうです。
リッチでタニック、パワフルなワイン。白コショウなどのスパイスの風味、カシスにオレンジの風味も感じます。むちゃくちゃ美味しいです。
後で調べたらパーカー96点、ジェブ・ダナックは98点という高得点を付けています。こりゃうまいわけです。
今回の5つのワイン。もちろん選りすぐりのワインを持ってきたというのもあると思いますが、芳醇で濃厚だけどややスマートさに欠けるような気がしていたパソ・ロブレスへの偏見を完全に打ち消してくれました。
第28回目となるプルミエ・ナパヴァレー・オークションがナパのセント・ヘレナにあるキュリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)とオンラインで開催されました。今年の落札総額は300万ドル。2023年の340万どるを下回ったものの、2022年の270万ドルは超えました。
ワイン・サーチャーのW・ブレイク・グレイ氏の独自分析によるとボトル価格の平均は195ドル。過去10年215ドルを下回ったことはありませんでした。グレイ氏はそれよりかなりさかのぼってもこれ以上低かったことはほとんどなかったのではないかと述べています。ちなみに昨年は286ドルで、2015年と並んで過去最高レベルでした。
プルミエ・ナパヴァレー・オークションは業界向けのオークション。ワイナリーはこのオークションのために作った特別なワイン(1ロット最大60本)を提供します。収益はナパヴァレーをプロモート、保護、向上させるプログラムに直接寄付されます。
1本あたりの落札額上位10ロット
Fairest Creature Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $1167
Alpha Omega Angels Vista Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $800
The Mascot Napa Valley Cabernet Sauvignon NV (three-vintage blend) $800
Shafer Vineyards Sunspot Vineyard Stags Leap District Cabernet Sauvignon 2022 $667
Chappellet Vineyard Upper Terraces Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $633
Fait-Main, Tierra Roja Vineyards Oakville Cabernet Sauvignon 2022 $633
Chateau Montelena Apollo Calistoga Cabernet Sauvignon 2022 $583
Spottswoode Estate, Ovid Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $500
3/Thirds Napa Valley Cabernet Sauvignon 2023 $500
Darioush Sage Vineyard Mount Veeder Red Table Wine 2022 $467
Fairchild Napa Valley Let the Show Begin Oakville Cabernet Sauvignon 2021 $467
Schramsberg Napa Valley Sparkling Wine Reserve Late Disgorged 1998 $467
近年、ワイン余りは世界的な問題になっており、カリフォルニアも無縁ではありません。いわゆるファイン・ワインの世界はワイン全体の需要とは動きが異なるので、全体のワインが余っているからといってハイエンドのワインが売れなくなるわけではありませんが、インフレの進行で、米国では消費者の購買力全般が落ちているようです。そういった動きが今回の落札額に影響をしているのかもしれません。
ワイン・サーチャーのW・ブレイク・グレイ氏の独自分析によるとボトル価格の平均は195ドル。過去10年215ドルを下回ったことはありませんでした。グレイ氏はそれよりかなりさかのぼってもこれ以上低かったことはほとんどなかったのではないかと述べています。ちなみに昨年は286ドルで、2015年と並んで過去最高レベルでした。
プルミエ・ナパヴァレー・オークションは業界向けのオークション。ワイナリーはこのオークションのために作った特別なワイン(1ロット最大60本)を提供します。収益はナパヴァレーをプロモート、保護、向上させるプログラムに直接寄付されます。
1本あたりの落札額上位10ロット
Fairest Creature Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $1167
Alpha Omega Angels Vista Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $800
The Mascot Napa Valley Cabernet Sauvignon NV (three-vintage blend) $800
Shafer Vineyards Sunspot Vineyard Stags Leap District Cabernet Sauvignon 2022 $667
Chappellet Vineyard Upper Terraces Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $633
Fait-Main, Tierra Roja Vineyards Oakville Cabernet Sauvignon 2022 $633
Chateau Montelena Apollo Calistoga Cabernet Sauvignon 2022 $583
Spottswoode Estate, Ovid Napa Valley Cabernet Sauvignon 2022 $500
3/Thirds Napa Valley Cabernet Sauvignon 2023 $500
Darioush Sage Vineyard Mount Veeder Red Table Wine 2022 $467
Fairchild Napa Valley Let the Show Begin Oakville Cabernet Sauvignon 2021 $467
Schramsberg Napa Valley Sparkling Wine Reserve Late Disgorged 1998 $467
近年、ワイン余りは世界的な問題になっており、カリフォルニアも無縁ではありません。いわゆるファイン・ワインの世界はワイン全体の需要とは動きが異なるので、全体のワインが余っているからといってハイエンドのワインが売れなくなるわけではありませんが、インフレの進行で、米国では消費者の購買力全般が落ちているようです。そういった動きが今回の落札額に影響をしているのかもしれません。
オレゴンワインのインポーター「ブルーブティックワイン」のワインを飲む会に参加してきました。ワインとは関係のない共通の友人がおり、その仲間のワイン会という形で気の置けないスタイルのワイン会でした。
ワインのラインアップは以下の通り
2017 Morgen Long Loubejac Vineyard Chardonnay
2015 Mad Violets Eola-Amity Hills Chardonnay
2017 Big Table Farm Willamette Valley Pinot Noir
2015 Andante Willamette Valley Pinot Noir
2012 Trout Lily Ranch Adams Vineyard Pinot Noir
2016 Hundred Suns Shea Vineyard Pinot Noir
1本目のモーゲン・ロングはシャルドネに特化したワイナリー。ジ・アイリーやセヴン・スプリングスなど素晴らしい畑と契約してブドウを調達しています。ルベジャックの畑はウィラメット・ヴァレーで無灌漑・サスティナブルで作られているところ。ライムやネクタリン、はつらつとした酸を感じます。ミネラル感があり黄色い花の香り。のっけから素晴らしいワインです。
2本目のマッド・ヴァイオレッツは
3本目からピノ・ノワールに入ります。
ビッグ・テーブル・ファームはラベルが印象的なワイナリー。マーケティング・マネージャーのクレアが画家でもあることから農場の動物や農機具などをモチーフに、品種やヴィンテージごとに違うラベルをデザインしているとのことで、コレクターも多いとのこと。ワインはきれいな赤果実と紅茶の風味があり、私の中でのオレゴン・ピノらしいワインでした。
4本目はアンダンテのピノ・ノワール ウィラメット・ヴァレー2015。畑はウィラメット・ヴァレーの中のVan Duzer Corridor AVA内にあり、栽培や醸造にマッド・ヴァイオレッツの人が監修などで加わっているそうです。やや濃いめの味わいでチェリーやスパイスの風味。自然派的な味わいもあります。
5本目はトラウト・リリー・ランチのアダムズ・ヴィンヤード2012。1976年に植樹したというオレゴンでは歴史ある畑ですが、オーナー夫妻は一度はワイナリーを売却、2008年からトラウト・リリーの名前で再開しました。醸造はマッド・ヴァイオレッツに委託しています。
これは劇旨なワイン。個人的にはこの日のトップでした。赤果実にちょっとブルーベリー的な風味があり、酸とのバランスが素晴らしい。12年たっていますが、まだまだ若々しいワイン。オクシデンタルにも似ているように思いました。
最後はハンドレッド・サンズのシェイ・ヴィンヤード2016。シェイの畑はオレゴンで引く手あまたの銘醸畑。このワイナリーのワインメーカーであるグラント・クルターはボー・フレールでワインメーカーを務めていた人です。2016年はセカンド・ヴィンテージですが、そこでこの畑を使えるというのが彼の実力を表しているのでしょう。果実味豊かでジューシーな味わい。これも素晴らしいワイン。
今回のワイン、どれも非常に高いレベルでした(自分のコメントではそれがあまり伝わらなさそうなことに反省しています)。ブルーブティックさんは、昨今の円安と、米国のインフレで、今後の輸入は未定とのことですが、続いてほしいものです。なかなかオレゴンのワインまではカバーできていないのが現状ですが、もっと勉強しないといけないですね。
ワインのラインアップは以下の通り
2017 Morgen Long Loubejac Vineyard Chardonnay
2015 Mad Violets Eola-Amity Hills Chardonnay
2017 Big Table Farm Willamette Valley Pinot Noir
2015 Andante Willamette Valley Pinot Noir
2012 Trout Lily Ranch Adams Vineyard Pinot Noir
2016 Hundred Suns Shea Vineyard Pinot Noir
1本目のモーゲン・ロングはシャルドネに特化したワイナリー。ジ・アイリーやセヴン・スプリングスなど素晴らしい畑と契約してブドウを調達しています。ルベジャックの畑はウィラメット・ヴァレーで無灌漑・サスティナブルで作られているところ。ライムやネクタリン、はつらつとした酸を感じます。ミネラル感があり黄色い花の香り。のっけから素晴らしいワインです。
2本目のマッド・ヴァイオレッツは
共に有名ワイナリーで豊富な経験を積んできた醸造家ケリーと栽培専門家ステューリンのゴールデンコンビ。「マッドバイオレット」という名前は彼らの二人の娘、マデレーンとバイオレット、そして彼らのヴィンヤード(葡萄園)バトンフィールドに隣接した森に咲く短命な野花マッドバイオレットに因んで付けられました。2015年のワインで、今が熟成のピークではないかと思われます。酸はモーゲン・ロングよりもやや低いですが、白桃のトロっとした味わいに、熟成によるはちみつ感が加わり、激うまです。
3本目からピノ・ノワールに入ります。
ビッグ・テーブル・ファームはラベルが印象的なワイナリー。マーケティング・マネージャーのクレアが画家でもあることから農場の動物や農機具などをモチーフに、品種やヴィンテージごとに違うラベルをデザインしているとのことで、コレクターも多いとのこと。ワインはきれいな赤果実と紅茶の風味があり、私の中でのオレゴン・ピノらしいワインでした。
4本目はアンダンテのピノ・ノワール ウィラメット・ヴァレー2015。畑はウィラメット・ヴァレーの中のVan Duzer Corridor AVA内にあり、栽培や醸造にマッド・ヴァイオレッツの人が監修などで加わっているそうです。やや濃いめの味わいでチェリーやスパイスの風味。自然派的な味わいもあります。
5本目はトラウト・リリー・ランチのアダムズ・ヴィンヤード2012。1976年に植樹したというオレゴンでは歴史ある畑ですが、オーナー夫妻は一度はワイナリーを売却、2008年からトラウト・リリーの名前で再開しました。醸造はマッド・ヴァイオレッツに委託しています。
これは劇旨なワイン。個人的にはこの日のトップでした。赤果実にちょっとブルーベリー的な風味があり、酸とのバランスが素晴らしい。12年たっていますが、まだまだ若々しいワイン。オクシデンタルにも似ているように思いました。
最後はハンドレッド・サンズのシェイ・ヴィンヤード2016。シェイの畑はオレゴンで引く手あまたの銘醸畑。このワイナリーのワインメーカーであるグラント・クルターはボー・フレールでワインメーカーを務めていた人です。2016年はセカンド・ヴィンテージですが、そこでこの畑を使えるというのが彼の実力を表しているのでしょう。果実味豊かでジューシーな味わい。これも素晴らしいワイン。
今回のワイン、どれも非常に高いレベルでした(自分のコメントではそれがあまり伝わらなさそうなことに反省しています)。ブルーブティックさんは、昨今の円安と、米国のインフレで、今後の輸入は未定とのことですが、続いてほしいものです。なかなかオレゴンのワインまではカバーできていないのが現状ですが、もっと勉強しないといけないですね。
1984年に設立されたハーラン・エステート(Harlan Estate)、40周年となる今年は世界各地で「マスタークラス」と称するセミナーを開催して回ります。その最初の開催地として選ばれたのが東京。ありがたいことに、この記念すべきセミナーに参加させていただきました。
今回来日したのは創設時からディレクターを務めてきたドン・ウィーバー氏(写真上)と、2代目ディレクターに就任したフランソワ・ヴィニョオ氏(写真下)です。
創設者のビル・ハーランは南カリフォルニアの出身。UCバークレーに進学し、週末ごとにナパを訪れるようになり、ワインを作りたいという夢を抱きました。しかし、お金もなくビジネスの道に進みます。様々なビジネスで世界各地にも行くようになり、欧州の素晴らしいワイナリーも回りました。ナパはまだそのころ、ヴァレーフロアと呼ばれる平地の畑がほとんどでしたが、欧州では斜面の中腹に素晴らしい畑があることを知り、斜面の畑を探そうと決意します。
その後、不動産業で大儲けし、いよいよワイン造りが現実のものになってきます。
いろいろな土地を見て最終的に見つけたのがオークヴィルの西側の森の中でした。斜面で水はけがよく、土壌は火山性と沖積性が混じりあっています。東向き斜面が中心になるため、朝のやわらかい日差しはよく当たりますが、夕方の強い西日はあまり当たりません。森に囲まれていることもワインに独特のニュアンスを与えます。いわゆるフォグラインより下なので霧の影響も受けます。
ハーランのヴィンヤードマップ(北西方面からの図)
畑の東側は火山性土壌が多く、西側は沖積性土壌が多くあります。火山性のところは特に表土が非常に薄いのも特徴です。斜面の向きは東向きが基調ですが、西向きや北向きなどのところもあります。ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが大部分ですが、北向き斜面にはカベルネ・フランとプティヴェルドが中心に植えられていて、沖積性のところにはメルローも植えています。
ハーランでは特に栽培面に力を入れており、今回のセミナーも大部分が栽培に関するものでした。
有機栽培はすでに行っており、バイオダイナミクスにもかなり近いものになっています。また20世紀の日本の農学者で「自然農法」の実践で知られる福岡正信の手法も取り入れています。福岡正信の農法は「不耕起 無肥料 無除草」を特徴としています。近年、先進的なワイナリーが実践を始めている「リジェネレーティブ」な有機栽培は、特に「不耕起」を大きな特徴にしていますが、福岡正信の手法はその古くからの実践であり、ハーランもリジェネレーティブと名乗ってはいませんが、同じような方法にずっと取り組んでいます。
また、今回のセミナーで強調していたのが「ドライ・ファーミング」。すなわち灌漑をしない(実際には全くしないというより極力減らした形になります)農法です。土地のエッセンスを引き出すために重要だと考えており、福岡正信の思想にも近くなります。「灌漑をしないのはブドウの樹のためであるのと同時に人のためでもある」とフランソワ氏。
ドライ・ファーミングには2008年ころから取り組みを始めています。ただ、雨の少ないナパでは若いブドウの樹には灌漑をしないと枯れてしまうこともあるため、抵抗力を高められるよう最初の3~5年は灌漑しています。なお、ハーランではブドウの樹はブロック単位で植え替えるのではなく、1本単位で行うため、一つのブロックの中に様々な樹齢の樹があります。灌漑も1本単位で管理して行っています。ちなみに現在の平均樹齢は30年ほどです。このほか熱波によってブドウの樹がストレスを感じているときには部分的に灌漑することもあります。
現状では畑の8割ほどは、この8年間で全く水を与えていないといいます。面白いことに、ドライ・ファーミングにすることによって、ブドウはレーズン化しやすくなるのではなく、むしろフレッシュな味わいになるそうです。ブドウは根を張り、実は小さく種も小さくなります。また、ドライ・ファーミングによってブドウの成熟は早まっています。2020年から2022年は8月中に収穫が始まっており、9月の上旬から中旬には完了しています。ナパの多くのワイナリーでは9月中旬から10月中旬にかけて収穫するのが通例であり、ハーランの収穫がいかに早いかが分かります。
なお、そのハーランでも2023年の収穫は9月下旬から10月下旬までかかったとのこと。「例年より最低でも3週間遅れ」(フランソワ氏)という極めて例外的なヴィンテージでした。
試飲に移ります。今回はこの春リリース予定の2020年、良年と言われている2019年と2016年、そして18年熟成した2006年の4ヴィンテージを試飲します。
2020年は8月と9月に山火事が起こった年です。8月の火事はナパでの被害は少なかったですが、9月下旬の火事はナパのスプリング・マウンテンなどが燃え、ナパ中に煙が広がったことでブドウが汚染され、赤ワインの醸造をあきらめたワイナリーが数多く出ました。ハーランでは8月22日に収穫が始まり、9月上旬には完了していたため、山火事の被害を免れました。結果として酸は高く、糖は低め、それでもフェノリックは成熟したブドウが収穫できました。ワインに透明感とエネルギーがあり「新しいディレクションの始まり」とフランソワ氏。これまでのハーランと比べてもエレガントなスタイルですが、The Wine Independentの編集長で元Wine Advocate編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンは100点を付けており、それが大きな事実ではないかとのこと。
ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンというと濃厚で黒系や青系の果実味が強くフルボディというのがイメージだと思いますが、2020年のハーランは赤果実の風味が中心でわずかにブルーベリーを感じます。タンニンはやや強く、しなやかな味わい。ハーブやスミレの花の香り。軽やかでありながらエネルギーを感じるワイン。濃厚フルボディのカベルネとは一線を画す味わいは、もしかすると飲む人によって期待と違うと感じるかもしれませんが個人的には高く評価します。
2019年と2018年は2年連続で極めて評価の高いヴィンテージ。将来は1982年のボルドーのように名声を得られるのではないかとのこと。今回はこのうちの2019年が試飲で出ました。
2019年はそれまで数年続いた干ばつから、春先まで雨の多いシーズンとなり樹勢も強くなりました。生育期間は雨もなく良好な状況が続きました。
2020年と比べると濃厚で、黒系果実の風味を強く感じます。杉やタバコやコーヒーの風味もあります。ハーランのシグニチャーとも言えるスムーズでやわらかなテクスチャー。パワフルですがきれいなワインです。
2016年も干ばつの後の、雨の多いヴィンテージで、長く安定した生育期間が続きました。
完璧なバランスを持つワイン。内に秘めたパワーがあり、こなれてしなやかなタンニン、美しい果実味。個人的にはこの日の一番で、これまで飲んだことがあるハーランの中でも1、2を争うレベルです。
最後は2006年。冬は寒くて雨が多く、夏は気温が高めに推移した年。
赤系から黒系の果実にスミレの花、熟成によって腐葉土やマッシュルームの香りが出てきています。これもまたなめらかなテクスチャーとそこに溶け込んだタンニンが素晴らしいワイン。とてもきれいに熟成が進んでいます。まだフレッシュさもあるので後5年くらいはきれいに熟成が進みそうです。なお、ハーランでは「30年でも50年でも熟成で保つが若い時点で飲んだ方が個性を発揮できるのではないか」とのことでした。
久しぶりのハーランのセミナー。特に収穫の早くなった2020年の味わいが気になっていたので、非常に貴重な経験ができました。
最後はおまけショット
今回来日したのは創設時からディレクターを務めてきたドン・ウィーバー氏(写真上)と、2代目ディレクターに就任したフランソワ・ヴィニョオ氏(写真下)です。
創設者のビル・ハーランは南カリフォルニアの出身。UCバークレーに進学し、週末ごとにナパを訪れるようになり、ワインを作りたいという夢を抱きました。しかし、お金もなくビジネスの道に進みます。様々なビジネスで世界各地にも行くようになり、欧州の素晴らしいワイナリーも回りました。ナパはまだそのころ、ヴァレーフロアと呼ばれる平地の畑がほとんどでしたが、欧州では斜面の中腹に素晴らしい畑があることを知り、斜面の畑を探そうと決意します。
その後、不動産業で大儲けし、いよいよワイン造りが現実のものになってきます。
いろいろな土地を見て最終的に見つけたのがオークヴィルの西側の森の中でした。斜面で水はけがよく、土壌は火山性と沖積性が混じりあっています。東向き斜面が中心になるため、朝のやわらかい日差しはよく当たりますが、夕方の強い西日はあまり当たりません。森に囲まれていることもワインに独特のニュアンスを与えます。いわゆるフォグラインより下なので霧の影響も受けます。
ハーランのヴィンヤードマップ(北西方面からの図)
畑の東側は火山性土壌が多く、西側は沖積性土壌が多くあります。火山性のところは特に表土が非常に薄いのも特徴です。斜面の向きは東向きが基調ですが、西向きや北向きなどのところもあります。ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが大部分ですが、北向き斜面にはカベルネ・フランとプティヴェルドが中心に植えられていて、沖積性のところにはメルローも植えています。
ハーランでは特に栽培面に力を入れており、今回のセミナーも大部分が栽培に関するものでした。
有機栽培はすでに行っており、バイオダイナミクスにもかなり近いものになっています。また20世紀の日本の農学者で「自然農法」の実践で知られる福岡正信の手法も取り入れています。福岡正信の農法は「不耕起 無肥料 無除草」を特徴としています。近年、先進的なワイナリーが実践を始めている「リジェネレーティブ」な有機栽培は、特に「不耕起」を大きな特徴にしていますが、福岡正信の手法はその古くからの実践であり、ハーランもリジェネレーティブと名乗ってはいませんが、同じような方法にずっと取り組んでいます。
また、今回のセミナーで強調していたのが「ドライ・ファーミング」。すなわち灌漑をしない(実際には全くしないというより極力減らした形になります)農法です。土地のエッセンスを引き出すために重要だと考えており、福岡正信の思想にも近くなります。「灌漑をしないのはブドウの樹のためであるのと同時に人のためでもある」とフランソワ氏。
ドライ・ファーミングには2008年ころから取り組みを始めています。ただ、雨の少ないナパでは若いブドウの樹には灌漑をしないと枯れてしまうこともあるため、抵抗力を高められるよう最初の3~5年は灌漑しています。なお、ハーランではブドウの樹はブロック単位で植え替えるのではなく、1本単位で行うため、一つのブロックの中に様々な樹齢の樹があります。灌漑も1本単位で管理して行っています。ちなみに現在の平均樹齢は30年ほどです。このほか熱波によってブドウの樹がストレスを感じているときには部分的に灌漑することもあります。
現状では畑の8割ほどは、この8年間で全く水を与えていないといいます。面白いことに、ドライ・ファーミングにすることによって、ブドウはレーズン化しやすくなるのではなく、むしろフレッシュな味わいになるそうです。ブドウは根を張り、実は小さく種も小さくなります。また、ドライ・ファーミングによってブドウの成熟は早まっています。2020年から2022年は8月中に収穫が始まっており、9月の上旬から中旬には完了しています。ナパの多くのワイナリーでは9月中旬から10月中旬にかけて収穫するのが通例であり、ハーランの収穫がいかに早いかが分かります。
なお、そのハーランでも2023年の収穫は9月下旬から10月下旬までかかったとのこと。「例年より最低でも3週間遅れ」(フランソワ氏)という極めて例外的なヴィンテージでした。
試飲に移ります。今回はこの春リリース予定の2020年、良年と言われている2019年と2016年、そして18年熟成した2006年の4ヴィンテージを試飲します。
2020年は8月と9月に山火事が起こった年です。8月の火事はナパでの被害は少なかったですが、9月下旬の火事はナパのスプリング・マウンテンなどが燃え、ナパ中に煙が広がったことでブドウが汚染され、赤ワインの醸造をあきらめたワイナリーが数多く出ました。ハーランでは8月22日に収穫が始まり、9月上旬には完了していたため、山火事の被害を免れました。結果として酸は高く、糖は低め、それでもフェノリックは成熟したブドウが収穫できました。ワインに透明感とエネルギーがあり「新しいディレクションの始まり」とフランソワ氏。これまでのハーランと比べてもエレガントなスタイルですが、The Wine Independentの編集長で元Wine Advocate編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンは100点を付けており、それが大きな事実ではないかとのこと。
ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンというと濃厚で黒系や青系の果実味が強くフルボディというのがイメージだと思いますが、2020年のハーランは赤果実の風味が中心でわずかにブルーベリーを感じます。タンニンはやや強く、しなやかな味わい。ハーブやスミレの花の香り。軽やかでありながらエネルギーを感じるワイン。濃厚フルボディのカベルネとは一線を画す味わいは、もしかすると飲む人によって期待と違うと感じるかもしれませんが個人的には高く評価します。
2019年と2018年は2年連続で極めて評価の高いヴィンテージ。将来は1982年のボルドーのように名声を得られるのではないかとのこと。今回はこのうちの2019年が試飲で出ました。
2019年はそれまで数年続いた干ばつから、春先まで雨の多いシーズンとなり樹勢も強くなりました。生育期間は雨もなく良好な状況が続きました。
2020年と比べると濃厚で、黒系果実の風味を強く感じます。杉やタバコやコーヒーの風味もあります。ハーランのシグニチャーとも言えるスムーズでやわらかなテクスチャー。パワフルですがきれいなワインです。
2016年も干ばつの後の、雨の多いヴィンテージで、長く安定した生育期間が続きました。
完璧なバランスを持つワイン。内に秘めたパワーがあり、こなれてしなやかなタンニン、美しい果実味。個人的にはこの日の一番で、これまで飲んだことがあるハーランの中でも1、2を争うレベルです。
最後は2006年。冬は寒くて雨が多く、夏は気温が高めに推移した年。
赤系から黒系の果実にスミレの花、熟成によって腐葉土やマッシュルームの香りが出てきています。これもまたなめらかなテクスチャーとそこに溶け込んだタンニンが素晴らしいワイン。とてもきれいに熟成が進んでいます。まだフレッシュさもあるので後5年くらいはきれいに熟成が進みそうです。なお、ハーランでは「30年でも50年でも熟成で保つが若い時点で飲んだ方が個性を発揮できるのではないか」とのことでした。
久しぶりのハーランのセミナー。特に収穫の早くなった2020年の味わいが気になっていたので、非常に貴重な経験ができました。
最後はおまけショット
アイコニックワイン ジャパンの試飲会から美味しかったワインを紹介します。
数年前に格安ピノ・ノワールとして一世を風靡したアルタマリア。新ヴィンテージになっていますが、今もすばらしいコスパです。シャルドネはふくよかさと酸のバランスよく、ピノ・ノワール赤果実にちょっと青系の果実の風味も入り美味しい。
バラードレーンは銘醸畑ビエン・ナシードを擁するミラー家の手がけるブランド。今回の試飲会でもコスパではトップクラス。ジンファンデルは梅系のジューシーな酸味が秀逸、カベルネ・ソーヴィニヨンも赤系果実とスパイシーな風味。どちらも濃いだけでないバランスが素晴らしいです。
バレル・バーナーとは樽を焦がすバーナーの意味。その名の通り、樽香のはっきりしたワインを作っています。ダブル・オーク・シャルドネはリッチでバターの風味もある「ブレッド&バター」系のシャルドネ。「バーボンバレル・エイジ・カベルネ・ソーヴィニヨン」もバーボンの樽による香りのよいカベルネ・ソーヴィニヨン。
フィールドレコーディングスのスキンズは、もう定番といっていいオレンジワイン。変な癖はないのでオレンジワイン飲んだことがないという人にもおすすめです。うまみのすごさには飲むたびに感心させられます。
ユニオン・サクレはラベルがおしゃれで洗練されています。ドライ・リースリングはバランスよく染み入る美味しさ。ゲヴェルツのオレンジも癒し系の味わいです。
ピーチーキャニオンのインクレディブル・レッドはコスパ抜群のジンファンデル・ブレンド。ジンファンデルらしいふくよかさをきれいな酸がバランスを取っています。
レッジのMCAキュベは極めて秀逸なパワフル系シラー。ビエン・ナシードとパソ・ロブレスのジェームズ・ベリーという銘醸畑中の銘醸畑のブドウを使って7500円というのは、実はむちゃくちゃコスパ高いです。
モントーヤのピノ・ノワールはピュアな果実味が美味しいワイン。コスパ高いです。
モーガンのメタリコ・アンオークト・シャルドネは樽を使っていないシャルドネ。酸が豊かできれいな味わい。
モーガンのG17 シラーはきれいでストラクチャーのあるタイプ。レベル高いです。
ロアーのピノ・ノワール サンタ・ルシア・ハイランズはエントリー的な位置づけですが品質はさすがの高さ。赤果実の風味ときれいな酸が秀逸です。
ロアーのロゼラズ ピノ・ノワールはすべてがハイレベル。美味しい。
ステル+マーのカベルネ・ソーヴィニョンの新ヴィンテージ。柔らかな果実味で親しみやすいワイン。
オーガスト・ウエストのロシアンリバー・ヴァレー ピノ・ノワール。うまみと酸が美味しい。
カーボニストのアルバリーニョを使ったスパークリングワイン。美味しい
コブのドックス・ランチ・ピノ・ノワールとシャルドネ。シャルドネは繊細、ピノ・ノワールも酸が豊かできれい。
ジョージのピノ・ノワール「セレモニアル」ヴィンヤードと「ハンセン」ヴィンヤード。ジョージのピノ・ノワールは果実味のきれいさが特徴。セレモニアルはその代表格。ハンセンはうまみがつよくとても美味しい
大人気の689セラーズが作るカベルネ系三つです。右のラッキードローはクラシックなスタイル。ザ・ハイプは最安価ながらレベルが高い。キラードロップはカリフォルニアらしい果実味の豊かさが特徴です。
マイケル・ポーザンのナパ1847カベルネ・ソーヴィニヨン。うまみや酸、ストラクチャーもあるカベルネ・ソーヴィニヨン。
プロヴィナンスのメルローはメルローらしいやわらかさに、しっかりとしたストラクチャーもあります。レベル高い。
今回のカベルネ系で個人的ベストがこのバーマイスター カベルネ・ソーヴィニョン。果実と酸、ストラクチャーすべてがハイレベル。
数年前に格安ピノ・ノワールとして一世を風靡したアルタマリア。新ヴィンテージになっていますが、今もすばらしいコスパです。シャルドネはふくよかさと酸のバランスよく、ピノ・ノワール赤果実にちょっと青系の果実の風味も入り美味しい。
バラードレーンは銘醸畑ビエン・ナシードを擁するミラー家の手がけるブランド。今回の試飲会でもコスパではトップクラス。ジンファンデルは梅系のジューシーな酸味が秀逸、カベルネ・ソーヴィニヨンも赤系果実とスパイシーな風味。どちらも濃いだけでないバランスが素晴らしいです。
バレル・バーナーとは樽を焦がすバーナーの意味。その名の通り、樽香のはっきりしたワインを作っています。ダブル・オーク・シャルドネはリッチでバターの風味もある「ブレッド&バター」系のシャルドネ。「バーボンバレル・エイジ・カベルネ・ソーヴィニヨン」もバーボンの樽による香りのよいカベルネ・ソーヴィニヨン。
フィールドレコーディングスのスキンズは、もう定番といっていいオレンジワイン。変な癖はないのでオレンジワイン飲んだことがないという人にもおすすめです。うまみのすごさには飲むたびに感心させられます。
ユニオン・サクレはラベルがおしゃれで洗練されています。ドライ・リースリングはバランスよく染み入る美味しさ。ゲヴェルツのオレンジも癒し系の味わいです。
ピーチーキャニオンのインクレディブル・レッドはコスパ抜群のジンファンデル・ブレンド。ジンファンデルらしいふくよかさをきれいな酸がバランスを取っています。
レッジのMCAキュベは極めて秀逸なパワフル系シラー。ビエン・ナシードとパソ・ロブレスのジェームズ・ベリーという銘醸畑中の銘醸畑のブドウを使って7500円というのは、実はむちゃくちゃコスパ高いです。
モントーヤのピノ・ノワールはピュアな果実味が美味しいワイン。コスパ高いです。
モーガンのメタリコ・アンオークト・シャルドネは樽を使っていないシャルドネ。酸が豊かできれいな味わい。
モーガンのG17 シラーはきれいでストラクチャーのあるタイプ。レベル高いです。
ロアーのピノ・ノワール サンタ・ルシア・ハイランズはエントリー的な位置づけですが品質はさすがの高さ。赤果実の風味ときれいな酸が秀逸です。
ロアーのロゼラズ ピノ・ノワールはすべてがハイレベル。美味しい。
ステル+マーのカベルネ・ソーヴィニョンの新ヴィンテージ。柔らかな果実味で親しみやすいワイン。
オーガスト・ウエストのロシアンリバー・ヴァレー ピノ・ノワール。うまみと酸が美味しい。
カーボニストのアルバリーニョを使ったスパークリングワイン。美味しい
コブのドックス・ランチ・ピノ・ノワールとシャルドネ。シャルドネは繊細、ピノ・ノワールも酸が豊かできれい。
ジョージのピノ・ノワール「セレモニアル」ヴィンヤードと「ハンセン」ヴィンヤード。ジョージのピノ・ノワールは果実味のきれいさが特徴。セレモニアルはその代表格。ハンセンはうまみがつよくとても美味しい
大人気の689セラーズが作るカベルネ系三つです。右のラッキードローはクラシックなスタイル。ザ・ハイプは最安価ながらレベルが高い。キラードロップはカリフォルニアらしい果実味の豊かさが特徴です。
マイケル・ポーザンのナパ1847カベルネ・ソーヴィニヨン。うまみや酸、ストラクチャーもあるカベルネ・ソーヴィニヨン。
プロヴィナンスのメルローはメルローらしいやわらかさに、しっかりとしたストラクチャーもあります。レベル高い。
今回のカベルネ系で個人的ベストがこのバーマイスター カベルネ・ソーヴィニョン。果実と酸、ストラクチャーすべてがハイレベル。
審査員が全員女性という「さくらアワード」の審査結果が公表されました。ダブルゴールドやゴールドなどのランクによる受賞のほか特別賞が8つあり、そのうちの「女性ワインメーカー賞」のグランプリにパインリッジのシュナン・ブラン+ヴィオニエ2022が選ばれました。
パインリッジのワインメーカーはジョシュ・ワイダマンという男性が基本ですが、実はこのワインだけコリーン・フェッツジェラルドという女性が担当しています。アロマティックでチャーミングなワインでコスパ良く、個人的にも好きなワインです。
飲んだことなかったら、ぜひ飲んでみてください。
パインリッジのワインメーカーはジョシュ・ワイダマンという男性が基本ですが、実はこのワインだけコリーン・フェッツジェラルドという女性が担当しています。アロマティックでチャーミングなワインでコスパ良く、個人的にも好きなワインです。
飲んだことなかったら、ぜひ飲んでみてください。
カナダのブリティッシュコロンビアが1月の大寒波で大きな被害を受けています。ブドウの樹は氷点下20℃を下回ると樹が凍結して新芽が死んでしまいます。オカナガン・ヴァレーの北部では1月11~15日にかけて累計50時間以上もこの温度を下回っていました。
実は昨年の冬にも同じような寒波があり、収穫量は58%も減ってしまいました。ただ、そのときは今回と比べると氷点下20℃以下の時間は短かったようです。
1月の寒波の後、樹の細胞を採取するなどの方法で、今年の収穫量への影響を調査しました。昨年も同様な調査を行っており、収穫量は56%減とかなり精密な予測を行っていました。
それで、今年の調査による収穫量への影響ですが、なんと97~99%という結果が出ています。平年の1~3%しか収穫がないことが判明しました。副梢や副副梢もほとんど期待できないそうです。金額にすると4億4000万~4億4500万カナダドルの損失になるとのことです
カリフォルニアは1週間ほど前に「大気の川(atomospheric river)」による大雨と風に見舞われました。洪水などによってサンタ・バーバラやサン・ルイス・オビスポ、ロスアンゼルスなど8つの郡では非常事態宣言が発令され、ナパでも数千世帯が停電するなど大きな被害が出ています。
昨冬に続いて、今年も雨が多い雨季となっていますが、意外なことに干ばつの危険はむしろ大きくなっているといいます。
というのは、「snow drought」と呼ばれる雪不足の状態が続いているからです。
カリフォルニアの水の3分の1は「スノーパック」と呼ばれるシエラネバダ山脈に積もった雪からもたらされます。現状、この雪が平年の8割弱しかないというのが、干ばつの恐れがある理由です。オレゴンも同様ですが、さらにひどいのはワシントン州で、平年の半分ほどしか積雪がありません。
スノーパックの雪は春になるとゆっくりと溶け出して貯水池などの水を回復するのに使われますが、雪が少ないとそれが足りなくなるかもしれないとのことです。
2、3年前ほどのひどい状況から比べるとまだ危険は少なさそうですが、いろいろと難しいものです。
昨冬に続いて、今年も雨が多い雨季となっていますが、意外なことに干ばつの危険はむしろ大きくなっているといいます。
というのは、「snow drought」と呼ばれる雪不足の状態が続いているからです。
カリフォルニアの水の3分の1は「スノーパック」と呼ばれるシエラネバダ山脈に積もった雪からもたらされます。現状、この雪が平年の8割弱しかないというのが、干ばつの恐れがある理由です。オレゴンも同様ですが、さらにひどいのはワシントン州で、平年の半分ほどしか積雪がありません。
スノーパックの雪は春になるとゆっくりと溶け出して貯水池などの水を回復するのに使われますが、雪が少ないとそれが足りなくなるかもしれないとのことです。
2、3年前ほどのひどい状況から比べるとまだ危険は少なさそうですが、いろいろと難しいものです。
チョコレートに合う飲み物は何か、イタリアでの研究を紹介した記事がありました(Is Wine Thw Best Chocolate Paring Option?)
この研究ではカカオの含有率99%、70%、30%のチョコレートに対して、それぞれ18種類の飲み物を合わせて、一番合うのはどれかを調べています。全部で54通りを試すわけで被験者も結構大変ですが、最終的には80人が参加してくれたそうです。
結果としては30%のカカオ含有率のチョコレートは多くの飲み物に合いましたが、中でもよかったのは甘口ワイン、バルサミコ酢、紅茶、ポートワイン、スパークリングワイン、ランブルスコ、コーヒー、グラッパでした。
70%のカカオ含有率のチョコレートも良好でしたが、一番良かったのはバルサミコ酢でした。ほかにはベルギースタウト、スパークリングワイン、甘口ワインも合いましたがバルサミコ酢ほどではありませんでした。
一方99%のカカオ含有率のチョコレートは難関でした。苦みが強いのと、油分や砂糖が少ないためくちどけも良くないのが原因ではないかと推測しています。その中で一番健闘したのはまたもやバルサミコ酢でした。バルサミコ酢は酸味と粘性があり、甘い芳香を持つことが多くあります。これらの要素が、チョコレートと両方を口に含んだときに、バランスをとることができると考えられます。
この研究はイタリアで行われたというのもバルサミコ酢の人気が高かった理由につながるのかもしれません。
ちなみに、米国ではチョコレートにリッチ系のカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせることが多いですが、カベルネは今回の飲み物の中には入っていませんでした。
この研究ではカカオの含有率99%、70%、30%のチョコレートに対して、それぞれ18種類の飲み物を合わせて、一番合うのはどれかを調べています。全部で54通りを試すわけで被験者も結構大変ですが、最終的には80人が参加してくれたそうです。
結果としては30%のカカオ含有率のチョコレートは多くの飲み物に合いましたが、中でもよかったのは甘口ワイン、バルサミコ酢、紅茶、ポートワイン、スパークリングワイン、ランブルスコ、コーヒー、グラッパでした。
70%のカカオ含有率のチョコレートも良好でしたが、一番良かったのはバルサミコ酢でした。ほかにはベルギースタウト、スパークリングワイン、甘口ワインも合いましたがバルサミコ酢ほどではありませんでした。
一方99%のカカオ含有率のチョコレートは難関でした。苦みが強いのと、油分や砂糖が少ないためくちどけも良くないのが原因ではないかと推測しています。その中で一番健闘したのはまたもやバルサミコ酢でした。バルサミコ酢は酸味と粘性があり、甘い芳香を持つことが多くあります。これらの要素が、チョコレートと両方を口に含んだときに、バランスをとることができると考えられます。
この研究はイタリアで行われたというのもバルサミコ酢の人気が高かった理由につながるのかもしれません。
ちなみに、米国ではチョコレートにリッチ系のカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせることが多いですが、カベルネは今回の飲み物の中には入っていませんでした。
テラ・ヴァレンタインはナパのスプリング・マウンテンにあるワイナリーです。
インポーターによるとワイナリー名の由来は
12年熟成のリースリングはボトルに金でハートと弓矢が描かれています。現地価格よりも安い4000円。
もちろんカベルネ・ソーヴィニヨンもあります。ラベルはリースリングの方がおしゃれですね。
インポーターによるとワイナリー名の由来は
ワイナリー名のテラはラテン語でランド(地)を意味する言葉です。山系のワインを特徴付けるヒルサイド土壌の重要性を指し示しています。また、ヴァレンタインはオーナーの父、ヴァレンタイン社の基礎となるヴァルスパー社を起業したヴァレンタイン・ヴァルテル氏に敬意を表してつけたものです。ラベルのハートもシックでロマンティック、特別な日に特別な人と飲むのに最適なワインです。とのこと。
12年熟成のリースリングはボトルに金でハートと弓矢が描かれています。現地価格よりも安い4000円。
もちろんカベルネ・ソーヴィニヨンもあります。ラベルはリースリングの方がおしゃれですね。
多くの人のジンファンデルのイメージは「濃くて甘くてジャミーなワイン」だろうと思います。高級ワインになる品種というより安価な日常ワイン向けの品種と思っている人も多いでしょう。私自身、かつては「ジンファンデルはバーサタイル(幅広い)なワインになる」と聞いて首を傾げたこともありました。
この記事ではそんなジンファンデルについて、歴史を紐解きながら、誤解を解くことに挑戦したいと思います。
ジンファンデルがクロアチア起源であることを突き止めたのがUCデーヴィスのキャロル・メレディス教授(当時)。それ以前からイタリアのプリミティーボと同じでは、とかクロアチアのプラヴァッツ・マリと同じではといった噂はありましたが、DNA鑑定によって、クロアチアにわずかに残っていたツールイェナック・カシュテンランスキーという品種と同じであること、またプリミティーボも同じ仲間であることが分かりました。
一方、ジンファンデルという名称については、ニューヨークの苗木商が名付けたという説が有力です。ハンガリーに「Zierfandler」という白ブドウの品種があり、そこに紛れ込んでいた黒ブドウが「Black Zinfindal」と呼ばれたというものです。カリフォルニアに多くの苗木を輸入したアゴストン・ハラジー(ハラスティ)が持ち込んだ説も見かけましたが、ニューヨークには1930年代にはあったことが分かっていますので、ニューヨークが先であることは間違いありません。
これがゴールドラッシュとともにカリフォルニアに持ち込まれ、一躍メジャー品種になったわけです。理由の一つが育てやすさ。ジンファンデルはゴブレットやヘッド・プルーンと呼ばれるような垣を作らない育て方が容易にできるブドウです。ゴールドラッシュの時代、金属は貴重品であり垣のためのワイヤーも調達が大変でした。そこでヘッド・プルーンに向くジンファンデルがはやったと言われています。栽培に手がかからず、収量が多かったことも人気につながったと思います。当時のカリフォルニアの政府が推奨品種として挙げていたということも普及を後押ししたのでしょう、当時の畑で今に残るところはほとんどがジンファンデルが中心に植えられています。
このジンファンデル、果実の色は濃いですが、ブドウの実も房も大きくタンニンは低めになります。果皮が薄いのでワインの色はあまり濃くなりません。ジンファンデルとしばしば一緒に植えられていた品種の一つとしてアリカンテ・ブーシェがあります。アリカンテ・ブーシェは皮だけでなく果実も赤いのでワインは非常に色が濃くなります。ジンファンデルの色の薄さを補うために一緒に植えられていたものと考えられます。プティ・シラーも一緒に植えられることが多いですが、こちらも色が濃く、またタンニンも強いブドウです。ジンファンデルの色の薄さやタンニンの低さを補う狙いがあったと思われます。
このように、ジンファンデルというのは本来はエレガントな味わいの品種なのです。
ジンファンデルのもう一つの特徴は果実の成熟が不均一ということです。同じブドウの房の中に緑色のブドウと完熟したブドウが共存するといったことが普通に起こります。このため、緑色の果実が熟すのを待つと早く熟した果実はレーズン化してしまいます。これがジンファンデルのワインがしばしばジャミーな味わいになる理由です。ジャミーなワインにはジャミーなワインの良さや楽しさがあるので、それを否定するわけではありませんが、そういったスタイルにするかどうかはあくまで生産者の判断によるものであり、それがジンファンデルに共通するスタイルというわけではないのです。
Turleyがアルコール度数16%を超えるようなジンファンデルで一世を風靡したころは、完熟というより過熟なブドウによるジンファンデルが幅を利かせていましたが、今はもっとバランスが取れたスタイルのワインが多くなってきています。Turleyのワインも昔とは全くスタイルが違っています。
ジンファンデルの楽しみ方としてぜひ知ってほしいのが古木の畑のワインです。カリフォルニアには19世紀から20世紀初頭に植えられた樹齢100年を超えるジンファンデル主体の畑が今もなお何十と残っています。前述のようにこれらの多くは他の品種と混じって植えられています(フィールド・ブレンドといいます)。この比率は畑によって違いますので、畑による味わいの違いが、土壌や気候以外の要素でも出てくるわけです。そういった畑ごとの個性を味わってほしいと思っています。これらのワインはジンファンデルの中では高価ですが、それでも1万円を超えるのはめったにないので、他の品種に比べると割安感があります。
以下ではお薦めのジンファンデル(ジンファンデル主体を含む)を挙げておきます。
コスト・パフォーマンス抜群。甘やかですがジャミーではないジンファンデル。
ベッドロックが作るエントリーライン。気軽に飲むスタイル。
この価格でパーカー95点。
古木の畑の保護に力を入れるベッドロックが、様々な古木のブドウをブレンドして作る格安品。
ターリーの入門編
100年超える畑のブドウでこの価格。
エレガント系ジンファンデルの老舗。時代が追い付いてきた?
ベッドロックの自社畑。100年超える古木。ベッドロックのモーガンのMW論文はここのフィールド・ブレンドを分析したものでした。
リッジのジンファンデル系を代表するのがソノマのリットン・スプリングスとガイザーヴィル。数kmしか離れていないこの二つの畑の違いを味わってほしい。
ジンファンデルのゴッドファーザーと呼ばれるジョエル・ピーターソンが作る、現存する最も古い畑のジンファンデル。
鬼才エイブ・ショーナーがジンファンデルを作るとこうなる
この記事ではそんなジンファンデルについて、歴史を紐解きながら、誤解を解くことに挑戦したいと思います。
ジンファンデルがクロアチア起源であることを突き止めたのがUCデーヴィスのキャロル・メレディス教授(当時)。それ以前からイタリアのプリミティーボと同じでは、とかクロアチアのプラヴァッツ・マリと同じではといった噂はありましたが、DNA鑑定によって、クロアチアにわずかに残っていたツールイェナック・カシュテンランスキーという品種と同じであること、またプリミティーボも同じ仲間であることが分かりました。
一方、ジンファンデルという名称については、ニューヨークの苗木商が名付けたという説が有力です。ハンガリーに「Zierfandler」という白ブドウの品種があり、そこに紛れ込んでいた黒ブドウが「Black Zinfindal」と呼ばれたというものです。カリフォルニアに多くの苗木を輸入したアゴストン・ハラジー(ハラスティ)が持ち込んだ説も見かけましたが、ニューヨークには1930年代にはあったことが分かっていますので、ニューヨークが先であることは間違いありません。
これがゴールドラッシュとともにカリフォルニアに持ち込まれ、一躍メジャー品種になったわけです。理由の一つが育てやすさ。ジンファンデルはゴブレットやヘッド・プルーンと呼ばれるような垣を作らない育て方が容易にできるブドウです。ゴールドラッシュの時代、金属は貴重品であり垣のためのワイヤーも調達が大変でした。そこでヘッド・プルーンに向くジンファンデルがはやったと言われています。栽培に手がかからず、収量が多かったことも人気につながったと思います。当時のカリフォルニアの政府が推奨品種として挙げていたということも普及を後押ししたのでしょう、当時の畑で今に残るところはほとんどがジンファンデルが中心に植えられています。
このジンファンデル、果実の色は濃いですが、ブドウの実も房も大きくタンニンは低めになります。果皮が薄いのでワインの色はあまり濃くなりません。ジンファンデルとしばしば一緒に植えられていた品種の一つとしてアリカンテ・ブーシェがあります。アリカンテ・ブーシェは皮だけでなく果実も赤いのでワインは非常に色が濃くなります。ジンファンデルの色の薄さを補うために一緒に植えられていたものと考えられます。プティ・シラーも一緒に植えられることが多いですが、こちらも色が濃く、またタンニンも強いブドウです。ジンファンデルの色の薄さやタンニンの低さを補う狙いがあったと思われます。
このように、ジンファンデルというのは本来はエレガントな味わいの品種なのです。
ジンファンデルのもう一つの特徴は果実の成熟が不均一ということです。同じブドウの房の中に緑色のブドウと完熟したブドウが共存するといったことが普通に起こります。このため、緑色の果実が熟すのを待つと早く熟した果実はレーズン化してしまいます。これがジンファンデルのワインがしばしばジャミーな味わいになる理由です。ジャミーなワインにはジャミーなワインの良さや楽しさがあるので、それを否定するわけではありませんが、そういったスタイルにするかどうかはあくまで生産者の判断によるものであり、それがジンファンデルに共通するスタイルというわけではないのです。
Turleyがアルコール度数16%を超えるようなジンファンデルで一世を風靡したころは、完熟というより過熟なブドウによるジンファンデルが幅を利かせていましたが、今はもっとバランスが取れたスタイルのワインが多くなってきています。Turleyのワインも昔とは全くスタイルが違っています。
ジンファンデルの楽しみ方としてぜひ知ってほしいのが古木の畑のワインです。カリフォルニアには19世紀から20世紀初頭に植えられた樹齢100年を超えるジンファンデル主体の畑が今もなお何十と残っています。前述のようにこれらの多くは他の品種と混じって植えられています(フィールド・ブレンドといいます)。この比率は畑によって違いますので、畑による味わいの違いが、土壌や気候以外の要素でも出てくるわけです。そういった畑ごとの個性を味わってほしいと思っています。これらのワインはジンファンデルの中では高価ですが、それでも1万円を超えるのはめったにないので、他の品種に比べると割安感があります。
以下ではお薦めのジンファンデル(ジンファンデル主体を含む)を挙げておきます。
コスト・パフォーマンス抜群。甘やかですがジャミーではないジンファンデル。
ベッドロックが作るエントリーライン。気軽に飲むスタイル。
この価格でパーカー95点。
古木の畑の保護に力を入れるベッドロックが、様々な古木のブドウをブレンドして作る格安品。
ターリーの入門編
100年超える畑のブドウでこの価格。
エレガント系ジンファンデルの老舗。時代が追い付いてきた?
ベッドロックの自社畑。100年超える古木。ベッドロックのモーガンのMW論文はここのフィールド・ブレンドを分析したものでした。
リッジのジンファンデル系を代表するのがソノマのリットン・スプリングスとガイザーヴィル。数kmしか離れていないこの二つの畑の違いを味わってほしい。
ジンファンデルのゴッドファーザーと呼ばれるジョエル・ピーターソンが作る、現存する最も古い畑のジンファンデル。
鬼才エイブ・ショーナーがジンファンデルを作るとこうなる
シリコンヴァレー銀行によるワイン業界の分析レポートが1月に発行されました。昨年のシリコンヴァレー銀行破綻で、レポートの継続が懸念されていましたが、無事に発行されてよかったです。ただし、内容はバラ色とは言えず、米国のワイン業界の今後のかじ取りが難しくなってきていることを感じさせました。
最初の図はワインの販売量の前年比推移です。2000年代前半は年間20%といった大きな伸びがあり、2010年代前半もまだ成長が続いていましたが、2019年にはゼロ成長に。2020年はコロナ禍で伸びがありましたが、2021年からは完全にマイナス成長になってきています。ワインの供給過剰は欧州などでも大きな問題になっていますが、米国も例外ではなく、今後はブドウ畑の面積を減らすことも必要ではないかと言われています。
ワインの販売量が飽和する中、プレミアム化の動きが大きくなり、安ブランドを手放すワイナリーも増えました。上の図はプレミアム分野の成長を見たものです。高価格帯は景気の影響を大きく受けるため、いくつかの波がありますが、ワイン全体と比べると、成長の鈍化がゆっくりです。2021年はコロナ禍で娯楽が少ないことから高級ワインの消費が大きくなりましたが、それもつかの間で2023年は大きくマイナスになりました。これは他の娯楽にお金が回ったという事情もありますが、プレミアム分野もお花畑ではありません。
このグラフは生産者が各項目について懸念する状況なのか楽観する状況なのかを回答したもの。基本的には前年と同じ傾向ですが、景気の先行きには不安を感じているワイナリーが多くあります。唯一プラスだったのはブドウの供給の分野でした。
最後に、世代別のアルコールに対する好みを見ていきましょう。特に若い世代がワインを飲まないことが、ワイン消費の伸び悩みに大きく影響していると言われています。
上の図はパーティにいくときにどんなアルコールドリンクを持参するかというもの。65歳以上では過半数がワインを選んでいるのに対し、35から65歳ではほぼ3分の1でビールと競っています。これが21~34歳では16%と下から2番目になってしまっています。一番多いビールとは5ポイントの差があります。
最後は世代別のワインやアルコールに対する向き合い方を示したものです。若い世代はアルコール自体を飲まないと言われていますが、このデータからすると意外にもそうでもなく、アルコールを全く飲まない、あるいはたまにしか飲まないという人は30代が一番低く、40代、50代、60代、70以上とだんだん増えていきます。20代はやや飲まない比率が高いですが、これはアルコール慣れしていないという見方もできそうです。この結果を見ると、ワインの伸び悩みは、アルコール離れではなく、他のアルコールドリンクに流れているのが最大の要因と言えそうです。ここを何とかしていくことが今後のワイン業界にとって大きな課題になるでしょう。
最初の図はワインの販売量の前年比推移です。2000年代前半は年間20%といった大きな伸びがあり、2010年代前半もまだ成長が続いていましたが、2019年にはゼロ成長に。2020年はコロナ禍で伸びがありましたが、2021年からは完全にマイナス成長になってきています。ワインの供給過剰は欧州などでも大きな問題になっていますが、米国も例外ではなく、今後はブドウ畑の面積を減らすことも必要ではないかと言われています。
ワインの販売量が飽和する中、プレミアム化の動きが大きくなり、安ブランドを手放すワイナリーも増えました。上の図はプレミアム分野の成長を見たものです。高価格帯は景気の影響を大きく受けるため、いくつかの波がありますが、ワイン全体と比べると、成長の鈍化がゆっくりです。2021年はコロナ禍で娯楽が少ないことから高級ワインの消費が大きくなりましたが、それもつかの間で2023年は大きくマイナスになりました。これは他の娯楽にお金が回ったという事情もありますが、プレミアム分野もお花畑ではありません。
このグラフは生産者が各項目について懸念する状況なのか楽観する状況なのかを回答したもの。基本的には前年と同じ傾向ですが、景気の先行きには不安を感じているワイナリーが多くあります。唯一プラスだったのはブドウの供給の分野でした。
最後に、世代別のアルコールに対する好みを見ていきましょう。特に若い世代がワインを飲まないことが、ワイン消費の伸び悩みに大きく影響していると言われています。
上の図はパーティにいくときにどんなアルコールドリンクを持参するかというもの。65歳以上では過半数がワインを選んでいるのに対し、35から65歳ではほぼ3分の1でビールと競っています。これが21~34歳では16%と下から2番目になってしまっています。一番多いビールとは5ポイントの差があります。
最後は世代別のワインやアルコールに対する向き合い方を示したものです。若い世代はアルコール自体を飲まないと言われていますが、このデータからすると意外にもそうでもなく、アルコールを全く飲まない、あるいはたまにしか飲まないという人は30代が一番低く、40代、50代、60代、70以上とだんだん増えていきます。20代はやや飲まない比率が高いですが、これはアルコール慣れしていないという見方もできそうです。この結果を見ると、ワインの伸び悩みは、アルコール離れではなく、他のアルコールドリンクに流れているのが最大の要因と言えそうです。ここを何とかしていくことが今後のワイン業界にとって大きな課題になるでしょう。